2019.11.29

私たちが育つ場所に愛着をもち、創っていこう [Ⅱ-210]

大切にしていきたいこと

 保育を深く研究されている先生に、私たちの園を見ていただく機会を得ました。様々な方のご協力、ありがとうございました。

〈保護者の方〉ちょうど参加参観日で、お母さんお父さん、おじいちゃんらいろいろな方が参加されていて、上手に子どもと遊ぶ様子やかかわりの良さ、温かさなどに着目されて、とても大切なことと話してくださいました。

〈環境構成〉テラスに部屋からコルクを出してバランスをとって遊ぶ子どもの姿などを例に、こうした工夫をして遊ぶ子どもがいい。自分たちが何かを創り出す環境がある。私たちが大切にする自己決定や主体性の感覚を味わうことに繋がると理解しました。

〈命〉モルモットに餌をあげながら、「食べないな」と心配しやりとりする子たちを例に、ふだんから命に触れ、感じる機会がある大切さを話してくださいました。

〈豊かな自然〉心を解放させ、親しむ環境。実を素材に遊ぶ子を例に話してくださいました。ここでも命を感じる、循環などの課題も。

〈休息・くつろぎ〉だら~んと寝そべっている子どもの姿。そうしたことができる時間、空間がある。

 先生は、他にもたくさんの視点から話してくださり、今後の保育に生かしていきます。

やりたい気持ちに火をつけよう

 アスレチックにある一本の棒で、簡単に下りる、慎重に下りる、途中でぴたっと止まる子がいます。まだ下りることができないけれど、いつかは下りたいと願っている子がいます。下りる子がいないのを見計らって上る子もいます。下りるのも楽しい、楽しそう、上るのをもっとやりたいという気持ちを感じます。

 ブランコ横の枇杷の木に、寄りかかるように斜めに伸びた木がありました。子どもたちに人気の木でしたが、倒れる危険があり伐採しました。事前に子どもたちに伝えられず、突然大切な木がなくなり、子どもたちに申し訳なく思っています。

 子どもたちの様子や気持ちから、園庭のどこかに棒を設置したいと考えました。場所の候補を決めて、竹を切り、節を削るなどの作業をしていると、たくさんの子どもたちが見に来て手伝ってくれました。

 枇杷の木にとりつけると、子どもたちが集まって早速試します。少し揺れて、滑りやすくてのぼりにくい。棒の長さ、太さも課題とわかりました。それでも挑戦する子どもの気持ちや上れた満足感などが伝わりました。まだ設置場所と工夫が必要なので、一度外しました。次の日、「いつまたつけてくれる? 私好き」と伝えてくれる子がいます。

 子どものやりたい、に火をつけ、やりたいけど、できないという段階も大切にし、やった!できた! を。まわりの子にも拡げていきたいと思います。

 子ども自身が育ちゆく力をよりよく生かそうとかかわる存在であり続けたいと思います。

枇杷の木に竹の棒を

ともに育つ環境づくり〈土管と築山〉

 3歳の子が土管に入り、友だちとおしゃべりをしています。土管の上にしがみついて上る、つるんと滑り下りる子も。隣の築山では、鬼ごっこの拠点になったり、電車や休憩場所などになります。現在小5の人たちも一緒に造ってくれました。それから、子どもたち、先生たちがその場所を豊かに育ててくれています。

子どもたちと築山

2016.6 「園庭に、穴と山」 風Ⅱ88 再掲

 幼稚園の園庭に、コンクリート製土管『穴』を置き、土で山を造りはじめた。土を掘っていると、チョコレートだと嬉しそうに固まった土をとる子がいる。ぼくと一緒にやる子もいる。子ども用スコップがうまく使えず、自分や友だちに土がかかってしまう子もいる。
 山を造ろうと考えたのは、築山で遊ぶ子どもたち、坂道で遊ぶ子どもたちのたのしそうな姿を感じてきたから。園庭での子どもの動きを見ると、上下の動きをもっとたのしめるといいと思う。園庭に、斜面や起伏をつくったらどうなるか、わくわくしてはじめた。
 ぼくも小さい頃に、児童遊園にある小さな山を何度ものぼるのがたのしかった。以前、土曜日に学校があったときには、地域のどんぐり山までよく行った。大みもじの根っこくぐりや崖のぼり、崖くだりを子どもたちとやった。スリル満点で、とてもたのしかった。
 コンクリート製土管『穴』は、小学校低学年校舎と高学年校舎の間にある渡り廊下階段下の穴からヒントをもらう。子どもたちがよく入っている。のんびり気持ちよさそうにくつろいでいたり、友だちと内緒話などをしている。そうした空間やコーナーを幼稚園でもほしいと考えてきた。

 そのような秘密基地スペースや隠れることのできるコーナーは、大人から見えない世界で、子どもの共同体としての意識を育むこともできるのではないかと思う。

子どもたちと新しぜんひろば

 野中保育園、ゆうゆうの森幼保園などの多数の園や子どもの施設を建築してきた環境建築家の千田満氏は、「人間の神経系の80%は8歳頃までに完成」という。氏は、「こどもの育成に必要な6つの空間」を提起し、こどものあそび環境を創造してきた。本を読んで「園庭に隠れ家や築山をつくりたい」というおもいが膨らんだ。
 「子どものあそびに斜面はとても大事」、「上り下りすることでバランス感覚、瞬発力が身につき、不安定な場所で転んだときに無意識に手をだした、大きなけがを防ぐことができる」、「バランス感覚や、倒れたときに無意識に手をつく行動は神経系の開発による」、「特に幼児の段階が重要だ。スキャモンの発育曲線 にみられるように、神経系の開発は生まれてから8歳頃までに90%が完成され、12歳までにほぼ100%になる」など、園の環境づくりや子どもの育ちを考えさせられる。(『人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究』千田満著) 

一覧に戻る