幼児期、児童期には、〔具合〕や〔加減〕、〔呼吸〕を身体で覚え、技術や人間関係のつくり方を身につけていきたい [Ⅱー375]
しぜんひろばで、一本綱ブランコに憧れる園児がたくさんいます。友だちや小学生が楽しそうに揺られているのを見たら、乗ってみたい気持ちになるのでしょう。
しかし、座る位置が高く、持ち手や座面が不安定で、乗ることに対する難しさも感じるようです。座面に乗れるようになった人が、片足をかけて乗る、ジャンプして飛び乗るなどの見本を見せてくれます。また、不安定な座面を押さえて、乗りやすいようにする人もいます。押さえている腕に、乗る人の足が当たることもありますが、相手が乗れることを願って支えています。いろいろなやりとりが良く、見守ります。
乗れた! 「先生、揺らして~」。揺らしてほしい願いを受けとめて、「まず友だちに頼んでみよう」、小学生がいたら「小学生に頼んでみよう」、「最後に押してあげるから」と伝えています。押してくれる友だちがいてこそできることを感じてほしいと思います。
押してみると、どこに触れて、どうやって押すと上手に揺らすことができるのか、うまくいかないことも経験します。押し方のコツや乗る人との間、リズムを感じ、乗っている人の心地よさも感じてほしいと思います。
乗って揺らされてみて感じる怖さもあります。ロープにしがみついて、「止めて」と必死に伝え、止めてもらいます。揺らされてたいへん気持ちよくなる人は「もっともっと」とお願いしています。どの経験も、とても大切です。
子ども同士、お互いに支え支えられて、押して押されてを繰り返すなかで、〔具合〕や〔加減〕を知る、相手との〔呼吸〕を身体で覚え、技術や人間関係のつくり方を身につけて欲しいと思います。リアルな人間同士の〔具合〕や〔加減〕や〔呼吸〕を体得したり、他者との間合いをはかったりしながら関係をつくっていくことを大切にしてほしいのです。
触れ合いの中ではたらく「触覚」は、主体と客体の間に距離がありません。心理臨床家の高垣忠一郎さんは、「ふれる側とふれられる側が『いま・ここ』の同時に存在するという『同時性』と『実在性』に、『ふれる』ことの特徴がある」と言います。また、「触感覚」は視覚や聴覚のあり方を基礎づける「根源的感覚」と述べています。幼児期、児童期にその「根源的感覚」を育ててほしいと願っています。
*子どもの「こうありたい」「こう生きたい」ねがいを読み取り、受け取ること。その子ども(たち)の発達の力に焦点化して書くことができませんでした。今後の課題です。
1枚目 小学生の様子をみる園児、2、3枚目 園児のかかわり、4枚目 園児を見守る小学生
わたしたちが抱えている課題(たとえば人々が平和に仲良く暮らすにはどうしたらよいのか、地球環境の危機的な状況を変えていくにはどうしたらよいのかなど)に取り組むうえで、乳幼児期から人と交わることや自然との触れあいを心地よいと思える感性がはぐくまれていることが大切だと考えています。それは、子どもたちが夢中になって遊ぶ、学ぶなかで身に着けていきます。
好奇心や感動に突き動かされ、身体と五感をたっぷり使いながら、感じ、考え、行動する力(学びを喜びとする力)を育みたいと考え、子どもたちとかかわっています。