別冊とうほっこ5
3/8

成功したものの︑同時に︑通訳の方にも助けられたことを通して︑外国語の代表格のはずの﹁英語﹂が﹁通じないことだってある﹂と︑身をもって知った子どもたち︒それでも︑そんな子どもたちの思いに︑通訳を待つ時間を惜しむように︑身振り手振りで応えてくれたゲストの皆さん︒通じなくても︑伝えたいことがある︒伝えようとしてくれたから︑自分たちのこともわかってほしい︒そんな出会いの経験が︑世界を学ぶ原動力になって︑﹁地球市民﹂ として育ってゆくのだと考えます︒ 日々の暮らしと 世界の課題を 地続きに感じる力を  休み時間に大好きな〝しぜんひろば〟に駆け出す低学年の子どもたちは︑そこで四季のさまざまな顔に出会います︒そんな日々の積み重ねは︑少し上の学年で︑環境問題に出会うとき︑漠然とした﹁地球﹂ ではなく﹁私たちの大切なあの場 所﹂として捉える原体験になっていきます︒水辺の生き物に親しむ子どもたちは︑海洋プラスチックのゴミ問題に自分ごととして向き合うようになるでしょう︒土に触れ︑畑を耕し︑収穫物を味わい︑作物の皮を肥料として土に還す経験をした子どもたちは︑世界の食糧問題とどう向き合うでしょうか︒地球をいつくしみ︑そこにある命を尊重し︑ 多様な暮らしを認め合う感覚を育むこと︒それも﹁地球市民の時間﹂ の大切な学びの視点なのです︒ 子どもたちを育み、子どもた ちと育つ、〝しぜんひろば〞  さて︑しぜんひろば着工当時の校長・園長︑宮原洋一さんは︑子どもたちの遊びのパワーこそが人間の根っこをたくましく育む︑そのためには︑子どもたちが心ゆくまで〝あそびきる〟﹁空き地/場﹂が不可欠と考えました︒草が茂り︑木登りができ︑小さな池と小川のあるこの小さなしぜんは︑誕生から 20 年が経過して当初の位置からすこし移動しましたが︑ますます大切な場所として子どもたちと共に成長しています︒ここで過ごした幸せな子ども時代が〝人間の根っこ〟を養い︑世界の課題を地続きで考えられる︑たくましい﹁地球市民﹂につながっていくと考えます︒ *2023年末に逝去された宮原さんは 写真家でもありました。初等部が発行 するブックレットでも、子どもたちの生 き生きした表情をご覧いただけます。 (みやはら・よういち) 1967年、桐朋小学校に着 任、1995年より校長・園 長として、2004年に退任 されるまで、37年間勤務。 3 イスラミックスクールの子どもたちに日本や桐朋の魅力をプレゼンテーションする6年生。 〝スリランカに出会う〟民族衣装のサリーを体験。子どもたちが大好きな 〝しぜんひろば〟。 宮原さんの写真による 初等部ブックレット 出会って、つながる ─ 地球市民。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る