別冊とうほっこ3
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 私は、入学した時、クラスの池ポチャ第 一号でした。  おめでとうと言われ、通信にのりました。 赤ちゃんは生まれただけで「おめでとう」 と言われますが、この学校は私たちのやる 事、考えることを、生まれたての赤ちゃん のように大切にし、尊重してくれます。 それは、制服で池ポチャした時の「おめで とう」から始まり、 6年間ずっと続きました。  私は、自分の意見を短い時間にまとめて 話すのも、時間内に何かをすばやく終わ らせるのも苦手です。あまりにのんびりし ていて何もおわらないと、親からもよく怒 られます。でも、桐朋は違いました。そん な私の様子も、慣れるまで根気よく待って くれました。子どもがする行動は、すべて 今脳が発達するのに必要なことらしいです。 その脳を発達させる時間をたっぷり与えて くれるのが桐朋の先生と、しぜんひろばと、 個性を認め合ってくれる桐朋っ子の仲間です。  パートナーとの学校めぐり、3年の時の ソーラークッキング、友達との何でも発表会、 自分たちで劇をしたまとめの会、色んな所 で私の脳は少しずつ育っていきました。そ して少しずつ私は、困っていても先生に相 談したり、解決したりできるようになりま した。  よく親に「失敗して嫌になっても、成功す るまでやりつづけるのが成功の秘訣」と言 われていました。失敗しても、おめでとう と失敗をほめてくれたのが学校です。すご いね!と何でもほめてくれたのが友達です。  みんなは、今、当たり前にそんな日々の 中にいると思います。6年生になったとき、 こうしたことのつみかさねがどれだけ自 分の根っこを育てたか、気づくと思います。  決めるのが遅く、道にまよって遅刻した りもしていた私が、今ここで、みなさんの 前で、お話することになるとは、1年の時 は思っていませんでした。  今も私は昔と変わらずマイペースですが、 思い切って何かをしようとしたり、嫌でも 続けたりしようとする気持ちを、桐朋は 育ててくれました。  これが私の6年間の桐朋での思い出です。 私は池ぽちゃ第1号。在校生に向けた6年生のスピーチから 7

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