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 国語で﹃カイコ﹄の説明文を読む︒そしてカイコを教室で育ててみる︒ 卵からうまれてきた蚕はわずか数ミリ︒その姿の変化をたしかめてきた︒日に日に大きくなる幼虫の成長︒食事の量も日に日に増え︑脱皮するたびにからだがぐんと大きくなっていく︒苦手だった子たちも︑少しずつ愛着をもったり︑好きな子はペットのようにやさしく声をかけたり触ったり︒そんな蚕がまゆを作り始めると︑さまざまな感情が芽生えてくる︒子どもたちの葛藤 ﹁せい虫になる前に︑糸を取らないといけないんだけど︑どうする?﹂人間が生きていくために︑くらしをゆたかにしていくために︑生きものの命をいただいていることに︑心を向けた︒﹁ざんこく︒﹂﹁家畜なのだから︑糸をとってもらうことがしあわせなんじゃない?﹂﹁好きで家畜になったわけじゃない︒﹂﹁出来るだけ長く生きることが幸せだと思う︒﹂﹁かわいそうだけど︑シルクをとってみたい︙︒﹂ さまざまな意見が出る︒一つの答えを出すことではなく︑それぞれが命について考えてみる︒糸をとる学び 真剣に糸を捲まく︒細くてすぐに切れてしまう糸を手で撚って糸にすることを体感︒子どもたちは蚕に思いを馳せながら︑シルクの美しい光沢に目を輝かせる︒放課後も夢中に糸を捲まき︑繭がどんどん細くなり︑中から蛹が出てきたとき︑あらためて命について考えていた︒蚕蛾(成虫) 蚕蛾は飛ぶことができない︒口もない︒食事をしない︒こんな信じられないことを知る︒メスが生まれると︑オスがものすごい勢いで羽ばたきメスのところに︒交尾をし︑卵を産むことを学ぶ︒﹁もしかして︑また幼虫うまれる?﹂子どもたちの心に︑蚕の一生が実態と共に刻まれた︒どろだんご作り 低学年の子どもは︑どろだんご作りに没頭する︒幼稚園の時に経験した子と︑初めて経験する子が一緒にどろだんごを生き生きと作っている︒ はじめて挑戦する子は︑どろだんごを砂と水だけで作る︒一方で︑何度もどろだんごを作ってきた子は︑砂と水以外に石灰も使う︒子どもたちに話を聞いてみると︑どろだんごを作っているときに︑小石を取り除いている子もいる︒高学年の子たちは︑低学年の子たちにとってどろだんご作りの師匠だ︒高学年の子たちから﹁どろだんごをストッキングの中に入れるとつるつるになるよ﹂とアドバイス︒﹁うまくできた!﹂﹁ストッキングってすごい!﹂と喜んでいる︒みんなで泥だらけになりながらどろだんご作りに没頭する︒グラウンドの砂︑自然広場の泥︑畑の土︙︒様々な素材を試しながら︑自然と対話しているようだ︒ 遊びは挑戦と失敗の連続であり︑仲間同士関わり合いながら︑遊びを通じて子どもたちは成長していく︒心と身体を存分に働かせ︑仲間と共に成長していく︒桐朋小学校にはそんな遊びの時間がたくさん保障されている︒遊び暮らしといのちから学ぶ蚕に学ぶ卵、幼虫、まゆ・・・シルクといのち18

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