2023.10.14

中野光先生に学び、考え合いたいこと [Ⅱー366]

2023年5月12日、中野光先生がご逝去されました。職員室の教育誌コーナーにある『生活教育』2023年10・11月号(日本生活教育連盟)では、中野先生の特集が掲載されています。

中野先生は、1954~1959年桐朋学園の教員でした。1955~59年、「初等部開設時の中心的役割」を担われました。応接室に創設メンバーの写真があり、中野先生も写っています。

 向かって右下が中野先生

中野先生は、学生時代からジョン・ディーイを学び、その理論に共鳴し、「桐朋初等部創設にあたって、これから創られる学校のイメージをデューイを想いうかべながらあれやこれや構想する時と条件が与えられたことは、願ってもない幸せ」(『初等部誕生物語』)と述べていました。先生はデューイから、「子どもが構成し、創造し、そして能動的に探究するための作業所・実験室・材料・道具が、いやそういうことに必要な空間」、「伝統的な学校におけるカリキュラムおよび教育方法の画一」を変えることなどを学び、そうした考えを大切にして初等部を創ろうとされました。

そのことは、初等部創立40周年(1995年)に寄せられた中野先生の発言からも伝わってきます。「私学としての桐朋はいわゆる『研究学校』(ラボラトリー・スクール)として発展していくほかないのではないか」/「教育の内なるものをゆたかにしたい、量より質で勝負する、というのがその存在理由だったはずです。ですからいわば教育の『質』を研究的に問いつづけるほかに発展の道はない、と考えるべきで、生江先生もそう考えておられたはずです」(『初等部誕生物語』)

先生は「質」について、「『いま』を大事にする教育」と述べています。ルソーの『エミール』に書かれた「子ども時代は再びめぐってはこないのだ。あてにならない将来のために、人々はなぜ、二度とめぐり来ることのないいまを犠牲になるのか」を引用し、「ここで学んだ者のすべてが『桐朋で学んでよかった』と思うことができる学園であってほしい」と期待を込めました。

「研究学校」については、「「私のやっている教育は果たしてこれでいいのだろうか」と疑う教師がいる学校、『もうすこしましにならないものだろうか』とみんなで問い直すことができる学校」と述べていました。

今、私たちは、中野先生に学び、「教育の質を研究的に問いつづける」園や学校の創造、「『いま』を大事にする教育」とは何かを考え、実践することなど考え合いたいと思います。

中野先生は、桐朋から金沢大学、和光大学、立教大学などの教員になりました。また、日本子どもを守る会会長、日本生活教育連盟委員長、日本教師教育学会会長、日本学術会議会員などを歴任されました。桐朋を辞められてからも、研究会やご著書などで、私たちを励まし続けてくださいました。

ご著書には、『初等部誕生物語』(桐朋学園初等部ブックレット)、『桐の朋 教育者・生江義男を読む』(私学公論社)、『教育空間としての学校』(中野光教育研究著作選集➀、EXP。著作選集は三巻)、『大正自由教育の研究』(黎明書房)、『もっと生かそう教育基本法』(つなん出版)、『子どもの権利条約ハンドブック』(岩波書店)他多数あります。

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