2022.5.7

子どもの声に聴く [Ⅱー296]

2022年3月、卒業を迎えた6年生Mさん、Sさんが学習のまとめとして「世界平和」「平和を願う」を綴りました。読ませてもらい、たくさん学びました。

世界平和 /桐朋小学校6年 M

ぼくは、友達に誘われてラオス応援プロジェクトという学校でやっている寄付活動の係をやりました。ラオス応援プロジェクトは、ラオスにぼくたちのもう小さくて着ることのできない洋服やはけない靴などを寄付してもらい、その服などをラオスに届けることが仕事でした。

ぼくちたちの活動は、主に寄付する物を入れる段ボールを各クラスに配ったり、その段ボールの回収をしたりすることでした。この寄付活動により、ぼくたちと近い年齢の人たちを助けることができ、人の役に立ってうれしかったです。

ぼくは、このラオス応援プロジェクトの寄付活動で「ラオス」という国がどのような国かを知りました。ラオスという国は東南アジアにあり、発展途上国です。ラオスの首都はビエンチャンで、言語はラオス語です。また、面積は24万平方キロメートルで、日本の本州と同じくらいの面積です。人口は約649万人で、東京の人口の約半分ぐらいです。

また、お金がなくて小学校を退学する子どもが毎年1万人以上はいるそうです。

ほかにもラオスでは、地球温暖化の影響もあり、洪水などが多発しています。元々貧しい国が家を失ったり、家が残ってもきれいに掃除する水がなかったり、食料を確保したりすることがとても困難だったようです。このような地球温暖化により災害が起きて、現地にいる人たちがどれほど大変な思いをしているのかをラオス応援プロジェクトで身近に感じることができました。

ぼくがラオス応援プロジェクトをしたように、お母さんも小中学校の時には廃品回収をしていたそうです。廃品回収とは、古新聞、古雑誌、空ビン、空缶などを回収してお金に換えることです。

お母さんの学校では換えたお金をアフリカのマラウィ―という国に寄付していました。マラウィ―は、アフリカの東の方にあり、発展途上国です。マラウィ―の首都はリロングウェで、言語は英語です。また、面積は約11万平方キロメートルで日本の約3分の1です。人口は1862万人です。

マラウィ―の国では電気が通っている場所が10%で、5歳から17歳までの子どもの35%以上が児童労働をさせられているそうです。その児童労働は大きな丸太を運んだり、タバコを作るための作業をしたり、大量の水を長距離運んだりしているそうです。それを少しでも改善するために寄付をして、井戸を掘ったり、学校を作ったりしたとのことです。

いろいろな国が貧しかったり、豊かであったりするけれど、お互いに協力して、生活が平等に安全になればいいと思いました。生活の仕方が違うと考え方も違うと思いますが、お互いを尊重して協力していくことは大切だと思います。

今、ウクライナをロシアが攻撃しています。ロシアの戦車が人が乗っている乗用車を踏みつぶしていく映像をみました。また、ミサイルがマンションを直撃していました。そのマンションの人によれば、朝、目が覚めたらすごい大きな爆撃音があり、急いでマンションの地下にあるシェルターに隠れたそうです。そのようなウクライナから逃げるため、車が長い列をつくっていたり、長時間歩いていたりしている人もいました。そのような状況を知って、ぼくはショックを受けました。

修学旅行で広島に行って、戦争がどれだけおそろしいことかを感じたのに、このようなウクライナとロシアの戦争が起こっていることにビックリしました。

今のロシアとウクライナの戦争がどんどん大きくなり、第三次世界大戦のように世界中の戦争にならないようにしてほしいです。一日も早くみんなが安心して生活出来るようにしてほしいです。

ぼくは豊かに暮らせているけれど、世界中ではいろいろな理由でつらい思いをしている人たちがたくさんいます。そのためにもみんな協力する必要がある。

平和を願う /桐朋小学校6年 S

卒論では、違うテーマを考えていましたが、ウクライナへのロシアの侵攻があまりにもショックだったので、どうしたらこの戦争を早く終わらせられるか、考えました。

なぜウクライナを攻めたのか? 「兄弟国」とも呼ばれるかつてのソ連の仲間をなぜロシアは攻撃するのか。背景にあるのは、2014年にはじまったウクライナ危機だ。14年2月に政権が崩壊し、親米欧政権が誕生した。これに強く反発したロシアは、ソ連時代から黒海艦隊の基地があるウクライナ南部のクリミア半島を占領し、住民投票で意思が示されたとして一方的に併合した。

さらに、ウクライナ東部でもロシア系住民が迫害されているなどとして、ロシアの支援を受けた親ロシア派の武装勢力が政府庁舎などを攻撃して占領。2つの地域が独立を宣言し、親ロシア派とウクライナ軍との紛争が続いてきた。

19年に就任したウクライナのゼレンスキー大統領は、昨年からNATOへの加盟を訴えるなど、米欧寄りの姿勢を強めた。

2022年2月21日、親ロシア派がウクライナ東部の支配地域で名乗る2つの「人民共和国」の独立を一方的に承認し、24日にウクライナへの侵攻に踏み切った。

理由を調べてみて思ったのは、なぜ、自分の国では無いウクライナの人をまきこんでまで戦争をはじめてしまったのだろうかと、まったく納得がいかなかった。たとえば、ぼくの住む日本に、こんな理由で攻めてこられたら、たまったもんじゃないと思いました。ウクライナがNATOに加盟したとしても、ロシアを攻めるとは限らないし、他の国の政治に口を出すだけではなく、武力を使うのはおかしいし、絶対によくない。

今まで2年間、桐朋小学校で、平和について学んできた。戦争の体験のことを聞いたり調べたりしたから、今回、ロシアがウクライナに侵攻をしたことを、学校から帰り、夕方のニュースで知った時は、驚きとショックでした。同じ位の歳の子が「死にたくない。戦争をやめて。」とシェルターで涙を流しながら言っているのを見て心が痛かった。

ロシアの要求は、ウクライナの非軍事化と中立化。ウクライナの要求は、即時停戦、ロシア軍の撤退。ぼくが考えても、この交渉は成立するとは思えない。ロシア側の要求だと、ウクライナを自分の国にするようなものだから。

ぼくの好きなスポーツ界にも、大きな大きな影響をもたらしている。ロシアとベラルーシは北京オリンピックに出られない。サッカーなどもロシアを排除。フィギアスケートの世界選手権もロシア代表は出場できず、今後も国際試合への参加は今は認められていない。本当は、政治とスポーツは別のものであるべきだし、一生懸命練習していることを考えると、かわいそうだなと思うけど、ウクライナでは、命も危ない人、明日、生きていられるかわからない状況なので仕方ないと思う。

ロシア人と、ウクライナ人が、この戦争に賛成しているとは思えない。ぼくの周りにはロシア人はいないけど、アイスショーで来日した時に、サインをくれたアリーナ・ザキトワ選手は、とても親切で優しかった。ぼくはロシア人が全員悪いわけではないと思う。

戦争はもうはじまってしまって、どうなったら終わるのかがわからない。もう、1日でも早くこの戦争が終わることを願うしかない。戦争が終わったとしても、壊れてしまった建物は、すぐには戻ってこない。死んでしまった大切な人たちも生き返ることはもうない。戦争をはじめる前に、戦争を起こさないようにできなかったのかが不思議でしかありません。

世界中で反戦デモが起きている。ドイツのベルリンでは、約10万人が反戦デモを行い、ロンドンやマドリードなどでも多くの人が戦争反対を訴えている。日本でも渋谷でウクライナ人が、新宿でロシア人が反戦デモをしている。ロシアでも、各地で、反戦デモが行われていて、ロシア国内でも、少しずつ停戦を求める声があがってきている。

今こそ世界中の人が、ぼくがこの2年間桐朋小学校で学んだ戦争の悲さんさや、戦争の恐ろしさをみつめ直して、戦争をとめる声をあげていくべきだと思う。遠い国の知らない人、自分には関係の無いことと思わないで、この問題に向き合えば、いい方向に向うと思いたい。

この卒業論文が読まれるときは、この戦争が終わっていてほしい。ウクライナの人が家族と笑顔で過ごせる日が来ますように。

ぼくは、世界中の平和を願っています。(参考文献 朝日新聞)

2021年12月下旬、6年生は広島へ行き、戦争の被害、加害を学びました。学びをまとめ、2022年3月、5年生と保護者に分散報告会をしました。まとめの最中に、ウクライナで「戦争」が起きたのです。

私は広島や大久野島、それから世界中が被害を受けて大変なことになっているのを聞いて、知るだけではだめだと思います。知ったことをまた次の世代へつなげていく、それが平和のための第一歩だと思いました。/そして、今ウクライナ情勢で、ロシアが攻撃を続けています。それは、今この瞬間から八十年前の悲劇が起こる可能性があるということです。それは、絶対にだめなので、なんとか止めたいです。/緊張したけど、核の恐ろしさをうまく伝えられたと思います。

今回の学習発表会で、大久野島の毒ガスの被害などのグループだったから、他のグループの発表は何をするかなど詳しくは知らなかったけれど、修学旅行で学んだことをまた深く知れてよかったです。/今はロシア軍がウクライナを攻めて、自分自身で孤立の道へと歩んでいます。本当に昔の大日本帝国がたどった道を進んでいます。また、戦争が行われるなんて、二度とあってはいけないことだと思います。」など、広島修学旅行での学びとウクライナで起きていることを結びつけて考えていました。

学校の「朝日小学生新聞」「毎日小学生新聞」には、ウクライナ関連の報道記事が連日掲載され、子どもたちと読んでいます。

4月13日の朝日小学生新聞には、ロシアに住んでいた「アプリコット」さん(6年生)の記事が掲載されていました。アプリコットさんは、父の仕事でロシアに住んでいましたが、「ロシアによるウクライナへの侵攻があって、急にロシアから出ていかないといけなくなりました」。

アプリコットさんは、「もし私がどこかの国の大統領で、ロシアでの経験がなかったら、私は多分、他の国と同じようにロシアへ制裁を科すという結論を出すと思います。しかし、この状況に置かれた私が今、どうするか決めろと言われたら、答えを出すのがとてもむずかしいです。/なぜなら、戦争に、ロシアの行動に、反対しているロシア人を私はたくさん知っているからです。そんな人たちを巻きぞえにして、苦しめなければロシアを止めらないかもしれないということに悲しくなります。/一日も早く、みんなが安心してくらせる世の中になってほしいです。」と述べています。

ウクライナで「戦争」が「なぜ起きたのか」「起こさないことはできなかったのか」「ウクライナ、ロシアの子どもたちは」「どうしたら止められるのか」など、子どもたちと考え合いたいと思います。大人である私たちは、子どもたちに、これは大人が解決すべき問題なんだ、と伝えたいです。

連休中、上記の課題について本を読み、考えました。川崎哲さんは、「今日、国連憲章によって戦争は基本的に違法化されている。それでも現実に戦争は起きてしまうのだが、そうなったからといって国家がとることが許される戦闘手段は無制限ではない。戦争においても守らなければならないルールこそ、国際人道法である。」「ロシアによるウクライナ侵略戦争のような国際法違反の横行をみてしまうと、国際法など無力だと感じてしまう人もいるだろう。略 核兵器禁止条約に限らず、国際条約の定めを最終的に強制する術は今日の世界に存在しない。それでも、たとえば検証能力を高め、違反を公正に探知することができるようになれば、国家間の議論を通じた外交的解決の余地は高まる。条約など無力だと刹那的になって武力依存に突き進めば、その先には破滅しかない。この正念場で、私たちの理性と倫理が問われている。」(『世界』2022年6月号)と述べていた。

吉田文彦さんは、「核軍縮への新たな行動原理」として、「核戦争に勝者はなく、決して戦われてはならない」という「基本認識」の徹底、これを「行動原理」として「共有する」ことを繰り返し述べている。今回の危機的状況にも「核の恫喝には核の恫喝」ではなく、「強力な経済制裁の決定と実施に傾注」をという。論文の最後に、ジョージ・ケナンさんの「現時点の暗さや、近年われわれが抱いてきた無力感によって意気消沈するのではなく、世界平和のためのわれわれの努力を倍加させようではないか」(同上)と書いていた。私たちは、考えて、考えて、声をあげ続けていこう。

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