藤井輝明さんとのふれあい [Ⅱ-185]
184号の続きです。6年生、3年生が藤井輝明さんと出あい、ふれあいました。また、「きみたちは顔で差別をしますか?」という藤井さんの話を読ませていただいたことからです。藤井さんとのふれあいで感じたこと、考えたことを、一人ひとりが大切にしていってほしいと思います。
◆藤井さんの話より
・2歳の時に突然顔右半分が膨れ変色した藤井さんを、看護師だったお母さまが連れて全国100以上の総合病院を回ってくださった。
・幼稚園にあがる頃は、地域から「土地の値段が下がるからそういう家庭は出て行ってくれ」と言われ、1年生の時、「顔の膨れは気持ち悪い、そんな子は他にいないから学校に来るな」などと、顔のことで大変いじめられたそうです。2年生で編入した桐朋学園小学校では、「先生や子どもたちがあらかじめ病気のことを勉強しておいてくれたおかげで、温かく受け入れてくれ」ました。
・ご両親は、自治会で「息子は病気ではあるがうつるものではない」と説いてまわられた。お母さまは、手製の紙芝居をつくり、「あなたの顔の膨らみはお母さんのお腹の膨らみもお母さんの一部。あなたのことを誇りに思っている。たとえいじめられからかわれても、あなたをこの世に送り出した母親はその顔の膨らみを誇りに思っている。だから応援してくれる人がこの世に二人いる。辛いことがあったらこの二人、お父さんかお母さんの顔を思い出して」と言ってくださったそうです。
・藤井さんが医学の道にすすもうと考えられたのは、病院の原因のことや、「病気の自分で何ができるかを考えていった時に、そういう苦しんだ体験を同じように味わっている人がいて、その人たちのために何かできるのではないかと思ったから」でした。
◆6年生の感想より
・見た目は痛そうだけど、大丈夫でよかったです。私は最近顔がはれたことがあります。その時は、周りにいたのが親せきだけだったから、優しくしてくれました。けれど、病院に行く時などで、人に見られたくなくて冷やしながら顔を隠して行きました。今は治ってよかったけれど、それが毎日だと思うと少しいやです。なのに藤井さんは、自分の顔が好きだと言っていて、えらいと思いました。顔が普通でも、ポジティブにとらえているところを学びたいなと思いました。
・藤井輝明さんの右目のとなりにある海綿状血管腫は、とてもやわらかかった。触ったら指がとけたり、消えたりするなんていう酷いことを言う人がいたら、絶対に私は許さない。実際にそんなことなかったから、怖い病気じゃないと分かった。
・藤井さんがここまで有名になったのは、この顔があったからだと思います。ぼくだったら、顔に異変があっても、そんな勇気はないと思いました。
・藤井さんの友人の木村さんなどが藤井さんといっしょに行動してくれて、いい友人がいると改めて思いました。藤井さんの顔を最初はジロジロ見てしまっていたけど、実際に触ってみてうつるものでもないし、危険なものでもないと思いました。藤井さんには、桐朋小学校に『ワンダー』(2月22日の桐朋小だより参照)のジャックのような存在の友達がいることをうらやましく感じました。
◆3年生の感想から
・私も失敗したりすると落ちこんじゃったりしてマイナス思考になることがある。藤井さんはそこから明るく立ち直ってすごい。
・辛いいじめにあったところから立ち直った藤井さんはすごい。
・もちろんお母さんお父さんもがんばったけど、一番自分自身もがんばったはず。
「お昼ごはんを食べていたときに、〇〇〇が話してくれたんだけど、『もし、私にコブがあったらどうしていたんだろうな?』って。」(担任から子どもたちへ)。しばらく子どもたちはことばが出なかったそうです。(これからも学び、考え合っていきましょう。)
184号で、小柳先生のことばを紹介しました。「自分と違う人を違うと言って嫌ったり遠ざけたりしない。ハンディキャップを含めてお互いの個性を認め合う。これこそ、他者、個性の尊重であり、21世紀の社会がめざすべき平和な社会の姿であろう。」そうした社会をつくり出していきたいです。