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夏まつりと子どもたち~低学年の自治活動~自治のはじめの一歩﹁朝スポ﹂ ﹁夏まつりをやりたいな︒﹂こんな声がきっかけとなり︑クラスの企画係5名がそれぞれの﹁やりたいこと﹂を持ち寄よってきました︒これまで高学年の委員会が主催する﹁サマーフェスティバル﹂を2度経験しているので︑楽しいイメージはふくらみます︒相談の結果︑各自が﹁お店﹂を出店し︑一年生も招待することになりました︒イラスト︑ボールすくい︑こわい話︑宝さがし︑まと倒し︒そして︑ミニ発表会的な﹁コンテスト﹂︒それらの準備は楽しい事ばかりではありません︒それぞれの思いが噛み合わなかったり︑意思のすり合わせが難しい場面もあり︑開催直前まで﹁ピンチ﹂が何度も訪れたのでした︒﹁今日は2西の夏まつりでした︒ぼくはお絵かきのやたいの係でした︒さいしょは一人しかこなくてがっかりした︒少したったら9人くらいきてくれて︑先生たちもきてくれました︒いろんな人がきてくれて︑心の中でガッツポーズをしました︒﹂︵Y︶﹁今日夏祭りをしました︒ぼくは︑受けつけ係でした︒夏祭り終りょう後に﹁おつかれさま!!﹂と言ってかいさんしました︒つかれたあ︒﹂︵R︶自分たちの﹁やってみたい﹂気持ちをスタートに︑他者と力を合わせ一つのことを為そうと働きかけ︑受け止めていく︒うまくいかないことも重ねながら︑実行までのプロセスを経験することは︑自分達の生活を自分達で創る芽となっていくことでしょう︒ 桐朋小学校には﹁朝スポ﹂という︑各クラスの朝のスポーツの時間があります︒ 先生が朝の打ち合わせを終えてのぞきに行くと︑子どもたちはリレーの真っ最中︒﹁みてみて﹂﹁早く応援して!﹂と汗を流して大興奮です︒﹁朝スポ﹂のめあては﹁全員が楽しめること﹂︒クラスに朝スポ係が生まれ︑﹁やりたいスポーツや遊び﹂をアンケートしてくれます︒ドッジボールが続くと︑﹁2回あたっても大丈夫ルール﹂や﹁1回投げたら︑まだの人にパスするルール﹂など︑ボールが苦手な人も楽しめるような独自の決まりも提案されます︒朝スポがうまくいけば︑スッキリと一日がスタート︒でも︑うまくいかない日もあります︒﹁並んでくれない!﹂﹁ルールがつまんない!﹂などのトラブルは︑クラスを自分たちの手でつくっていくチャンスです︒﹁どうしたら一人ひとりが楽しめるか?﹂をテーマに話し合い︑少しずつクラスの規範を作り上げていきます︒﹁先生が決める!﹂ではなく︑﹁自分たちで気付いていて決めていく︒﹂ここに桐朋小学校の自治の精神が流れています︒1年も過ぎると︑﹁もう︑係はなくても大丈夫!﹂﹁そうだそうだ!﹂﹁ボランティア制にしよう!﹂という声も︒リーダーシップに加え︑誰かの提案に素直に協力しようとするフォロワーシップも自然と育ってきました︒こうした試行錯誤から生み出される自治の体験を大切にしています︒24

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