2023.6.20

音楽をみんなで楽しむ ―現在を大切に生きること [Ⅱ-349]

ゆり組みんなで音楽を楽しんだあとに、さらにやりたい人たちが歌い、合奏をしました。

そこに、ばら組、たんぽぽ組の人たちが保育者とともにやってきて、いっしょに楽しみました。音楽に合わせて演奏したり、歌ったり、いきいきした表情で楽しそうでした。

私は、その後に、2023年4月に行った座談会を思い出しました。座談会の中で、小林弘美さんが「遊びの中での音楽を楽しむことが、本来の音を楽しんでいる音楽の原点のような様子でした」、「子どもは大人が考える以上に、イメージの広がりっていうのはすごくあるなといつも驚かされました。この曲に合うのはこの楽器だから出してくれとか。子どもに任せてみたら思いのよらないものが出来上がったりしました。/周りにいる子どもが『なにかやってる』と見に来たり、仲間に入れてもらったり、他のクラスの保育者も何か面白そうなのをやってるからと聞かせてもらおうと言って、子どもたち連れて来てくれたり」と発言されていました。このようなことが幼稚園の日常で大切にされていることを実感しました。

ゆり組(5歳)の部屋に、ばら組(4歳)とたんぽぽ組(3歳)の人たちが集まってきて

それから「集まった子どももすごく楽しそうにしてるけど、やっている本人たちが一番満足している。人に見てもらったり、拍手をしてもらったり、自分たちのアイディアを認めてもらったりする経験が大事なんだな」と話してくださったことを大切に感じました。

2020年度から本園に来てくださっている今川恭子教授(聖心女子大)は、桐朋幼稚園のことを「子どもの遊びの中から出てくるものを受け入れている、受け入れたところから共につくっていくということをやっているんじゃないかということ。子どもたちは日々の生活の中で、自分の身の回りと相互作用しながらいろんなことを芽生えさせているわけなんですね。その芽生えを見つけて、『こっちへ行くともっと素敵だよ』とか、『こうするともっとかっこよくなるよ』とか保育者が示すのを受けて、『ああそうか』って子どもたちがそっちに向かっていく。そのような在り方が文化的な実践者として先を歩いている大人の責任だと思うんです。そうしながら、子どもたちが何かつくっていくのを一緒に楽しめる存在が保育者であ」ると述べていたことも思い出しました。

プレイルームで3歳の人たちが音楽を楽しむ様子。右写真で、座っている人たちは、カスタネットを鳴らしています

現在をいきいきと生きる、その豊かさを感じた時空間とまじわりがこの場にあったのです。

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