2018.6.21

1998年にできたしぜんひろば[Ⅱ-158]

 昨日、元校園長の宮原洋一先生より、「しぜんひろば」にかかわる資料一式をいただきました。資料の中に、「しぜんひろばクラブ」の通信がたくさんありました。当時、宮原先生がしぜんひろばの川から草原に投げられた小石を拾っていると、「いっしょにやっていい?」という子がいて、楽しそうに小石を拾いはじめたことがクラブのはじまりだそうです。それから自然発生的に子どもも参加して管理の仕事ができるようになり、ボランティア活動を呼び掛けると25名ほどの子どもたちが集まって「しぜんひろばクラブ」が発足しました。

  1999年

 いただいた「しぜんひろば」通信からいくつかを紹介します。

 これは困った困った石のしまつ?

 池の中にある石で遊ぶのはいいのですが、石を投げたり、人に迷惑になることはしないでください。大きな石をコンクリートなどにたたきつけないでください。そうすると、コンクリートにひびが入ってしまいます。

 元気に泳ぐ金魚ちゃん

 しぜんひろばクラブでは、金魚を4匹池にはなしました。さっそくすくって教室に持って帰った人がいます。その人は返しましたが、とったりしないでください。元気に泳いでる金魚ちゃんを見てください。

 え? そうじしてたら とんぼがとびだした

 五月二八日(月)のしぜんひろばの活動では、ポンプしつの掃除をしました。鉄のふたをあけたところ、むぎわらとんぼが飛び出しました。ポンプ室の中でやごがとんぼになったようです。暗いポンプ室に閉じこめられていたとんぼは、しばらくそばにとまっていましたが、空高く飛んでいきました。急にとんぼが出てきたので、しぜんひろばクラブの人たちは、びっくりました。

 ざくろの花が満開です

 今しぜんひろばでは、ざくろの花が、今、満開です。だいだいいろの花が咲いている木がざくろです。

などでした。他には、「ざりがに逃げ出す」「たなごなどの魚を池にはなす」「とんぼたすかる」「おおばこ増える」などが書かれていました。はじめの方はいろいろな「訴え」もありますが、だんだんとその子その子の発見が豊かに表現され出して、嬉しい気持ちが伝ってきました。

 「しぜんひろば」の誕生は、1998年秋。「子どもをめぐって殺伐とした出来事が日常化してしまった現代において、そのことを憂えたり、評論したりしてもはじまらないので、少しでも子どもたちの成長にとってよい働きをする環境を整えたいという強い想い」(初等部ブックレット『子どもを原点とする教育』宮原洋一)が込められていました。

 「それから一年後、この広場は小さな池と川、小山のある広場へと変身しました。子どもたちは、この新しい広場を「しぜんひろば」と名付けました。九月に全校の子どもたちが集まって広場開きが行われました。川や池を造るのに同窓会のご協力がありました。(中略)広場には卒業記念の樹木、調布市や東京都から頂いた樹木が次々と植えられていきました。それらは、コナラ、クヌギ、トチ、シイ、ヤマモモ、クルミ、ミカン、ヤマボウシ、ケヤキなどの木々があり、めずらしい、楓の一種であるハナノキも植えることが出来ました。」(同上)

 宮原先生は、「休み時間や放課後、広場で遊ぶことをとても楽しみにしている子どもたちの姿を見ると、希望がわいてきます。このような場所と時間さえあれば子どもたちは実に生きいきと活動します。目の輝きが違ってきます。」(同上)と言います。このことは、現在まで続いています。

 

 子ども時代にこそ、直接経験を通しての感受性、感性を育みたいです。「本当にわかる」とは、「そのものになる」ことです。知識、情報が溢れるなかで、理屈抜きに感じとる経験をしてほしいと思います。子どもたち、ものの世界に対する「不思議」「おもしろい」「近づきたい」「触りたい」「もっと知りたい」などの気持ちと行動をたくさん育んでください。

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