2学期もどうぞよろしくお願いします[Ⅱ-165]
自分を大切に、一人ひとりを大切に
「夏休み明け、学校へ行くのがつらい―。この時期、そんな思いを抱えて悩む子どもたちが少なくありません」と聞き、初等部の一人ひとりの子はどうだろうかと思いました。
「夏休みが終わる時、『学校に行くのがつらい』『行きたくない』と悩んだことはありますか?」の質問に、「ある」144件(朝、起きられないから。クラスなどでの人間関係や先生との折り合いがよくないから…)、「ない」39件(学校の勉強などが楽しいから。信頼できる友人や仲のいい友人がいるから…)の記事(8/27朝日)など、いくつか読んで考えました。
児童虐待件数調査も報道されました。「調査を始めた1990年度から27年連続で増え続けている」、「17年度の児童虐待 最多13万件」、「心理的虐待が半数超」と書かれ、たいへん心配になります。
初等部の夏季研究会では、子どもたちのことや活動、授業のことなどを話し合いました。たとえば、その子が落ち着かない気持ちになった時に、そうした気持ちになることは悪くないこと、ゆっくり、その気持ちに向き合っていくことを大切にしたいなどです。自分らしく生きていく時、嬉しい、楽しい、がんばる、などの気持ちだけではなくて、怒りや不安、イライラ、悲しみ、寂しさなども抱え、向き合います。そうしたことを表現する自由を、子どもの権利として獲得してほしいと考えます。
このように考えれば、悩むこともあり、自分と向き合い、抱えきれなければ他者に相談してみることもできると思います。
平和な社会を
小学校では、東京大空襲の証言を聴く、広島修学旅行への取り組みなど、「平和を希求し、一人ひとりが平和のつくり手として社会に参加できるような根っこを育てる」ことをしています。それは、身近な友だちとの葛藤を解決することや、世界や日本の平和について積極的に考え合うことなど、お互いの気持ちや考えを伝え合い、理解し合う機会を通して育みます。
私自身も学ぼうと、今夏、広島で証言を聴き、遺品から当時のことを想像しました。そして「平和宣言」や本を読みました。世界には14,450発の核弾頭が存在し、被爆者の谷口稜嘩さんは「核兵器と人類は共存できないのです。こんな苦しみは、もう私たちだけでたくさんです。人間が人間として生きていくためには、地球上に一発たりとも核兵器を残してはなりません」と訴えられたことを忘れずにと思いました。
平和資料館東館地下では、原爆直後の広島赤十字病院による救護活動がテーマの特別展が開催中でした。ひどいやけどを負った少年の顔を手当てする写真など、子どもが原爆で被害に遭ったものが多くあり、ずっと立ち止まって見ました。
桐朋学園は、教育基本法ができた1947年に再出発し、教育の力で平和をつくることを目指してきた学園です。
写真は、7月の4年生八ヶ岳合宿より