共生、循環 [Ⅱー395]
梅雨が明けて、たいへんな暑さが続いています。急激な天候の変化にも、注意が必要です。皆さん、お互いに気をつけて過ごしましょう。
私たちは、地球「沸騰化」、戦争などの課題に向き合って生きています。課題を考えると、「共生」や「循環」ということを大切に生き、未来を築いていくことが必要ではないかと考えます。
理学博士の中村桂子さんは、「生きものの世界ではすべてが循環していることに注目」され、二酸化炭素の排出が光合成の素材となり、有機物に戻され、自然界で役に立つこと、炭素の循環に取り組むことが大切だと述べています。共生について、一人ひとりに目を向ければ、「私たちの体をつくる細胞は、バクテリアをとり込み、自分のなかで共生させることででき上った」ものであり、自分の「腸には1000種を越えるバクテリアが100兆個以上棲みついて」いて、「私という個体も共生でできていること」を学びました。他にも「共生」「循環」についてたくさん学ぶことがありました。
「共生」、「循環」を子どもたちと学び合いたいと考え、どんな学習材があるかを探しています。1学期、2冊の本と出あいました。
写真はすべて年長児の1泊2日合宿から
●命の繋がりを感じ考える『のにっき―野日記―』(近藤薫美子・作、アリス館)
イタチの死。その死骸を様々な生きものが食べ、命を繋いでいます。虫たちが「う~んいいにおいがする」「そろそろふゆじたくにかかろう」「なんかあきのおわりのおまつりみたいね」などと、イタチに集まってきました。それから冬、春を迎え、たくさんの生き物が育ちます。育った実や育った虫を食べる鳥やねずみを捕まえてイタチの子どもが食べる様子なども描かれています。
新たな命が生まれる過程で、消えていったものがたくさんいます、「地球上にいる様々な生きものたちがお互いに関わり合いながら存在している」、「多様な生きものたちと共に循環の中で生きる」などを感じ、考えさせられます。
日常生活で、いのちは大切であると考えながら、私たちは、動物、植物のいのちをいただいています。食べものとなる生きものから見たら、いのちを奪われることです。中村桂子さんは、「生きものの世界はこのようにできており、その矛盾を引き受けながら生きていくのだという気持ちをもつことが大切」と述べています。
●水の働き、水と生物のつながりについて考える『みずとはなんじゃ?』(かこさとし・作 鈴木まもる・絵、小峰書店)
水は、地球の生きものが暮らすために、とても大切な働きをしていることを述べています。水の性質をまどさんは「にんじゃのように、やくしゃのように、なんどもすがたをかえることができる」、「ちきゅうのいきもののいのちをたもつためのりょうりにんのような、いしゃのようなはたらき」をすると述べ、「クーラーのような、ふとんのようなはたらき」で生きものを守り、育てていると述べています。
この本には、かこさんがこれまで描いてきた様々な主人公たち(「だるまちゃん」「からすのパンやさん」など。「いろいろな違いが違いのままでいいし、そのまま存在していくことの根太さというか、逞しさを感じられる」枝元なほみ)も出てきます。かこさんは、私たちにたくさんの宝ものを残してくれました。