創立80周年を迎えて [Ⅱ‐281]
桐朋学園は、今年度創立80周年を迎えています。桐朋学園は、国立市にある男子部門、調布市にある女子部門、音楽部門の3部門から成り立っています。3部門は、それぞれの歴史と教育の特色を持ち、部門の教育と運営に主体性と責任をもっています。それが相互に良い影響を及ぼし合い、学園全体に大きな活力を生み出しています。
桐朋幼稚園と桐朋小学校は、「女子」部門にあります。「女子」部門の教職員として、どのような「女子」(女性)に関する教育をすすめていくのか、創立80年をきっかけに改めて考えていこうと思いました。
現在の日本において「女子」(セクシャルマイノリティもきちんと位置づけるべきですが、できていません)という視点から考えてみますと、ジェンダー、経済や仕事、政治などで様々な大きな課題があります。「女子」(女性)について過去をみれば、敗戦後まで女性は参政権がなかったなどがあります。現在、世界中で日本の「女子」(女性)は酷い状態におかれた現実があります。たとえば、国会議員女性比率は140位/156カ国(同じような国はありますが、候補者の男女割を導入し女性政治家を増やすなど変化させています)、管理職に女性が占める比率139位/156カ国、OECDの中では断トツ最下位(2021年)です。他にも、男女間の賃金格差、企業の取締役、研究者、医師、法律職など女性比率が最低レベルです。
こうした過去と現在に対して、保育や教育では「のびのびと〈あなたらしく〉」、「ともに学び、成長できる仲間づくり」、「日本社会における「女子」に関する教育の大切さ。『不平等のままではいけない』。あなたの社会は、自分(たち)が変える社会」をすすめることなどが大切な課題になっていると考えます。
過去と現在の状況から、「女子」の育ちや社会についてもっと考え、取り組むことが必要と考えます。そして、未来は「ジェンダーにこだわらなくて済む社会」にしていきたいと思います。
保育、教育を通してどんな社会を実現していきたいのかを考え合い、実践を通して社会に発信していきたいと思います。