5年生 中学進学についての説明会 [Ⅱー371]
桐朋学園には、推薦制度があります。子どもたちがその発達段階に相応しい保育、教育を受ける大事な条件になっており、大きな意味を持っています。特に、幼児期、児童期の教育にとって、ゆっくり、じっくりと発達していくこと(「理解されている喜びや実感を得る」「自分への肯定感が生まれる」「新しいことに挑戦するときの安心感が生まれる」「安心して感情を開放する。感情表現が豊かになる」など)は、その後の発達の基礎をつくる時期ということからも大切にしなければならないことです。
昨日、5年生の保護者の皆様に、中学進学について説明会を行いました。推薦制度の意味をあらためて理解していただいて、家庭と学校とで足並みをそろえて、お子さんのよりよい成長のために取り組んでいこう、少し長い見通しで進学について取り組んでいこう、という願いがあります。
5年生の作品
説明会では、桐朋中学校、桐朋女子中学校について、お話をさせていただきました。参考にしたのは、PTA機関誌『わかぎり』と、高校卒業文集です。
桐朋中学校 校長 原口大介先生より
[桐朋中学校の教育方針や特色] 自ら考え、行動する姿勢を身につけてほしい。教育目標として第一に上がるのは、自主的精神を養うことです。自主的な取り組みにおいて最も大切なのが、個性を自分の力で伸ばしていくこと。やりたいことに打ち込める環境があり、周りも理解を示し応援してくれる。その大切さを生徒が自覚し、校風ともなっているので、個性豊かな生徒が多くいるのだと思います。また、他人を敬愛する、を掲げています。友人の持つ良い点に目を向け、お互いを応援し支えあうという発想を持ってほしい。これらの校風によって、自分から取り組んだほうがおもしろいな、自分にも何か力を発揮する場所があるのではないかという思いを、生徒一人ひとりが抱くようになると感じています。
[授業の特色]略
[桐朋小の子どもたちの印象] 個性的で発想がユニークでのびのびしている。既成の枠にとらわれすぎない、豊かな視点を持っていて本校の起爆剤になっています。受験を経験してきた生徒とは、勉強の練習量に違いはあります。教員としては、育ってきた環境が違うので練習量の差は問題ではなく、中学に入ったらこれから頑張ろうという前向きな気持ちでスタートを切ってくれたらと思っています。桐朋小の生活の中で、自分から取り組もうという意欲や豊かな発想力は身についていると思いますので、そこを活かして前向きな気持ちで取り組んでほしいです。
[小学生のうちに身につけてほしいこと] 一生懸命になれるもの、没入できる力、のめりこめる力が将来の成長や飛躍のための大きな力になります。自分はやればできる、努力すればいい方向に進めるという経験を持っていると苦手なものにも向き合えるようになります。好きなことを見つけて、試行錯誤しながら熱中し探求する体験は大きな財産ですし、与えられた時間を自分にとって魅力的な時間に変えられるような経験を持っている子はたくましいです。
[桐朋中学校の良さ] 昨年度、今年度と、陸上の全国大会で2連覇を果たした生徒がいます。陸上部の生徒たちの話を聞く機会がありました。仲間と工夫しながら、自分たちの力で頑張りたいという思いがあるので、生徒同士で話し合い、全体の雰囲気を高めていくことができる。お互い良い刺激をうけて、それぞれの良さを認めることができる雰囲気がこの優勝につながったと話をしてくれました。仲間や先輩たちと過ごす学校生活の中で、自主的に取り組む体験をし、自分も頑張りたいという気持ちに自然になっていく、そのような良さが桐朋中学にはあると思います。
桐朋女子中学校 校長 今野淳一先生より
[中学校の教育方針や特色] Learning by Doingー。為すことによって学ぶ。アメリカの教育学者ジョン・デューイ氏によって提唱された教育の概念。我々の先輩教員はこの考え方を桐朋女子の教育の中にとり入れ、生徒自らが主体的に学び行動する場面を数多く作ろうと、いろいろ工夫してきました。その結果、実習や実験等、主体的に学び本物にふれる教育が、どの教科でも数多く取り入れられています。例えば、レポートです。予めテーマが与えられるものもあれば、自分でテーマを探すものもあります。いずれも、自分で調べ、観察し、考えることが、主体的に働くことにつながります。中1からレポートの書き方を系統立てて学び、書くことを数多く経験します。教員の細かい指導により、スキルを段階的に身につけていくことが出来ます。在学中は大変ですが、レポートの書き方やフォームを身につけることは、大学生になっても社会人になっても基盤となります。また、理科の実験室は7部屋あります。教科書を使って学びだけでなく、イワシやハマグリの解剖等、自分の手を動かし本物にふれることを大切にしています。その他にも体育祭や文化祭、ミュージックフェスティバルなど学校行事は生徒たちで運営し、教員はサポート役にまわります。
[先生との個人面談]略
[小学生のうちに身につけてほしいこと] 基礎的な学力はしっかり身につけてきてほしいです。苦手な部分があってもいいんです。頑張ってやる姿勢を身につけてほしい。桐朋小には図書の時間がありますね。物語や伝記などを読んでその情景を自分の中で想像したり、この人はどんな苦労をしたのかなどと想像したりする場面を、たくさん持ってほしいと思います。また、学校行事や遊びなどいろいろな経験をして、どんなことも一生懸命、積極的に取り組んでほしいです。桐朋小にはそれらの力が身につく環境があると思います。初等部出身の生徒たちは中学に上がっても、くらいついてくると感じる場面が多々あります。
[桐朋女子中学校の良さ] 多くの学校行事を生徒たちで仕切るため、力仕事も生徒たちでこなし、仲間と工夫してどんどん動く姿が見られます。リーダーシップや積極性、コミュニケーション力を養う経験を多く積めるのも、桐朋女子の良いところです。誰かの目を意識することなく、自由にのびのびとしている雰囲気があります。この冬に導入した制服のスラックス購入者は、メーカーさんが驚くほどでした。高校から入学したある生徒は、中学からの子はみんな自分を持っていて、いつも自然体で素の自分でいるので、私たちも構えることなく素の自分でいられると言っていましたが、私も同感です。こういったところも、桐朋女子の良いところです。