2021.10.5

子どもの育ちと「デジタル」考 [Ⅱー275]

 

9月24~25日、園庭改修工事を行いました。6枚の写真は工事に関わるもの

現在、未来で、子どもたちは、情報通信技術を活用することが多くあると思います。教育の目標を「社会の良き担い手を育てる」こととすれば、情報通信技術の活用によって、自分たちの生活、社会、世界をよりよくしていくことを願い、学ぼうと思います。その学びが、日本国憲法の基本理念である国民主権、基本的人権、平和主義を土台に「生存権としての学習権」を守り育て、みんなが幸せになる平和な世界の形成を目指すことにつながるようにしたいです。

夏休み、ヨーロッパの「デジタル・シティズンシップ」について学ぶ機会を持ちました。長年にわたる民主的シティズンシップのための教育と人権教育プログラムが土台にありました。その上で、「デジタル・シティズンシップ」を、民主主義とシティズンシップ教育として位置づけていました。目的が、「『文化的に多様な民主主義社会の中で平等な存在として共に生きる』市民として子どもたちに準備」することで、具体的な実践が展開されていました。

ヨーロッパの「デジタル・シティズンシップ」と比べると、私たちは、子どもの発達と教育を中心とした長年にわたる議論、実践、理論がなく、急速に、情報通信技術に関する教育がすすめられていると思いました。もっと時間をかけて考えていく課題です。

新しく大きな〔きょうりゅう山〕の誕生

子どもの育ち(「読み」に角度をつけて)とデジタルについて考えます。参考文献として『デジタルで読む脳×紙の本で読む脳 「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』(メアリアン・ウルフ著、大田直子訳、インターシフト)を読みました。全体に、「デジタル」が子どもの「読み」に負の影響をもたらしていると捉えました。そうした状況に対して、作者は「比較的早い段階からデジタル学習と画面読みの適切な使い方を教えなければ、次世代の深い読みプロセスはデジタル媒体によってとくに危うくなると確信しています。」と述べています。まだよく理解できていないこともあり、今後さらに、子どもの育ち(「読み」に角度をつけて)考えていきます。納得できる「比較的早い段階からデジタル学習」についての実践、理論を探し、検討します。

本書で作者は、「読む脳」の「深い読み」の発達を大切にしています。ここは大いに学ぶことがありました。「読む脳が発達するほど、「深い読み」ができるようになる。これまで培ってきた知識(背景知識)、推論、分析、共感・視点取得などが統合され、新たな思考モードを生みだす。この思考モードは、文章や情報を自分なりに咀嚼し、批判できる洞察力、創造力を備えている。」ことがたいへん丁寧に書かれ、納得することが多くありました。

「ところが、デジタルメディアによる情報が氾濫している今日では、こうした「深い読み」を育むことが難しくなっている。斜め読み、飛ばし読みが標準モードとなり、文章の細部に分け入り把握する力が失われつつあるのだ。」、「デジタルは注意を散らし、予想力、記憶力を低下させ、外部の知識ベースに頼りがちになるため、あふれる情報を分析・批判する能力も育ちにくい。(略)このことは、共感力の低下、異なる文化をもつ他者への無理解、ひいては民主社会への危機にもつながる。」と危惧されていることも理解できます。

しかし、作者は、「デジタル」を「悪者扱いせず」、次のように述べています。「デジタル力も同様に、上手く育てていくことが欠かせない。そのためには、適切な時期に、適切な教育を、適切なデジタルツールによって進めることが望まれる。たとえば、コンピュータの言語記述や設計、プログラミングのスキルなどの習得も、精密な深い読みを促す。こうして子どもたちは、紙とデジタルの脳回路をそれぞれ育み、流暢に切り替えられる「バイリテラシー脳」となっていく。」と書かれていました。ここをもっと知りたいと思いました。実践と検証、理論の深まりに期待し、さらに考えていきたいと思います。

 

古木のソメイヨシノを、残念ですが伐採し、子どもたちの新たなあそび場へ

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