2023.2.21

「僕はAさんに賛成だ」「私はBさんに賛成します」~6年生との授業 [Ⅱー332]

授業では、「自分の意見を大切にしよう」「思考力、判断力を耕そう」「相手に伝わるように表現しよう」などを大切に、子どもたちを励ましています。

ある文を読み、自分の考えを書いて、お互いにその考えを聞き合った時間のことをお伝えします。

[教材]Aさんは、「『男の仕事』『女の仕事』はあると思う。いくら世の中が進歩したとしても、男でなければできない仕事、女でなければできない仕事というものはたくさんある」と、自分の立場を示したうえで、「力を必要とするような仕事は男の人でないとできない。大工さんや工事現場の仕事などは、男でなければ困る。一方細やかな気づかいや優しさが必要な仕事などは、女の人でないと難しい」などと述べた。

一方、Bさんは「『男の仕事』『女の仕事』は、ほとんどないと思う」と、自分の立場を示したうえで、「少しの例外を除いては、男だけにしかできない仕事、女だけにしかできない仕事というものはない。今では多くの仕事が機械化され、男でなければできない仕事はほとんどない。たとえば、大工さんや工事現場の仕事は、女の人でも十分にできる」と述べた。

この二つの文章のうち、あなたが賛成するのはどちらの文章ですか。まず賛成する文章はどちらの文章かを示し、なぜその意見に賛成したかを説明してください。

卒業アルバム写真「思い出の場所」の撮影より

[意見]➀僕はAさんに賛成だ。なぜかというと、大工さんとかは、女性がやると力がなく、時間がかかり、男性とかに厳しく怒られて女性が傷ついてしまう。逆に何かを考える人とかは、男性がやると大ざっぱで、分かりにくいけど、女性がやると細かいところまで教えてくれるのでいいと思った。男性と女性は、得意なことと得意じゃないことがあるから、やる気があるなら別だけど、僕はAさんに賛成だ。

➁私はBさんに賛成します。もちろん、力を必要とする仕事、気づかいや優しさが必要な仕事、というのはあります。ですが、女の人でも力がある人はいるし、男の人でも気づかいのできる優しい人はいます。それは、人それぞれであり、「男の仕事」「女の仕事」ではなく、「自分に合った仕事」というのがあると思います。例えば、男のモデルさんはコスメなどに詳しいし、女のパイロットや政治家さんも増えています。これらの理由により、私はBさんに賛成します。

③Aさんに賛成します。なぜなら、キャビンアテンダントのように、男の人や女の人しかやれない仕事もあるし、機械では出来ないような精密な仕事などでは、体力がある男の人の方が向いていると思う。一方で、Aさんが言ったように、気づかいや優しさが必要な仕事は女の人しかできないと思う。

➃僕はBさんに賛成します。「男は力仕事、女の優しい仕事」というひと昔前の考えに賛成できません。保育士、介護士は男性でもできるし、力仕事をできる女性もたくさんいるだろうし、力仕事とか関係なく、協力することが大事だと思う。

⑤私が賛成するのはAさんです。確かに、今の世の中、ジェンダーがとても大事にされているけど、やっぱり体の構造が違うから、難しいのではないかな、と思いました。私の考えでは、例えばスポーツのバレーボール。男、女の試合を見たときに、球のスピード、身長も、男性の方が高いため、ネットの高さも、まったく違います。そういうことも考えると、女性が大工をできない、とは思いませんが、女、男の仕事はあるのではないかな、と思いました。

⑥私はBさんの意見に賛成する。確かに今、世の中は男の仕事、女の仕事で分けられているが、力の差などは、小さな頃から鍛えていれば補えるのではないか? 裁ほうや料理が得意な男性もいれば、力が強くたくましい女性もいる。今、現時点では男の仕事、女の仕事が分けられているが、いつかその区別がなくなる日がくると、私は思う。

⑦Aさんの意見にも、Bさんの意見にも賛成します。適材適所というように、人は向き、不向きはあるので、ただ僕は適した場所で仕事をやる必要はないと思う。自分がやりたい所に行けばいいと思う。ただ、適した所でやるのも面白いと思う。

⑧私はAさんの文章に賛成します。理由は、やっぱり男の人の方が力はあるから、女の人に出来ない事もあると思います。工事現場とかだと、力仕事が大半だと思うので、何十㎏もある物を持ち上げるのは難しいと思いました。でも、自分がやりたい事をやった方がいいと思った。

⑨僕はBさんに賛成します。「男の仕事」「女の仕事」、男でないと困る、女でないとおかしいなどあると思う。でも「男でないと困る」仕事に挑戦する女性もいます。それを否定するのはおかしいと思う。力や技術、男が有利な条件を持つ仕事でも、努力して、その仕事をできる。それがすばらしいと思った。

Bさんに賛成した人がたくさんいました。いろいろな考えを聞き合うなかで、たとえば⑤の人(Aさんに賛成)が意見を述べた後には、「なるほど~」「わかるわかる」という感想もBさんに賛成した人たちからも語られました。一人ひとりの違いを大切にしながら、お互いにかかわるなかで、一人ひとりが変化や成長を続けています。ぼくもその一人です。


幼稚園年少児「音をたのしむ」世界へ

その時間の最後に、藤明里さんの記事を紹介しました。藤さんは、日本初の女性旅客機機長として、今も日本航空で乗務を続けられています。藤さんは、大学受験のころにはすでにパイロットという目標を抱いていました。国内に女性機長の前例はありませんでしたが、藤さんは「性別が関係する仕事ではないはず」と信じて、挑戦を続けました。

藤さんは桐朋小学校の出身です。「桐朋で自由を尊重し、夢とか可能性を否定しない環境で育ったせいか、私はそんな理由で諦めるということを知らなかったのです。」と言われていました。

前の文で、⑥の人が願った「いつかその区別がなくなる日がくる」を、藤さんがつくり出していることを子どもたちと共有したいと思いました。藤さんについては、NIKKEIリスキリングの記事を参照しました。

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