歌うことは、生きること ﹁今日は何から歌う?﹂低学年音楽室の子どもたちは︑小さなファイルを一斉にめくり始めます︒﹁良い天気だから︑これがいい!﹂﹁さっき飛行機が見えたから︑この歌も!﹂リクエストはいつまでも続きます︒お気に入りの曲がたくさんあるうれしさ︒みんなとそれを味わえる楽しさ︒歌の世界を全身で表現する子どもたちのいる教室には︑生命力が満ちています︒心の底から歌うこと︑それは生きていることを実感する瞬間そのものです︒ 窓越しに見える木々︑空気の清冽さ︑土のにおい︑小さな生き物や草花などから子どもたちは自分の体の中にたくさんのイメージを蓄えます︒それらの感覚を刺激する﹁詩﹂や﹁旋律﹂と出会い︑仲間と共に自分自身の声として発する時︑かけがえのない生き生きとした﹁表現﹂が生まれます︒1︑2年生は﹁チャイムバー﹂という楽器に取り組みます︒美しく澄んだ音色に耳を傾け︑リズムや音の高さについても体験的に学びます︒一番大切なのは自分や友だちの音色を﹁聴く﹂こと︒これは︑3年生からのリコーダー学習にも大切に引き継がれます︒音楽会。仲間と練り上げる表現 ひとりひとりの﹁表現したい気持ち﹂を励ます入門期を経て︑次第に表現は深まります︒隔年開催の﹁音楽会﹂では授業で学んだ多くの歌から3︑4曲を選び︑学年全体で力強く表現します︒歌とリコーダーという簡素なスタイルのステージには︑テクニックに惑わされることのない︑子どもたちの内面の姿・成長が映し出されます︒大切に歌い継がれる曲に懐かしさを感じる上級生や卒業生︒低学年には﹁自分もいつかきっとこの曲を﹂と憧れの気持ちも生まれるステージです︒全学年が一堂に会し︑ホールに満ちる音楽を全身で受けとめます︒音楽自分をみつめる、友だちの声に出会う低学年音楽室ではドラムも楽しむ。みんなの顔を見て、息をあわせて合図を出す。10
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