次世代に語り継ぐために(前編)
「平和を希求し、一人ひとりの子どもが平和のつくり手として社会に参加できるような根っこを育てます」
桐朋小学校の理念でもある平和教育。入学当初から、身近な友達との葛藤を解決する機会を大切にし、お互いの気持ちや考えを伝え合う力、理解し合う力が育まれてきました。
世界や日本の平和について、また戦争のことを具体的に学んでいくのは高学年から。6年生は先日、土曜参観で3名の方から証言を聴きました。東京大空襲の話です。詳しい内容は『校長コラム 風』に書かれているので、ご一読ください。
今回は、証言を聴く前の事前学習の様子を紹介します。2枚の写真の比較から始まりました。
・この写真、2枚とも同じ場所が赤く塗られているんじゃない?
・でも少しだけ塗られている場所が違うよ。
・赤いところは炎だよね。
・待って、文字が書いてある。
・逆から読むんだよ。「東京大震火災」って書いてある。 関東大震災のことか!
・もう1枚の写真は少しだけ違うけど、なんだろう。
・戦争のことを学んでいくわけだから、たぶん、「東京大空襲」の被災地図とか?
関東大震災の被災箇所と東京大空襲の被災箇所がほとんど一致することを知り、子どもたちは驚きます。事前学習を進めていく中で、東京大空襲は人口密集地を狙ったこと。燃えやすい地域を調べる際に関東大震災の被災箇所が明確になり、同じ場所を標的にしたことがわかってきました。
『3月10日東京大空襲 語られなかった33枚の真実』は、日本のTBSにより制作されたドラマとドキュメンタリーの複合番組。石川光陽さんが警察官として、東京大空襲の様子を写真に残していました。その写真や日記を参考にしながら、当時の様子を映像化したものです。子どもたちと映像を見ながら、感想を交流することや、問いをピックアップして、授業の中で学ぶことを大事にしてきました。
そして、土曜参観日を迎えたのです。