卒業おめでとうございます [Ⅱ-224]
卒業にあたり、73名一人ひとりが壇上で小学校の思い出や将来の夢などを語りました。聴いていて、一人ひとりの成長を感じました。それから、卒業証書を一人ひとりに心をこめて渡しました。
卒業式後の集合写真
その後、卒業生にぼくの気持ちを伝えました。(当日の話は、短くしました)
●まずはじめは、昨日の東、西組の劇の感想です。約2週間ぶりに学校に来て、友だちや先生と久しぶりにことばを交わし、全員で劇練習や卒業式練習、他にもいろいろなことをすすめなくてはならず大変でしたね。それでも、みんなでやれる喜びでとても充実していました。お互いに助け合う良さがよく見られました。普段と違う姿の発見がありました。
担任の先生からは、「昨日の劇は、あなたたちの集大成でした。素晴らしかった。一人一人が力を出しきっていたね。昨日劇が始まる前に、『みんな楽しもう! みんなでフォローし合えば最高の劇になるはず!』その言葉をちゃんと聞いて、みんなは劇をやり遂げていました。/そんなあなたたちを私は誇りに思います。」とありました。
●続いて、休校中に6年生より届けられた手紙、メールについて話しました。そこに、友だちとは、学校とは、桐朋小で大切にしてきたことなどが書かれていました。時間が限られていたので、少し紹介をしました。
「劇の練習をいっぱいして、オーディションをして、台詞を覚えて、すっっっっっごく頑張ったのにまとめの会がなくなったのは悲しいです。kのフラダンスやHちゃん達の絵など観たかった物がいっぱいあったので悲しいけど、劇だけでもいいからやりたいです! 春休みに入ってからでもいいので劇だけはやりたい…。みんなで試行錯誤して考えた劇、みんなでの最高の思い出にしたい!!!!」
「15日まで休校となったと聞いた時は衝撃的でした。悲しくて涙が出そうになりました。1番思ったのは6西の人や6東の人、そして先生たちに2週間も会えないということでした。2月27日は早く帰ってしまったので、残って大道具をやればよかった、もっと遊べば良かった、という後悔がすごく押し寄せてきました。みんなに会いたい。」
「突然の休校になって、ほんと悲しい。友達に会えない。学校に行けないってこんなにも辛いんだね。けど、今学校に行って犠牲者出して友達が死んじゃうとかは絶対嫌だから休校はしょうがないかなって思う。ずっと家にいると暇だし、早く学校に行きたいなーって思う。行かないと楽しいことがなくて勉強をやる気にもならない。鬼ごっことかバスケもできないから体を動かせられない。」
「家に居ると、みんなどうしてるかなあ? どんな思いでいるのかなあって不安になったりするよね。でも、こうやって今の思いを伝えあい、(私と一緒だな。)って思ったり、(この人はこうやって思うんだな。)って感じたりすることで、みんなとつながりながら、次に再会する日を待っていられるね。」(担任の先生は、皆さんより届いた便りをまとめて送付。そこに書かれていたことばより)
思いが溢れていました。それが劇へつながり、卒業式につながっていると思いました。
先週の登校日の様子から。下の写真も。
●みんなの劇を観て -劇にあった〈失敗すること〉について考えさせられました―
自然、社会が大きく変化すると、持ち合わせの知識では通用しないことが起こります。今回のウイルス感染、地球温暖化問題、気候危機もそうです。いろいろな知恵を使い、乗り越えなくてはなりません。学ぶというのは、その時々に起こる問題に対して、的確に時に臨機応変に対処していくことです。その練習を子ども時代、学校ではたくさんするのです。失敗から学ぶことはとても大切です。
●みんなの劇を観て -劇にあった〈想像すること〉について考えさせられました-
「おれは、これからこの世の中に旅立つお前らにわかってほしかったんだ。過去の自分が今の自分を作っていくんだ。だから、今この時から逃げて欲しくなかった。向き合ってほしかったんだ。想像力を働かし、この世の中を生き抜いていくために。」(劇中、柊先生の台詞)、「私は、この『想像する力』が本当に大事だと思っています。『ラインで送った文章を読む人の気持ちを想像する』『学校に行けず、あなたたちと同じくらいの子たちが働かされることを想像する』『原子爆弾を落としたらどうなるのだろう? と想像する』この想像する力があれば、この世界が平和に近づいていくと思うのです。」(担任の先生より)
昨日の劇を観た一人ひとりが様々な受け止めをしたと思います。ぼくは、みなさんとの〈トピックス〉の授業で、意思疎通ができないからと言って何の価値も見出せないのかという難しい問題を考えたことを思い出しました。何の価値も見いだせないと思う側に、自分なりの価値や意味を見いだしていく力、そうした人間のもつ大切な力が育っているかを考えます。自分なりの価値や意味を見いだしていく力、そのもとに想像することが大切だと考えます。
●授かった命を大切に、活き活きさせよう
皆さん、自分史を読ませてもらってありがとう。私たちは日々、家族、友だち、周りの人たちなど、さまざまな人と多様な関係を持ちながら生きています。皆さんがこれから本格的に迎える思春期は、自分は他の人と違い、個性的でかけがえのない存在であることを意識しはじます。その時に、「自分とはいったいどういう存在だろうか」と自覚し、まわりに簡単に同調しないで、自分の気持ち、考えを大切にしていってほしいです。個性的でかけがえのない存在という意識は、友だちやまわりの人やモノとの関係を通して形づくられることが大きいので、これからも出合いを大切にしていってください。
卒業おめでとう!
3月22日、あさのあつこさん(作家)が朝日新聞「フォーラム 休校中 どうしてる?」に「子どもたちへ 『大人の言葉うのみにせず、考えてみて』」という題で書いていました。子どもたちへのメッセージが中心でしたが、大人にも強く発したメッセージであり、自分自身はどうなのか考えさせられ、忘れ場にしっかり振り返りをしようと思います。
「当たり前に続くと思っていた日常が突然くるっと変わる、あるいは消えてしまう。このことを、みなさんにはじっくり考えてほしいのです。それも個人の事情じゃなく、国や社会の事情で変わってしまうことがあるんだ、ということを。/だからこそわたしは、みなさんが主体的にこの時期を生きてほしいと思います。大人たちの言うことを全部うのみにするのでなく、自分で考えて動いてください。」
「大人は大きな出来事があると騒ぎ、過ぎれずすぐ忘れてしまいます。でもみなさんには、一人ひとりの身に降りかかったことを覚えておいてほしい。/友達と会えない悲しみ、学校から解放された喜び、ドタバタする大人を見てうんざりした気持ち、医療現場などで必死に働く大人をすごいと思った気持ち。自分の言葉で友達や家族、大人たちに話してみてください。なぜならそれが、あなたたちが大人になった時、こんな騒動や危機を起こさない力になるからです。」
「わたしたち大人も、この騒動が一段落した後、『命を守るため』という言葉の下に子どもたちに何をしたのか、ちゃんと検証しなければいけないと思います。」