ご卒業おめでとうございます [Ⅱー291]
第63回卒業式でみなさんにお伝えしたいと考えたこと(当日は、卒業生一人ひとりのことばを聴いて、その時に思ったこと、感じたこと、考えたことを、限られた時間で述べているので、この文とは違うことばで語っています。)です。
昨晩(3月16日)、宮城県、福島県を中心に大きな地震がありました。まだわからないことも多いのですが、たいへん多くの被害がありました。心よりお見舞いを申し上げます。地震のあと、停電が続く中、明日の式は大丈夫だろうか、お世話になっている福島(つながりのある福島の保育園)、宮城の先生ら、離れた家族のことなど、いろいろと心配になり、眠れませんでした。11年前、東日本大震災の際に、目の前の子どもを守ろうと、必死に声をあげて励まし続けたことも思い出しました。(子どもたちを励ましながら、自分を励ましていたのだと思います。)
私たちは、いま、かけがえのないこの時間を大切に過ごしていきたいと思います。
皆さん、ご卒業、おめでとうございます。
卒業証書をもらう前の一人ひとりの卒業のことばを聴きました。たのしかったこと、心に残ったこと、自分の意見を述べること、人とかかわることなど、どれもが大切なことです。たのしかったこと、夢中になったことを持つと、またやりたい、違う形で実現したいと思います。それは「希望」に繋がると考えました。それから、実現するためには、気持ちや意見を述べる、話し合う、どうしたら実現できるのか考え合う、自治や参加を大切にするなどを学びます。こうした経験を根っこにもつ卒業生のみなさん、これからも命を活き活きと輝かせて生きていってください。
2つ目は、意見を表明する、自分たちでつくることの大切さです。これからも必要な知識を覚えたり、問題を解いたりすることは大切です。一方、社会は、正解がない問題をどう判断し、解決するか課題です。原発やエネルギーの問題、さまざまな人やものとの共生(中嶋涼子さんとの学びなど)、地球環境危機(奥野華子さんとの学びなど)などがあります。日常、社会の問題について「もっとこうしたらいいんじゃかいか」(授業でよく話し、聴き合いましたね)と考え、よい社会、コミュニティーをつくるために、一人ひとりが考えてつくり出していきましょう。
最後は、学園の歴史や理念と現在に触れます。今年度、桐朋学園は創立80周年を迎えました。桐朋学園としての出発は1947年です。戦争を反省し、日本国憲法といっしょに教育基本法を制定し、その基本法を学園の教育理念としました。それは、「一人ひとりの人格を尊重し、自主性を養い、個性を伸長するヒューマニズムに立つ教育、人間教育」です。教育をとおして、日本国憲法の掲げる世界の平和の実現を願い、実現を目指しています。卒業生のみなさんは、そうした理念をもつ学園で育ってきたことを誇りに思ってください。
連日、ウクライナの子ども、人々が苦しみ、悲しむ姿をみて、聴いています。改めて、世界の平和を築く、そのために、知る、考え声をあげる、話し合う、できる行動をするなどすすめていきましょう。
ポスターは、6年生の作品
保護者の皆様、これまで桐朋小学校の教育へのご理解、ご参加に、ありがとうございました。一人ひとりの「自分史」を読ませていただき、お子さんの命の誕生の喜び、かけがえなさ、ありのままのあなたでいてくれる幸せを強く感じました。そして、今日の一人ひとりのすばらしい成長を喜びます。
お子さんのご卒業、おめでとうございます。