2023.9.29

ロマナ・ロマニーシンさんとアンドリー・レシヴさんの来校③ [Ⅱ-362]

9月22日、『戦争が町にやってくる』(ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳、ブロンズ新社、2022年)に関わる人たちが桐朋小学校に来てくださり、6年生との授業をつくってくださいました。ありがとうございました。

今回は、事前に『戦争が町にやってくる』を読んだ6年生の人たちが感じたこと、考えたこと、『戦争が町にやってくる』をつくった理由、内容を紹介させていただきます。また、6年生とバーナーの2年生の人たちの様子も紹介させていただきます。

1、なぜこの絵本をつくったのでしょうか(*1)

著者のロマナさんとアンドリーさんが30歳の2014年、ロシアのクリミア侵攻がはじまりました。子どもたちのいる場所が爆撃をうけ、家をうしない、おおくのひとが亡くなるおそろしい日々でした。それまで、ウクライナには、戦争をテーマに親子でじっくり語る子どもの本がありませんでした。でも子どもたちには、いまこそ、そういう本が必要です。ならば作家である自分たちでつくるべきだという思いでつくった絵本でした。

2、どんな絵本でしょうか(*2)

ロンドという架空のうつくしい町がありました。風変わりな建物があり、町のひとびとは歌がだいすき。花たちまでも歌をうたいます。3人の主人公ダーンカ、ジールカ、ファビヤンの、平和にみちたロンドの暮らしに、ある日とつぜん、戦争がやってきて、町がつぎつぎにこわされていきます。3人は知恵をしぼって、町のひとたちといっしょに立ちむかいます。戦争がおわっても、傷はのこります。戦争はひとも町も変えてしまいます。平和とはなにか、戦争とはどういうことかを、まっすぐに伝えてくれる本です。

*1、2とも、『戦争が町にやってくる』に挟んであった<『戦争が町にやってくる』が生まれた背景について>より引用

3、絵本を読んだ6年生の人たちが感じたこと、考えたことから

  • ◆心に残ったことは「残念ですが、すべてがなおるわけではありません」という文です。戦争が終わって町の風景がよみがえっても、心の傷は治らないという事なんだなと思い、とても心に残りました。

 

  • ◆戦争は前へ進むばかりという言葉が心に残りました。今起きている戦争もまさにその言葉だと思いました。赤い花には深い意味がある事を初めて知りました。

 

  • ◆勝った後に、戻らないものもあるんだと気づきました。どこか心の中でもやもやしているんだと思います。それは今まで被爆体験をしてきた人も同じで、本の主人公たちも勝ってもあまりうれしくないんだと思います。

 

  • ◆日常がこわされてしまっても、日常を取り戻すために力を合わせて、傷ついても戦争をなくそうとしていた。戦争の傷は死ぬまで一生ひきずると思う。傷は怪我だけではなく大切な人が亡くなる、心の傷もあると思う。

 

  • ◆咲いた花の数が消えた人の数かもしれない。戦争はとても黒い物なんだとわかりました。みんなで照らせばみんなが歌う。そういうのが毎日だったらいいのに。

 

  • ◆ダーンカの心臓にできたひびと、ファビヤン、ジールカのとげがささったあとは、今の戦争を体験した人の気持ちなんだなと思いました。

 

  • ◆最近ユーチューブで、悪口ややってはいけないことを知らせてくれる動画がありました。悪口を言うと紙がくしゃくしゃになり、謝ると紙が元に戻る。しかし、紙にはまだしゃくしゃになったあとが残ってしまっている。これが悪いことや悪口を言ってはいけないということだと知り、同じだと感じました。

 

  • ◆この本では「いつも通り」という言葉が出てきました。今、ロシアとウクライナは戦争をしていますが、ウクライナも「いつも通り」の日常を過ごしていたら、急にロシアが攻め入って来てビックリしたと思います。戦争は言葉に表しても攻め入っている方には伝わらないと思いました。

 

  • ◆「戦争は誰一人も見逃しません」から、戦争はどんな人でも犠牲になるんだなと思った。平和の象徴として登場する「花」と「歌」が戦争でなくなり、赤いヒナゲシが残る。「ひび」や「こげあと」、「傷」から、戦争が終わった後の人々の心の中に残る深い傷が伝わってくる。

『戦争が町にやってくる』より撮らせていただきました 

  • ◆戦争で何もかも失われてしまった。全てが消えてしまう。そう考えた時、心がきゅうに暗くなりました。しかし、今もウクライナで続いている。そう考えただけで怖くなった。『戦争』は人類の過ちであり、一生向き合わなければならない課題の一つ。全世界に平和が訪れる時まで、僕は戦争について学び続けたい。

 

  • ◆温室にあった歌う植物の絵が好きです。あと、言葉で上手に言えないけど、「戦争には心ぞうも心もない」という文がぐっときました。

 

  • ◆「だけど全てはなおらなかった」という文が心に残った。

 

  • ◆ラストのページで、三人が傷ついていたこと。戦争が終わっても、人の傷、心の傷は治らないんだなって思いました。どうやったら、この傷をケアできるのか、もしも一生の傷になってしまったらと思うと、心が痛いです。

 

  • ◆明るかった町が暗くなるところ。楽しかった町が「戦争」がくるだけで、不安の声が出てきたり、町に人がいなくなってしまうというのが一番心に残ったし、戦争は自分たちの意思に関係なく起きてしまうのだと思いました。

 

  • ◆心に残ったことは、戦争の時であっても、みんなで力を合わせることが大切ということです。決して元通りになるわけではないけど、最後まであきらめてはいけないと思いました。

 

質問

  • ◇「光」という表現は、どういう意味で、どういう表し方なのですか?

 

  • ◇戦争は黒い花を植えるとかいてあったけど、それは何なのか?

 

  • ◇ひなげしの花の白やピンクはどんな意味を示すのかな?

 

  • ◇どういうおもいでこの本をかいたのですか?

 

  • ◇「戦争に勝った」という表現。戦争に「勝つ」ということは、一時的にでも心がホッとする安心することなのか? 「終わった」ではなく「勝った」と書いた理由は?

 

4、2年生の子どもたち

26日(火)、6年生とパートナーの2年生に、担任が22日の授業の記事(読売新聞朝刊)を紹介をしたそうです。2年生の人たちは、パートナー学年 6年生の授業であったこともあり、興味をもって担任の話を聞いたそうです。

記事を読み終え、担任が世界情勢の解説を加えたところ、「どうして戦争はおわらないの? 話し合えばいいのに」「他の国は間に入ってあげないの?」「日本はどんな考えなの? アメリカは? 中国は?」などの声があがったそうです。さらに「でもロシアとウクライナって、昔は一つの国(正確には連邦)だったんだよね?」「えー、そうなの」など話がひろがっていったそうです。

担任は、このような難しいテーマへの、子どもたちの関心の高さに驚かされたと言います。「昔、日本がしていた戦争では、たくさんの人が亡くなった。核兵器も使われて、子どもたちもたくさん亡くなっている。それなのに世界にはまだ戦争があるし、核兵器もたくさんある。人が亡くなっている。困っている子どもたちが大勢いる。大人たちが悪いんだ。責任を感じている」と、担任が話をしたら、子どもたちは「そうだ、ぞうだ。子どもだったら、戦争をするなんてことは、考えないはずだ!」の反応があったそうです。

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