「遊ぶ、学ぶ、笑う。そんなあたりまえを、世界の子どもたちに。」 [Ⅱー288]
ACE代表/創設者の岩附由香さんに授業をしていただきました。岩附さんは、桐朋学園小(国立)、桐朋女子中高(仙川)ご出身です。
桐朋小学校は、2020年度より「地球市民の時間」(多文化共生教育、国際理解教育、外国語)の実践と研究をすすめています。子どもたちが、現在と未来を地球市民として、世界の平和や持続可能な未来のために考え、行動できるよう根っこを育てたいと考えて取り組んでいます。外部の講師より学び、考え合うことを大切にしています。
岩附さんは、「遊ぶ、学ぶ、笑う。そんなあたりまえを、世界の子どもたちに。」を大切に、西アフリカ(ガーナ、コートジボワール)の子どもの様子、児童労働の実態、児童の学習支援などを伝えてくれました。児童がカカオを鉈で切った時に大怪我をすることや重い荷物を運ぶ仕事(体への影響)などたくさんのことを知りました。
私たちはチョコレートを買う際に、「カカオ農園で働いている子どもを想像してみる」「フェアトレードという公正な価格で取引がされているか考える」「パッケージに注目して企業を知る(企業を応援する)」などをしていくことができると学びました。これから実践してみようと思います。
岩附さんがACEを立ち上げて実践されるまでには、桐朋学園でご自身を成長させていたことが根っこにあると考えました。2021年4月13日の東京新聞「紙つぶて」掲載された文章を取り上げます。その文章の中に、「今の私の羽ばたきは、この学校の個性をつぶさないおおらかさの延長にある。」と書かれていました。以下引用します。
翼を折らない学校
私は東京の桐朋学園で小、中、高校時代を過ごした。指揮者の小澤征爾さんの出身校として音楽大学が有名だが、普通科もある。女子高の卒業生は日本初の女性旅客機機長、写真家やオリンピック選手など、多方面で活躍している。
いま振り返って、ありがたかったなと思うのは学校のおおらかさ。小学生のとき、三年生の担任の先生がみんな大好きで、年度末になると、職員室に行き、担任を代えないようにお願いし、結局、卒業まで四年間、受け持ってもらった。学校の慣習を超え、子どもの声を聞いてくれた。
中学二年生のとき、当時、流行った漫画に感化され、私の髪の色が茶色になった。昭和六十年代、まだ大人も髪を染めるのが普通じゃない時代、どう考えても目立った。しかし、担任の先生は「岩附、やっぱり髪は黒い方がいいな」と一言いっただけ。校内で問題になっていたはずなのに、学年の先生方に守られていた気がする。その夏に米国へ転居したので、私の茶髪問題は解消した。
帰国した高校時代は体育祭や文化祭に情熱を燃やした。エネルギーを持て余し、枠から外れがちな私でも受け入れられていた感覚がある。ノーベル平和賞を受賞したマララさんのお父さんの言葉を借りれば「翼を折らない」ということか。今の私の羽ばたきは、この学校の個性をつぶさないおおらかさの延長にある。(NPO「ACE」代表)
学園案内には、「桐朋学園の教育は、健康な心身を育て豊かな感性を養い、十分な基礎学力を育むことを基本としていますが、さらに、一人ひとりが人間性を全面的に発達させ、自分の考えを持ち、社会に有為な人間に成長していくよう、様々な経験の場を系統的に準備しています。」と書かれています。その願いと取り組みをあらためて大切にしていきたいと思いました。