2019.11.25

トピックスの授業で中嶋涼子さんをお招きして [Ⅱ-209]

 先日、卒業生の中嶋涼子さんに、6年生2クラスで授業をしてもらいました。〇いま、仕事や生活でどんな気持ちを大切にどのようなことをされているのか。〇車椅子での生活で感じていること、考えていることなど話していただきました。

左 中嶋さんと車椅子体験 右 園庭の柚子

 中嶋さんは、9歳の時、鉄棒をした後で突然足に力が入らなくなりました。それから入院してたいへんな日々を送ります。車椅子での生活は、人目が気になって引きこもりがちの時期もあったそうです。活発に動きまわっていた中嶋さんにとって、突然のことで、希望を見い出せず引きこもりになっていた時に、映画『タイタニック』に出あい、11回も観たそうです。心を動かされた中嶋さんは、映画をとおして世界中の文化や価値観に触れる中で、自分も映画をつくって人々の心を動かせるようになりたいと夢を抱きました。

 そして、高校卒業後、カリフォルニア州ロサンゼルスへ渡米。そこで「心のバリアフリー」に触れたと言います。アメリカだと「何で車イスなの?」と気軽に聞いてくれる。日本では、腫れ物に触るみたいな扱いをされていたので、とても驚いたそうです。特に感動したのは健常の友達と同じスペースのトイレに行ったこと。アメリカでは女子トイレの中に大きめの個室が必ずあるので、そこを使えばいい。道や店の中も完全バリアフリーで広いし、アメリカにいる間は自分が障害者ということを忘れていたくらいだったそうです。

 現在、会社を辞めて、車椅子インフルエンサーに転身。テレビ出演、YouTube 制作、講演活動などさまざまな分野で活動しています。海、スキー、パラグライダー、乗馬、バイクなど、中嶋さんが楽しんでいる様子をたくさん見せていただきました。

 中嶋さんは、日本の社会や日本人の心をバリアフリーにしていけるよう、誰もが生きやすい社会を目指し、出会った人々の心のバリアフリーにつながる場所を作りたいと願って発信し続けています。活動の記録と背景にある願いを読ませていただくと、車椅子に乗っていて「かわいそう」ではなく、「面白い」と思われたい。今までの「障害者の常識をぶち壊す」ということも書かれていました。

 中嶋さんは、病気の経験から、いつ何があるか分からないと実感したので、何があっても楽しもうと思えるようになったそうです。後悔しないようにいろいろやってみたい、全力で生きていこうと。以前は「もしも歩けたら……」とか「昔、歩けていたときなら」 とかよく考えましたけど、今は車いすでやっていることが楽しいから、そのままでいい。だから、私が発信することで、みんなにも楽しく過ごしてほしいんです、と語ります。

左 命に触れるばらとたんぽぽの子 右 理工室前のナツミカン

 子どもたちから。

 □僕は話をきいて「一度しかない人生 できないことを数えるよりできることを全力で楽しむ」という言葉に心を動かされました。不便な生活でも全力で楽しめる心の涼子さんの強さは、とても見習いました。この話をきいてから、車椅子の人のことを「怖い」「かわいそう」で手伝えなかったけど、勇気をもらえました。質問。今の科学だったら病気を治せるんじゃないですか?

 □私は涼子さんの授業を受け、「車椅子でもこんなに色々なことができるんだ!」と驚きました。海、スキー、パラグライダー、乗馬…。これから、もし町中などで困っている、車椅子の方や目が悪い方杖をついている…などがいたら、声をかけられるようになりたい!と思いました。これから日本(世界)が車椅子の方などの障碍者の方にも優しいふうになってほしいです。そのために頑張りたいです。車椅子の人も私たちと同じ、というのを今回の授業で思いました。「車椅子でもいろいろなことができる」というのを世界の人々に伝えていて、すごいです。車椅子でけん玉ができてすごいと思いました。

 □中嶋さんの「一度きりの人生。出来ないことを数えるより出来ることを楽しむ」ということばが心に残った。自分が車椅子だったらたぶん精神的につらいと思う。何で自分がこうならなければいけないのかとマイナスに考えてしまうと思う。だけど中嶋さんはとても楽しそうだったし、本当にできることを全力で楽しめていてすごいと思った。きっと辛いこともあったはずなのに、それを表に出していないし、明るくふるまっていることもメンタルが強いと思った。だから、自分も出来ることを楽しんでメンタルを強くしたい。

 □私は今まで車椅子の人はできることが少なかったり、たいへんなことがたくさんあると思ってた。でも、車椅子の人でも、できるアクティビティーや、車椅子の人に優しい工夫がどんどんできて、車椅子でも楽しめることをはじめて知った。私が車椅子になったら、できたことができなくなって、ショックで、まったく楽しめないかもしれない。でも、そういう人たちでも、できるアクティビティーがあると、積極的に楽しめるからいいと思う。将来、バリアフリー化がすすんで車椅子でも普通の人と同じように楽しめる世界になるといいと思う。

 □中嶋さんの「車椅子の人に会ったらぜひ声をかけてほしい」と言ってた言葉に心が動きました。理由は、「私の中でも車椅子、障碍者の人は少しみんなと違うし、声をかけづらかったです。その人が自分の病気の事を気にしていて、触れてはいけないのかなと思ってたからです。」けど、今日のお話を聞いて、声をかけることは緊張するけど、相手は嬉しいということを知ったので声をかけます!

 左 竹ののぼり棒をたてました 右 2年生 かけざんの授業より

 子ども一人ひとりが、かけがえのない大切な命を授かり、その命をどう輝かせていくと納得できる人生をつくれるか探求し生きています。他者や社会と出あい、自分を知る、 他者を知る、社会を知る、その具体的、実感的な学びがおもしろい、自分の成長を実感するなど大切にしています。様々な個性と特徴をもったそれぞれが一人の人間として尊重され、大切にされるかかわりをじっくりと育てたいと思います。

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