願いと実践をつなげていけるように [Ⅱ-157]
私たちは、子どもと授業、子どもと実践をたくさん語り、学び合いたいと思います。時には、どんな園や学校にしていきたいか話し合います。それは次のようなことです。●私たちの保育、教育目標について、子どもをどう見て、励ましているかなどを語り合う。●私たちの保育、教育の社会的意味を考える。内容が社会的に認められるものをつくり出していけるようにしたい。●私たちの未来、こんな社会、世界をつくりたいという大きな夢も語り合う。
初等部では、「一人ひとりの、幸せな子ども時代のために」ということばを使います。その意味は、「一人ひとりが授かった命を大切に育み、自分らしく命を輝かせる、なかまや大人とかかわり、ちがいを認め合い、ゆたかな世界をつくり出していくことです。別のことばでいえば、「個の尊厳」「基本的人権」を大切にし、その子その子の人間性を豊かに育むこと」を願っています。
別のことばでいうと、あせらず、ゆっくり、たっぷり自分らしく子ども時代を過ごすことができる。一人ひとりが感情や意思をもった人間として尊重され、なりたい自分に向かってその子の可能性が最大限伸ばされるよう応援してもらえる。自分に関係あることについては意見を言える、その意見は考慮されなければならない(意見表明権)。大人になったとき自由な社会の中で自分の発言や行動に責任がとれるように子ども時代から経験し、学んで準備をしていく。その子にとって何が一番いいかが最優先して考えられる(子どもの最善の利益)などを大切にしていくことです。
私たちが大切にしている「自治」では、大きな夢として、すべての市民が、政治主体として政治に参加、参画するようになるということへの願いを込めています。環境、平和、子育てなど、市民が当事者である問題が普遍化する現代を一人ひとりが主人公となって創っていきたい。一人ひとりが思考、判断し、行動に参加する主体になりたい。そのためには、「子どもの権利条約」にあるように、意見表明権やその思想から子どもたちに保障していくことが大切で、幼小期よりそうした力を身につけるような保育、教育をすることが大切だと考えています。
はじめに述べた3つのことがつながるように、試行錯誤しながら、日々の取り組みを大切にしていきたいと思います。
図書室には、「かこさとしさん、ありがとう」の紙とたくさんの飾りが貼られています。かこさんの本が好きな子たちがたくさんいます。「これからの未来をおしすすめ、/もっとよい世界にするため/科学や学問を身につけ/ちがった意見をよくきき、/考えをふかめて実行する/かしこい人にみんななってほしいと/願っています そして 自分のくせや体力に合った/やり方や練習法をみつけて、/自分できたえて、たくましくて/しなやかな能力と すこやかな心を/そなえた人になるよう努力してください」というかこさんのメッセージを大切にしていきます。