2023.7.11

地球市民の時間(4年生) [Ⅱー351]

4年生の子どもたちは、1学期にはじめての八ヶ岳合宿などもあり、自分たちで行事、活動をつくることが増えていきます。友だち関係のひろがり、深まり、友だちとの関わりを考えたり、悩むこともあります。また、社会や世界への目をひろげ、地球温暖化や環境問題、戦争と平和などに関心をもち、いろいろと調べたりします。

このような他者との関わりや視野がひろがり、深まる時期の子どもたちに寄り添い、「人と人とがつながり合い、学び合うことができる楽しい授業や活動」を「みんなで探求しながら深めていく」ことに取り組んでいます。その一つとして、地球市民の時間(4年生)を取り上げます。

1学期、「スリランカと出あおう」を行いました。講師は、桐朋女子中高の卒業生で、スリランカの幼稚園の園長先生飯塚淳子さん。淳子さんと出あうことをきっかけに、子どもたちは自主学習で「スリランカ調べ」をはじめました。

図書の時間では、スリランカ関係の本を紹介します。職員室前のみんなが使う廊下は、淳子さんが持ってきてくれたポスターなどでいっぱいです。

「スリランカと出あおう」は、「食」「住」から入りました。「食」は、ロテイというスリランカのナン作りをしました。当日は、淳子さんと息子さんのリキさんが来てくれました(「人」との出会い)。「ア―ユーボーワン!」(こんにちは)の挨拶からはじまり、ロテイをこねて、発酵させ、焼いて食べる、片付けるという活動をたのしみました。

…スリランカの料理「ロテイ」(ナン)を作りました。/作った後、失ぱいしてしまった班があって、みんなのロテイをその班に分けました。ロテイを食べてみたらすごくおいしかったです。次は、カレーと食べてみたいです。/スリランカのみんぞくいしょうを、SとМが着ました。ぼくも着てみたかったです。

ナン(ロテイ)を作ったら、しおと、さとうをまぜたりしちゃって、はんの中でごちゃごちゃになってピンチだったけど、食べたらおいしかった。(しょっぱかった。)/りょうりのほかに、ファッションもやった。とくに、H先生がきているふくがにあっていた。スリランカのねる服(パジャマ)とかは、何なのかな? /スリランカの文化やあそびをやってみたい!! スリランカ語を書いてみたいです。

子どもたちは学び(「衣」も)、自分の感じたこと、考えことを表現し、みんなで交流をしました。

「食」の2回目の授業では、お皿にのせたクミン、カルダモン、シナモン、クローブを触ったり、指でつぶしたり、かじったりして香りをかぐなどをしました。変な匂い、いい匂いという声、口に入れた途端「うわっ!」と水筒をとる人もいました。馴染みのない香りや味の経験も、五感で文化を知ることに繋がります。

それから、淳子さんがスリランカのポテトカレーを持ってきてくださり、ロテイと一緒に食べました。

その後は、「写真でみるスリランカの自然と暮らし」「現地カッレリア小学校との交流」をオンラインで実施するなどをすすめました。教室で台風について話題となった時には、「スリランカでも集中豪雨があったらしい。雷が落ちた写真が届いたよ」など、スリランカの様子を子どもたちと共有しています。それから2学期に、2回目の交流をたのしみに予定しています。

図書の時間に、スリランカの本を紹介し、国語では、説明文「手で食べる はしで食べる」(森枝卓士、詳細は『手で食べる?』森枝卓士、たくさんのふしぎ傑作選)の学習をすすめました。インドのカレーを手で食べてみる経験もしました。「手で食べるか、はしで食べるか、またどんなはしで どのように食べるかということは、その国の食べ物や生活の仕方のちがい、つまり『文化』のちがいからきています。どのような方法で食べるかということは、それぞれの国の『文化』から生まれた人のちえなのです」(森枝さん)ということなどを学びました。

子どもたちは自主学習をすすめています。サンフランシスコ講和条約の会議でのジャヤワルダナ大統領の「憎しみは憎しみによってやむことはなく、愛によってやむ」ということばと出来事を調べている人もいました。ウクライナへの侵略、戦争も「愛によってやむ」、やめるように大きく声をあげたいです。

地球市民の時間は、子どもたちがこれからの未来を地球市民として、世界の平和や持続可能な未来のために、考え行動できる人に育つ、その土台となる学びの時間です。具体的には、外国語、外国語活動(英語)、総合と社会科の多文化共生教育、国際理解教育の分野の学習を、広く包括的に「地球市民の時間」と呼んでいます。

だいじにしていることは、〇多様性を尊重し、世界の人々とともに、地球市民として世界の平和や持続可能な未来のために考え、行動できる人を育てる。

〇多様なことば、コミュニケーション、文化に対する感性と能動的な態度を育てる。未知のものとの出あい、新しい学びをおもしろいと感じる学習姿勢を育てる。

桐朋小学校ではこれまでも総合や社会科などの授業で、平和、環境、SDGs、子どもの権利条約などを学んできましたが、そうした学習も「地球市民の時間」に位置付けています。学ぶとは、知識や技術を獲得するだけでなく、人生におけるものの見方や考え方をつくっていくことであると考えます。

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