子どもが育つ環境を大切に守ろう [Ⅱー343]
1、有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)の検査
2023年、地下水などから検出されている「有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)」(注)の報道がされています。3月29日東京新聞によれば、「PFAS汚染は、全国の米軍施設や工場周辺で深刻化。東京都多摩地域では米軍横田基地の周辺でも、水道水に利用する地下水から高濃度で検出され、都水道局の井戸34本が取水停止となっているが、汚染源は特定されていない」(「都が汚染によって取水を停止した井戸が11の浄水施設(7市)の34本に上る」「一部浄水施設では約15年前から高濃度で検出されており、市民団体は「都は汚染源を早く特定し、対策をとってほしい」と訴える」東京新聞1月3日報道)と書かれていました。
PFASは、環境中でほとんど分解されず、人や動物の体内に蓄積されやすいと言われています。「がんや心疾患による死亡リスク上昇との関連や、出生体重が減少する恐れが指摘され、近年、国際的に使用の禁止や規制が進む」(東京新聞1月3日報道)なども言われています。子どもたちが安心して過ごせるように、子どもたちが授かった命を活き活きと輝かせられることを願い、これからの調査によって、汚染源の特定や対策を求めていきます。
桐朋学園は地下水を大切に使用していますので、「有機フッ素化合物PFAS」検査を学園としても実施しました。その結果、基準以下の数値でした。専門の検査機関の調査結果では、桐朋学園の井戸原水で「PFOS 0.000015㎎/ℓ」「PFOA 0.000005未満㎎/ℓ」、浄水で「PFOS 0.000005未満㎎/ℓ」「PFOA 0.000005未満㎎/ℓ」でした。0.000015㎎/ℓ=15×10-9g/ℓ、0.000005未満㎎/ℓ=5×10-9g未満/ℓとなります(-9は、右上に小文字で表記。以下も同様)。PFOSとPFOAの合計が、1ℓ当たり50ナノグラム以下(50×10-9g/ℓ)と定められている基準以下の数値でした。※PFOA=パーフルオロオクタン酸 ※PFOS=パーフルオロオクタンスルホン酸
調布市からは、「市内には、上石原、仙川、深大寺の3つの給水所があり、定期的に東京都が測定を続けていますが、いずれも暫定目標値を大きく下回っており、特に問題はない旨が、東京都水道局から報告されています。」と回答がありました。(「調布は、上石原配水所で2本の井戸が停止」東京新聞1月3日報道)
(注)「有機フッ素化合物PFAS」について
主にフッ素と炭素から成る化合物の総称です。水、油、熱に強く、泡消火剤や塗料、フライパンのコーティングなどに使われてきました。その物質は、自然分解されず環境中や人体に長く残り「永遠の化学物質」と呼ばれるそうです。
日本では、2020年「毎日2ℓの水を飲んでも健康に影響がないレベルとしてPFOSとPFOAの合計で1ℓ当たり50ナノグラム以下と定め」られました(1ナノグラムは10億分の1グラム)。アメリカの公的機関では、血中1mℓに20ナノグラム以上で肝臓がんなどのリスクが高まるとの研究結果もあるそうです。(同上、東京新聞記事参照)
ここまでの4枚はしぜんひろばの写真です。左は、同窓会の皆さんよりいただいたシダレザクラです。今年も見事に咲いていました。5月1日、大モミジを専門家に見ていただいたところ、よく育って活き活きしていると言われて嬉しくなりました。
2、2012年度から毎月実施している放射線測定
子どもたちが安心して過ごせるように、命を活き活きと輝かせて生きていけるように願って、毎月の測定を行っています。測定は、子どもたちが土や砂で遊ぶ、活動する場所で行います(幼稚園砂場、畑、しぜんひろば、小学校グランド砂場など)。最近の調査から。
・園庭砂場(中央5cm) 0.059μSv(マイクロシーベルト)/h
・園庭真ん中 0.042μSv/h
・小学校砂場(中央部5㎝) 0.054μSv/h
・アスレチック下砂場 0.052μSv/h
・畑(水場から近くの畑) 0.033μSv/h
・職員室前花壇(1年生がチューリップ球根を植えるなど) 0.051μSv/h
空間放射線量の値μSv/h×24h×365日で、年間積算の放射線の人体への影響量(Sv/年)を計算します。国の年間放射線積算量基準値=1mSv(1ミリシーベルト)で、今回で一番測定値の高い園庭砂場の年間放射線積算量を計算しましたところ、0.059μSv/h×24h×365日=516.84μSv=0.517mSv(0.517ミリシーベルト)となりました。
今後も、子どもたちが育つ環境を大切にしていく取り組みをすすめていきます。
左が園庭のムクロジ。右が正門のヒマラヤスギ。