2026.5.18

幼児期に大切にすることは何ですか? [Ⅱ‐462]

 16日は、幼・小の説明会でした。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

 小説明会で、私からの話の最後に、昨年度までたくさんの方に質問された「どのような幼児期を送ってほしいと考えられていますか」、「考査に向けてどんな準備が必要でしょう」ということに触れました。もとにしたのは、2023年12月、朝日新聞DIGITALの「小学校受験のいま 第4回早実初等部、桐朋小、成蹊小の校長に聞く 小学校受験、何を重視?」(聞き手 中井なつみ記者)でした。

   右写真 靴にとまった!

 「成果・結果」だけを気にするのではなく、「できないけれど、やってみたい」「やってみることが楽しい」という気持ちで、「過程」を大事にできる子どもに育ってほしい

 学校のホームページで、「入学考査のための準備教育を望ましいことではないと考えます」と明記しています。試験を課しておきながら、「何もしないでほしい」というメッセージを発信しているのは、受験準備の過程で、大切な幼児期をゆがめてしまうことにならないか、と危惧しているからです。

 机に座らせて何枚も問題を解かせたり、絵を「こういう風に描きましょう」と正解があるかのように教えたり。そんな受験対策を見聞きすると、「できる、できない」という二分的な思考しかできなくなってしまうリスクを感じています。子どもは、大人の期待を敏感に感じ取ります。「できないのが悪いこと」というメッセージが伝わってしまうのではないでしょうか。

 「成果・結果」だけを気にするのではなく、「できないけれど、やってみたい」「やってみることが楽しい」という気持ちで、「過程」を大事にできる子どもに育ってほしいと思っています。

 ただ、定員が決まっていて選考をする以上は、合格、不合格という結果は出てしまいます。選考基準については具体的にお伝えできることが限られており、それが、さらにご不安を与えてしまうということに申し訳ない気持ちもあります。

 発達の可能性をたくさん持つ子どもたちを、「できる・できない」といった尺度だけで選別していくことがないよう、多様な側面で捉えることを意識して考査に臨んでいます。絵が上手だから合格する、難しい言葉をたくさん知っているから合格する、という基準ではないことは伝えておきたいと思います。

 試験は、幼児にとっては「初めての場所」です。大人の前で試験を受けることは大きなプレッシャーになるでしょう。限られた時間、限られた試験内容でどう子どもを見ていくのか。教員である私たちも日々議論を重ねています。(後略)

オオモミジ(左写真)の他に、木のぼりできる木がほしい! みんなで話し合って、イチョウ(右写真)を育てています

 続いて、桐朋教育研究所発行の『桐朋教育』の記事からです。

 幼児期において、心ゆくまで回り道のできる時間や空間、自然の中で感性を育む遊び、多様な他者との関わりを

 入学考査の準備教育は望ましいものではないと考え、前もって特別な準備をしなければ解けないような問題は出題しません。5、6歳の多くの子どもたちが、日常生活や遊びの中から自然に身につけている知識や技術、感性や行動を見ていくことを大事に考えています。

 入学考査の中で、社会性の発達も大切にみたいと考えます。近年、授業中に立ち歩いたり、我慢ができなかったりという低学年の人たちの状況が指摘されています。「やってみたい」「知りたい」という気持ちが湧き出て学びに向かう主体性とともに、「楽しいよ」「楽しいね」と仲間と響き合って一緒に取り組むことから生まれる社会性を育んでいきたい。こうしたことは一朝一夕に育つものではありません。家庭や集団の中での丁寧な関わりやコミュニケーションの蓄積こそが、社会性のもっとも大事な基礎となります。

 だから、幼児期においてはゆっくりした時間を楽しみ、家庭で安定した生活を送り、幼稚園や保育園などでたっぷり遊ぶことが大事だと考えます。幼児期から知識を詰め込んだり、しつけまでも外注化したりするようなあり方が、子どもたちの発達にマイナスの作用を及ぼすこともあります。小さい時から比較されて競争の中で育ち、幼児にふさわしくない過度の要求や型にはめられる経験をひきずってくる子もいます。

 本校の教育は、実際に実物を見たり、触れたり、生の経験や生活体験を大切にしています。また、ご家庭と協力し、手作りで作りあげていくことを大事にします。私たちは入学考査も桐朋小学校の教育の第一歩でありたいと願い、今後もより良い内容を模索しています。

一覧に戻る