2020.2.10

見守りボランティア座談会 [Ⅱ-220]

 先週発行の『わかぎり』(PTA機関誌)より、見守りボランティア座談会を転載させていただきます。座談会の参加者は、幼小の保護者の方(Iさん、Nさん、TKさん、TNさん、Oさん、編集担当の方)と教員(S先生、中村)です。今回は安全にかかわっての話し合いでしたが、今後、いろいろなことについて「地域と学校と保護者と子ども、皆で考え、意見交換を」していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

どうやったら守れる? 子どもの安全


どちらも『わかぎり』

できる人ができる時に参加

―現在、見守リボランテイアはどのような状況なのでしようか?

I ■一学期は百三十名、二学期は百十名を超える、予想以上に多くの方が登録してくださっています。

N ■一学期が終わった時点で意見をフイードバックしてもらったのですが、「できる人が、できる時に、できる場所で自由に立つ」という「ゆるさ」が良いという声が多かった。

S先生 ■報告メモ(アンケート)はほぼ百%の回収率で、熱意と関心の高さが現われていました。

O ■幼稚園の送り迎えで、歩きながら見守りをしています。始めた当初は通学路に十人以上の人が立っていたけれど、徐々に少なくなったかなという印象も……。

N ■子どもの年齢によって、不安に思うことの種類や、親の熱量が違うんですよね。登下校時に先生方が立ってくださっていることを知って、その助けになればという気持ちでした。

S先生 ■通学指導として月に二回は登下校時に立つようにしています。担任を持つ先生は難しいなどの側面もありながら、協力しながら続けています。

TK ■先生がいてくださると、子どもは安心につながりますし、顔見知りのお友達の保護者の方と、一言二言挨拶をかわしたりというのもいいですね。

実際に立ってみて

TN ■以前から思っていましたが、神代書店の前の交差点が危ないですよね。ただでさえ見通しの悪い交差点を子どもが斜めに走ったりするし。

N ■歩道が狭い、車道ではひっきりなしに車が右折・左折していく。信号の切り替わるタイミングで子どもたちがわっと行くとか。/信号が標識と重なって見えなくなるときがあるんですよね。でも、スクランブル交差点に変えるなど、 ハードウェアを変えるのは時間もかかりますよね。

I ■神代高校と桐朋小学校の子どもの登校時間が重なる時間帯があり、歩道があふれてしまって…。子どもが押し出されてしまったり、赤信号になっても渡りきれずに横断歩道で立ち止まっていることがありました。

N ■雨の日は傘があるので見えづらく見守りが難しい、傘があるから、さらに道幅いっぱいになってしまうという声もありますね。

I ■高学年の子が低学年の子に注意したり、後ろからこうやって手でかばいながら歩いていくんですよ。守ってるの。「すごいな」と思いながらじ―っと見てしまいました。

中村 ■私もそうした話を聞いて嬉しく思いました。すぐに、子どもたち、担任に伝えました。

N ■子どもに声かけをすることで挨拶が自然にできたり、通学マナーが向上したように思います。「子どもの安全」という当初の目的だけにとどまらず、すごくいい変化が。周りの大人たちも、いざというときには手を差しのべてあげようという気持ちになるのではないかと。

TK ■顔見知りの保護者が立つことで、これまで漠然としていた大人に助けを求めるというのが、可視化できるようになったのはよかったかもしれないです。

中村 ■国立の桐朋学園小学校では、地域の清掃をしたり、桜並本を大切にする活動をしている学年があります。子どもたち自身が地域に参加しながら、どうやったら自分たちの地域を良くしていけるのかを考えることも大切なことですよね。


園庭での園児の様子(2月10日)

子ども自身の気づきを大切に

O ■以前のスーパー丸正さんの角のところに警備員さんが立ってくれていますが、警備員さんの人数を増やすことはできるのでしょうか?

中村 ■学園の会議にこの活動を報告し、検討してもらいます。

―確かに、制服や腕章、ビブスなどパッと見てわかる視覚的効果は大きいですよね。

N ■それも検討したのですが、腕章はPTAでも慎重に管理していてそれが大勢が参加して下さるボランティアでできるだろうかという心配と、ビブスを着るとなるとためらう方もいるかも。それならば、今のスタイルでやってみようかなと思ってます。

―でも、見守りって難しいですよね。どこまでやれば安心だろうっていうのがわからない。

TK■どんなに安全な場所でも、自分の中にマナーがないと安全な場所でなくなってしまいますよね。親が見守るのと、子ども自身も意識する。その両輪だろうなと思います。

N ■子どもの意識づけという意味では、車や自転車の動きを知るというのも気をつけるポイントがわかっていいかもしれません。

O ■桐朋幼稚同の通園指導がとてもよいのです。通学路で危険なところを考えましょう、と一 生懸命探す。自らの気づきという観点では、大切な効果があると思います。

TK ■学校でも、交通安全、防犯、防災への日ごろの備えや、具体的な対応策など、年に一回でも考える機会があればいいなと思います。

-12班の地区懇で三鷹署の方にお話を聞きに行ったとき、子どもたちが具体的な事例や指導をとても熱心に聞いていました。

N ■そう考えると、地区班がとても大きな働きをしますよね。地区懇というと、懇親会のようになってしまうけれど、防犯・防災の観点から、みんなで帰り道を確認するとか。/防犯という視点では、保護者が来校時にIDカードを必ず着用するなど、本来やるべきことをきちんとやることが、安全につながるのではないかなと思い ます。

左 ピカピカつるつるだよ! 右 おうちの人がつくった山で

知ることで、気づけること

―知らない人としゃべってはいけない、と子どもに不安の種を植え付けるだけなのは残念ですよね。

TN ■やはり日頃からの近隣の方々とのコミュニケーションは大切だなと思います。うちはマンションだし、周辺は顔の見えないお店も多いけれど、マンションの中の方々や、普段触れ合う方々には、自然に挨拶をしたいです。大人が常日頃からそうしている姿をみて、子どもも学んでいくんじゃないかなと改めて思いました。

中村 ■以前、「第2希望の家」(当時の名称。知的障がい者生活介護事業所)へ通っている方が、仙川駅から学校まで、子どもにずっとついてきてしまった。実は、その方の特性としてチャックにこだわりのある方で、子どもが持っていたバッグのチャックが開いていたことがずっと気になっていて、伝えたかったそうなんです。/子どもにしてみれば、ずっと知らない大人がついてきていて怖くて、職員室に駆け込んできたのですが、事情がわかったら怖くなくなる。知ることで見方が変わるんです。それを学校教育や社会教育の中で学んでいってほしい。いろいろな人々の特性やハンディを知りながら、かかわりを持ってほしいと考えます。

これからの取り組み

-見守リボランティアは、これからどうなっていくのでしょう。

N ■今年度中は続ける予定です。せっかくの皆の気持ちがあって、子どもたちの安全にもつながっているので、何らかの形でつなげていきたいなと思います。強制や義務ではなく、「何かできないかな」という気持ちで立つのとでは全然違うと思うんです。見守リボランティアをしてくださった方の声は聞くことができましたが、参加できないよという方の声もぜひ聞いてみたいです。違う視点からご覧になっているかもしれないですし。

―特別な話題というのではなく、学校でも家でも、日常生活の中で、「安全」ということについて、もっと気軽に話し合えるようにしていくことが大切かもしれませんね。


しぜんひろばの小学生と園庭の梅開花(2月10日)

座談会を終えて
 「みんなが少しの力を出しあえば、子どもたちを守る大きな力になる」という言葉をまさに実感した、見守りボランティアの力強い広がり。でも、「これで安全」という正解はないのだなと改めて感じました。その時々で地域と学校と保護者と子ども、皆で考え、意見交換をしていく話題なのだなと思います。保護者からの切実な要望として、神代書店前の交差点の話、警備員の増員のお話などもお伝えできたことも大きいです。

 最後に中村先生がおっしゃっていた、「子どもたちには、頼れば助けてくれる人がたくさんいるということを、いろいろな経験を通じて感じてほしい。またそうした社会にしていきたい」という言葉がとても印象的でした。

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