体いっぱい、心いっぱいの表現を! 桐朋小学校では︑2月から3月にかけて各クラスで﹁まとめの会﹂が企画される︒この1年間で培ってきたことをテーマにどのように﹁まとめて﹂いくかが話し合われ︑多くのクラスで劇活動に取り組む︒ 低学年の国語では文学作品を﹁やってみる﹂ことがある︒﹃どうぞのいす﹄や﹃かさじぞう﹄など︑読むだけでなく︑体を使って動くことでイメージが湧き︑文字では描かれていなかった登場人物の気持ちや行動を想像することができるのだ︒ある年の1年生は国語で﹃おおきなかぶ﹄を読み︑簡単な劇にしてみた︒皆でやってみると楽しくて︑誰かに見てもらいたくなった︒そこで階下の桐朋幼稚園へ﹁出張﹂して披露した︒その後︑幼稚園の子たちの中でも﹃おおきなかぶ﹄ごっこが流行した︒ 学年が上がるにつれ︑まとめの会は子どもたちの手で企画︑運営されるようになる︒劇も自分たちで考えたり︑脚本を選んだりするのだ︒演じる内容も単に楽しいだけでなく︑考えさせられるものや︑修学旅行で学ぶ広島を題材にしたものなど︑濃くなっていく︒キャストや照明・音響などの裏方の仕事も子どもたちが担当する︒今までの知恵と力と経験を総動員し︑クラスの表現が引き出された時︑本当の意味でクラスが一つに﹁まとまる﹂のだ︒土に触れ、まなぶ手をかけ、食す 桐朋幼稚園園庭の奥にクラスごとの畑がある︒土に触れ︑作物がどのように育つかを学び︑自然の中で五感を働かせる体験を大切にしている︒1年生は︑大きなスコップで一生懸命に土を掘り起こし︑畑を耕すのが最初の仕事だ︒しかし虫が見つかると興味はそちらに移り︑子どもたちの目が輝く︒﹁あっ︑カブトムシの幼虫!﹂﹁カナブンの幼虫だよ︒﹂﹁うわぁ!大きなミミズだ!﹂﹁ミミズは畑の役に立つんだよ︒﹂﹁アリの巣がある!﹂楽しい発見の連続である︒ようやく畝ができると︑サツマイモの苗を植え︑雑草を抜き︑水をやり育ててゆく︒秋にはしぜんひろばのたき火を囲んで5年生のパートナーと焼き芋の会を持つ︒こうして︑毎年栽培活動に取り組んでゆく︒何を植えるのかは子どもたちと相談する︒キュウリ︑トマト︑ナス︑ピーマン︑オクラ︑カボチャ︒時にはスイカに挑戦するクラスも︒どのように味わうか︑作り方を調べながら︑おうちの方の協力も得て調理してゆく︒例えば大根は豚汁やおでんに︒ベランダに干して︑沢庵にすることもある︒完成を楽しみに︑作る過程を学んでゆく︒野菜嫌いの人も思わず頬張るのは︑自分たちで手をかけてきたからこそだ︒クラス皆で食べる無農薬の採れたて野菜の味は格別だ︒表現活動栽培・畑劇を通じたみんなで育て食べる19総合本当の豊かさを
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