2021.10.19

桐朋女子高等学校3年生の桐朋幼稚園見学 [Ⅱ-278]

高3生「家庭科特講」の授業で、桐朋幼稚園見学の授業がありました。新型コロナ禍のため、分散して見学、園庭やテラスなどから子どもたちが育つ「環境」に触れ、窓ごしにゆり組(5歳)の人たちとの交流をしました。スライドで幼稚園の人たちの生活、活動、遊びの様子を見てもらい、保育者が話をしました。(次の文は、保育者の資料から)

 

「幼稚園では、ただ幼児が遊んだり、歌を歌ったり、お弁当を食べたりする場所、というイメージがありますか?」

高校生の人たちへ、幼稚園の子どもの姿や育つ環境を知ってもらいたいと考えました。幼稚園では、その子が「あんなことやってみたいな」「あのお兄さんのように、自分もあんなことできるようになりたいな」という、子どものやりたい気持ちに火がつくようにということを大事に考えて保育をしています。

そのために、園庭にどんな遊具があったらおもしろいかな? どこに配置すると、どんな動きが生まれるかな? 活動的になれる場所と少しゆったり過ごせる場所、ほっとできる場所はあるかな? おままごとなどとどまって遊べる場やイメージを共有して遊べる場所はあるかな? そんなことを考えて環境をつくっています。

各保育室に置いてある遊具や玩具も年齢によって違います。3歳は、そのものですぐに遊べる。造形も「これとこれを貼り合わせたら出来ちゃった」というもの。4歳は、いろいろな素材に出あい、試したり、とにかく自分たちなりに楽しむことができるようにしています。5歳は、それらを友だちとやりとりしながら、工夫していくことを楽しむようにしています。

見学された高校生のみなさんは、どんなことを感じたでしょうか。

ゆり組の人たちとの交流では、高校生がゆり組の人たちにどのように言うと伝わるかを考えて話をする場面が見られました。実際に触れあうことで相手への理解がすすみます。(幼稚園の人たちは、登降園で、小学生や中高生、大学生の大きな人たちの様子をみる機会がたくさんあって、驚いたり憧れをもったりしています。)こうした繋がりやかかわりを、今後も続けていきたいと思いました。

夏の初等部研究会では、小学校の先生たちが幼稚園の人たちと保育から学びました。初等部では、幼稚園と小学校の実践で、共通して大事にしたいことを考え合う、それぞれの発達段階、活動や授業で大事にしたいことは何かを考え合うことをしています。また、幼稚園の人(たち)はどのように育っているのか、何を大切に育ち合っているのかなどを知り、小学校の活動や授業を考え合っています。小学校低学年の教員からは、幼稚園の生活、遊び、学びを知り、〇〇を大切にしよう(たとえば「葛藤」と「折り合い」の経験)、それを小学校(のはじまりに)も大切にしていこうなど話し合われています。

小学校の先生たちからは、いろいろな感想、意見が出されていました。いくつか紹介します。

・桐朋幼稚園は、自由がある環境(場、人、時間)を創っている。やりたいことに引っかかり、没頭することができる。そして、やりたいことが移り変わっていくことがいい。どれだけ豊かにちらばっていけるかが大事ではないかと思う。(居心地のいい環境をつくり、道具を用意するなど)

・共同研究者の久保健太さんから「学習論」などを学んで、実践に活かそうとしている。①「やりたい」の段階 ②「やりたいけど、できない」「できないけど、やりたい」の段階 ③「やった!できた!」の段階 ④「いつでも、どこでもできる」の段階があり、そうした「学習論」を保育に活かし、大事にしようとすすめている。日々の異年齢の交わりなどで「4段階」がみられる。

「やりたいけど、できない」『自分』を引き受けることの必要。また、「自分のやり方」が『尊重』(自己決定)されることの大切さがあると思う。

・聴きとられる、自由が尊重される、自己決定が大事にされる、基本的な人への信頼が育まれるなどを大切にしようとしている。

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