教育理念
理事長より
「一人ひとりの子どもたちを主人公とした学校でありたい。」それが桐朋小学校の願いです。
桐朋学園の教育理念をひと言で表すなら、「一人ひとりの人格を尊重し、自主性を養い、個性を伸長するヒューマニズムに立った教育」です。人間性豊かで、自主的、創造的な人間の育成をめざす桐朋学園(男子・女子・音楽)三つの部門は、現在、それぞれが独自の特色を確立していますが、根幹にこの精神が共通して流れています。そしてこの理念は戦後日本の教育改革と密接な関わりを持ってきました。
理事長 河原勇人
学校の創立は昭和16年。山下汽船株式会社の社長山下亀三郎氏が、学校の設立資金にと多額の寄付を申し出られ設立されたのが、山水中学校(国立)と山水高等女学校(仙川)でした。しかし間もなく敗戦を迎えると、学校の運営母体であった財団と共に両校は存亡の危機に瀕することとなります。学校の存続を願う関係者の懸命な努力に応えたのが、当時の東京文理科大学・東京高等師範学校(後の東京教育大学)で、その指導と協力を得て桐朋学園は誕生しました。桐朋の桐は東京高師の校章の「桐」に由来します。
「6・3制」の施行により新制中学が発足した昭和22年4月、桐朋第一中学校(国立)、桐朋第二中学校(仙川)両校の初代校長に、東京文理科大学学長、務台理作が就任しました。翌23年、新制高校が発足すると、桐朋中学・高等学校(国立・男子校)、桐朋女子中学・高等学校(仙川・女子校)の中高6カ年一貫教育の体制がここに整います。務台理作は高名な哲学者で、戦後日本の教育改革を教育刷新委員会の中核として率い、「教育基本法」の制定に関わりました。そして、桐朋教育の基本理念に「教育基本法」の根本精神を据えたのです。この理念が桐朋学園の教育を支え、今日まで脈々と受け継がれてきました。
桐朋学園の教育の特色のもう一つに、高度な芸術教育があります。世界に冠たる音楽の桐朋は、60年を越える歴史を持ち、「子どものための音楽教室」に始まり今や大学院まで有する音楽教育の雄(音楽部門)、一方、演劇と音楽に特化して優れた人材を輩出し続けるのが芸術短期大学(女子部門)です。こうした高度な芸術教育が桐朋学園の他の各学校に及ぼす影響は計り知れず、児童・生徒の人格形成に芸術教育は欠くことのできないものとして溶け込んでいます。
桐朋小学校の子どもたちは学校が大好きです。「子どもを原点とした教育の実現」、「社会の主人公となりゆくための根っこを育てる」という二つの教育目標に見守られながら、子どもたちは緑豊かな教育環境の中、自由に伸び伸びと成長を重ねていきます。
桐朋小学校の子どもたちは、毎日新しい発見の連続です。学びを通し、遊びを通して子どもたちの中に芽生えた夢は、個性を尊重し、知性と感性のバランスよい教育の中で、大きく大きく育っていきます。