2022.6.15

中嶋涼子さんへの取材、保護者の方の感想に学ぶ [Ⅱー301]

1、6月13日、中嶋涼子さんへ取材を

中嶋さんに『桐朋教育』の「卒業生」コーナーの取材をさせていただきました。これまで何度か中嶋さんの話を聴いてきましたが、今回、あらためて「桐朋らしさ」について考える機会をもらいました。

中嶋さんは、在籍した桐朋小中高で、自然と仲間が車椅子を押してくれたと言います。遊びでは、いっしょに楽しむ工夫を話してくれました。手打ち野球をやる時は、打つのを代わりの人がやる、走る距離はベースまでの半分などと、いろいろと工夫していっしょに楽んだそうです。車椅子の人への壁がなかったとも話していました。当時を振り返ると、「子どもは柔軟なんだ!」(そうした思いから、中嶋さんは学校での講演機会を大切にしています。)。いっしょに過ごすから感じてくれていた。いっしょに過ごして自然と気遣った。桐朋はそういう場所だったそうです。

また、卒業後に7年間暮らしたアメリカでも、中嶋さんと目を合わせ、笑いかけてくる。何で車椅子なの? 手伝おうか! など声をかけてきたそうです。アメリカはいろいろな人がいて、活き活きしている人がたくさんいたと言います。

ところが、日本で就職したら桐朋やアメリカでの生活が当たり前ではなかったことを実感し、その当たり前でないことを変えていきたいと話してくれました。「桐朋らしさ」や「アメリカでの人との関わり」が当たり前になることを願って活動しています。

他に、涼子さんが発症して車椅子での生活になる前には、障がいに対してかっこ悪い、かわいそうと思っていたことを話してくれました。私はその話を聴く度に、私自身にある差別や偏見を考え、向き合い、葛藤します。

小4で学校に戻って、みんなは以前と同じように接してくれたが、自分だけ、みんなと違う、恥ずかしい、自信を失うことに。そして、引きこもるようになったそうです。その後、映画「タイタニック」と出あい、観に行きたい、外へ出たいと、11回観に行ったと言います。映画を観に行く際の差別などにぶつかりながらも、それを越えていく涼子さん。

卒業後のアメリカ生活、それから日本で、好きな「タイタニック」を制作した会社に就職。夢が叶った、しかし、トイレ、階段、通勤電車などの日常場面で「心のバリアフリー」を感じられた。「障がいは社会がつくる」とも。

そうした時期に、障がいをもつ人と出あいます。自分より重い病気にかかわらず、人生を楽しんでいるその人と3人で車椅子グループをつくり、歌や踊り、話などで活動。参加者から、すごい元気をもらえましたという感想などを受けとって、現在の活動にすすんでいます。涼子さん自身が「その気」になって行動して、自身やまわりを変えていく姿に励まされます。ありがとう!

園庭のあんずを収穫し、ジャムをつくりました。

2、幼稚園保護者の皆さんとの学習会を終えて

一人ひとりの感想を読ませていただいています。私の話の内容と時間についてはもってこうすればよかった、これは話したかったなど振り返っています。保護者の方からの感想で、思い通りにいかないこと、他の人とちがうこと、自分でよいこと、ちがう人どうしが繋がること、などの大切さを感じさせられました。ありがとうございます。何人かを紹介させていただきます。

●やりたいけどできない体験を繰り返していくプロセスが大事とのお話は身にしみました。親として待つことは必要だと分かっているのに、待つことは難しい。

●子どもに腹を立てることも多々あり、誰かに聞いてもらいたいと思うこともありました。また周りにいるお母さんは完璧に見えることもありますが、同じようになかなか上手くいかないことがあったり、悩むことがあると知り、少し気持ちも楽になることができました。

●ディスカッションの題材文に関し、共感しきれないところがあり、自分なりの明確な回答を準備できないまま臨んだのですが、「私は正直共感できなかった」とおっしゃっている方も何人かおり、思ったままを正直にお伝えしても大丈夫な場なのだとホッとすると共に、リラックスして自分の想いをお伝えすることができました。

●ディスカッションでは、保護者の方々と話し合ったり、様々な意見、考えを聞くことで、育児をふり返れるいい機会となりました。そこでも感じたことは、子育てをする上で、自分を受け入れてくれる家族、友人、周囲の方々がいるからこそ、親も子も成長していけるのだ、そして、つらいことがあっても乗り越えていけるのだ、ということでした。

●グループディスカッションで登園渋りの話をした所、皆さまのお言葉にとてもヒントをいただきました。異学年の保護者の方々と直接お話できたのがありがたく心が軽くなりました。

●悩みがあると、子育て本を読んで答えを探しだす事が多いのですが、まず思いをうけとめる、聞くことができれば、自ずとどうしたらいいのかわかってくるのかなと思いました。幼稚園では、子どものことを第一に考えた生活が保障されている、そして、色々な経験から学んできてくれる、自らどんどん育っていってくれる、そうわかって、私が色々しなくては、してあげなくてはという思いから開放され、心が軽くなりました。

●インターネットで子育てに関する情報を検索すると、インターネットの中にいる見えない存在にあおられるように早期教育や習い事などが、子どもの将来を有意義にするためには必要ではないかと考えた時期がありました。しかし、毎日子どもと一緒に遊び続けると、疲れてインターネットを開く気力もなく、調べることをやめたことで、子どもとゆったりとした時間を過ごせていることを思い出しました。子どもが、今なにをしたいのかという正直な気持ちを持って物事にとりくめ、それをしっかりと見守れる親になれたら良いなとつくづく思いました。

●沢山の〈響きをきく〉(「響きをきく」については、幼稚園の共同研究者久保健太さんと、倉橋惣三さんから学ぶ)。とても大切な事なのだなあーと感じました。子どもの響きをきく事だけで、ついついいっぱいいっぱいになってしまいがちですが、大人の中の響きも大切にし、親子ともに響きあって、ともに成長していくことの大切さを再認識できました。兄弟姉妹であっても一人一人違う事、響くポイントも響き方も違う事、その子にとって、一番良く響く、美しく響かせられるポイントが見つかって、また、違う響きが重なり合って子どもたちにはもっともっと大きく美しい響きになっていってほしいと思いました。

●なかなか難しいとは思いますが、お父さんは少数でしたが理想的には半分近くいると、いろいろな気づきや刺激を得られて、父母の役割分担など、男女の理解が深まると思いました。

高いところの実をどうやってとるか試行錯誤しました。友だちとの相談、技や道具、支えがたくさんあります。たのしかったね!

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