2023.7.3

沖縄戦から78年と新教科書の採択 [Ⅱー350]

2024年度から小学校は新教科書に変わります。6~7月、本校ではそれぞれの教科でどの教科書を使用するか、子どもたちに配布する教科書をどれにするかを職員全員で検討しています。全ての教科書を見ながら話し合う過程を本校では大切にしています。

 
2022年度、6年生の「平和ポスター」と戦争と平和関連の読書記録

今回のコラムでは、沖縄戦と社会科6年教科書について、私が考えたことを書きます。

➀沖縄戦について

沖縄戦では、約16万5千人の戦没者(正確な人数は不明)、子どもの戦没者は7526人という記録があります。その要因として、アメリカ軍の攻撃、集団自決の多発、住民の虐殺、集団マラリア病死などがあります。

集団自決の根本には、帝国陸軍の「最後の一兵まで」という方針の徹底、住民の犠牲者が過半数を超えているという記録があります。教科書に掲載されているひめゆり学徒隊では、240名中生徒123人、職員13名が亡くなりました。そこには「最後は日本の国民らしく潔く果てよ」と教えられ、一人ずつ手榴弾、青酸カリを渡されたなどの記録もあります。(参照 村山士郎著『子どもたちが綴った戦争体験』4巻、2022年)

➁新教科書における沖縄戦に関する記述について

社会科新教科書は、3社から発行されています。「沖縄県読谷村などで起きた『集団自決』」は、「アメリカ軍の攻撃に追いつめられた住民には、集団で自決するなど、悲惨な事態が生じ」(T社)、「アメリカ軍の激しい攻撃に、追いつめられた住民のなかには、『集団自決』した人も多数いました」(N社)、「アメリカ軍の攻撃に追いつめられて、多くの住民が集団で死に追いこまれるできごとが起こりました」(K社)と書かれています。

どの教科書にも➀で書きました日本軍の関与については書かれていません。

毎日新聞では、「沖縄戦78年 6月23日は『慰霊の日』」のタイトルで、「来年度の小学校の社会科教科書で、沖縄戦に関する記述が後退」という内容を掲載しています。記事には、「『子どもと教科書全国ネット21』富山の世話人代表、松浦晴芳さんは、「沖縄戦の集団自決は、日本軍が降伏を許さず追い詰めたのが主な要因だが、その記述がなくなっている。本来住民を守るべき軍隊が実はそうではなかったというのは歴史が示している」と批判する」(6月22日記事)と書かれていました。

小学校社会科を発行する3社とも、「米軍の攻撃に追いつめられて「集団自決」が起こった」という趣旨の記述でした。歴史の事実として、「集団自決」への日本軍の強制または関与の事実を捉えること、そしてなぜそのようなことが起きたのかを考え合う必要があると思います。

こうした学び合いによって、2度とこのようなことがないように、私たちは現在と未来を築いていかなくてはならないと考えます。

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