2021.12.8

「~歌はつなぐ 虹のように~」 [Ⅱー283]

2年に1度の音楽会。今年度は、コロナ感染予防をしながら、いろいろな形で開催します。昨日は、5、6年生の歌声、奏でる音に心がふるえました。みなさんと共に幸せな時間を過ごすことができ、ありがとうございました。

[子どもたちの感想より]

〇私の中で一番最高な音楽会でした! コロナで練習も前に比べて全然できなかったのに、学年全員の心が一つになって、なにからなにまでステキな音楽会だったと思います。5年生の歌で緊張なんてなくなって、私も歌に入りこんで、さまざまな事がよみがえりました。「これで最後の音楽会か」という気持ちでした。いよいよ私たちの番になって友達と「がんばろうね!」と言い合ってステージに立つと、なぜか心がポカポカ、あたたかかったです。今思うと、1~6年の思い出が頭にめぐってきました。感動という事がぴったりだと思いました!

〇私が一番好きな行事の音楽会に参加できてうれしかったし、楽しかったです。リハーサルの時は緊張したけど、本番は緊張せず、声はかすれてしまったけど楽しく歌えました。あと、声が思っていたよりも響いていて、びっくりしました。最後の音楽会、6年生らしく歌うたと思います。

〇僕は、今回の音楽会では特に歌を頑張りました。声変わりをして高い音が出せなくなったので大変でした。リコーダーもなかなか周りの速さに追いついず、大変でしたが、練習した事で6年生の音楽会としていい思い出ができました。

〇2年生のころ、初めての音楽会でパートナーの6年生を見ながらかっこいいなぁ、ぼくも6年生になったら、あんなふうになれるかなぁと思っていました。今回、6年生として音楽会に出られてとてもうれしいです。

 

 

~歌はつなぐ 虹のように~

2019年12月。ホールいっぱいの子どもたちの歌声、応えて広がる客席の響きは幸せに溢れていました。

それからほんの2カ月で世界は一変しました。「歌うこと」「奏でること」「集うこと」そのものが不安の材料となり、音楽が制約される日々がこれほど続くとは誰が想像したでしょう。

今もマスクとすごす音楽室は我慢だらけです。けれども子どもたちは「歌」をあきらめていません。「今日はみんなでこれを歌おう!」「あたらしい曲を一緒に覚えたい!」。こんなささやかな願いから始まるひと時が、子どもたちの生活に彩を与え、活き活きしたエネルギーを作り出します。

リコーダーを吹くことができない時期もありました。外でしか歌えない日もありました。けれども、それは同時に「小さな声でも歌える喜び」「みんなで奏でる楽しみ」を再確認する場にもなりました。そんな行ったり来たりを繰り返しながら「今できることに」精いっぱい取り組んできた子どもたち。それを見守り、家庭学習を励ましてくださったお家の方々に、心より感謝します。(2021年12月 桐朋小学校 音楽科)

子どもたちの音に感動して、あらためて音楽会を行えたことに感謝します。

私は、5、6年生の子どもたち、会場にいらしていただいた皆さんに、次のことを話しました。

「こうした会を持てる喜びを感じています。

歌う喜び、奏でる喜びを感じ、味わい、みんなで音楽会をつくりましょう。

私たちは、一人ひとりが違います。違う人同士が、共に(いっしょに)生きること、それが喜びです。

その喜びを音楽は教え、励ましてくれます。

一人ひとりが主人公で、(かけがえのない)自分らしい音を出し、人の音に耳を傾けて、美しい素敵な響きを生み出しましょう。

「さあはじめよう、たのしい音楽を」。音楽のはじめに、みんなで歌っています。会のはじまりに、みんなで声を合わせて、「さあはじめよう、たのしい音楽を」。」

〔子どもたちの取り組み〕

●オープニング「夢と共に歩む」(Brahms作曲 交響曲第一番4楽章より 創作詩2019年度6年生)

●5年生「パッヘルベルのカノン」(パッヘルベル作曲、桐朋小音楽科編)、「2部合唱『君をのせて』」(宮崎 駿作詞、久石 譲作曲)

●5年東組「風の子ひゅう」(井出 隆夫作詞、福田和禾子作曲、桐朋小音楽科編)

●5年西組「未来行きEXPRESS(エクスプレス)」(筒井 雅子作詞・作曲)

●みんなで歌おう「教員合唱『ふたつの海』」(ミマス作詞・作曲、桐朋小音楽科編)

●6年西組「旅立ちの時」(ドリアン助川作詞、久石 譲作曲、富澤 裕編曲)

●6年東組「見えない翼」(佐々木 香作詞、長倉 鈴恵作曲、桐朋小音楽科編)

●6年生「2部合唱『シーラカンスをとりにいこう』」(県多 乃梨子作詞、横山 裕美子作曲、桐朋小音楽科編)、「アルトリコーダー『トロット』」(アイルランド民謡、桐朋小音楽科編)

●おわりの歌「僕らの旅」Musical レ・ミゼラブル『民衆の歌』より(CMシェーンベルク作曲、Hクレッツマー英語詩訳、2018年+2021年度6年生創作詩)

「さあ 進もうよ みんなと一緒に 明日へむかっていっぽ歩き出そう」「さあ 立ち上がろう みんなと一緒に 耳をすまし世界をながめてみよう」(♪僕らの旅より)子どもたちの歌声に心を動かされ、「レ・ミゼラブル」(1862年第一部刊行)の作者であるヴィクトール・ユゴー(1802年~1885年)について興味がひろがりました。

調べてみると、ユゴーは、よりよい明日、よりよい社会や世界を願い、たくさんのことを私たちに残してくれています。当時、貧困と格差が深刻な社会問題であり、ユゴーは、児童労働をなくそうと訴えます。「ただひとりも笑わないあの子どもたちはどこに行くのか? 熱でやせ細り、物思いにくれるこのやさしい者たちは? ひとり道を行くあの八歳の少女たちは? 彼らは砥石の下で十五時間働きに行くのだ。夜明けから晩まで、同じ牢獄のなかでずっと同じ動きを繰り返しに行くのだ。…悲しいかな、彼らはみずからの運命をなにも理解できないのだ! 彼らは神に言っているようだ、父なる神よ、こんな小さな ぼくたちに大人がさせていることを見てください! ああ子どもに課された恥ずべき隷従!」(『新懲罰詩集』)

ユゴーは、「非戦主義」を唱え、「ヨーロッパの平和は普通選挙によって」、「戦争ではなく」「討議によって」実現しようと訴えました。「人間の尊厳」「市民の尊厳」を生涯大切にした人です。その考え、理想は、今日も大切にしていきたいものです。

一覧に戻る