桐朋小だより

2024.8.23

2年生

はぬけきねん日~きのうのぼくと きょうのぼく~

朝の時間。教室。Jくんがはなしかけてきた。

「ねえ、きのうのぼくと きょうのぼく どこがちがうでしょう?」

腕を後ろに組み、私の前に立ってなにやらニヤニヤしている。

「んーーーー?どこかなあ。」

しばらく彼の顔や身体をじっくりと見る私。

「じゃーーーん!こたえは、はが ぬけましたあ~!」

J君は、いーーーという口をして抜けた歯のあたりを見せてくれた。

「ほうほう、いい隙間ができたね。はぬけきねん日おめでとう。

ここから、プリンとかゼリーとかにゅるにゅるだせるね。」

などと応えると、

「うん、うん。」

と言いながら満足気に着席していった。

 J君が見せてくれた口のなかには、赤ちゃんの頃からお世話になった乳歯が抜けたあとに、出番をまっていた永久歯が顔をのぞかせていた。

 

 低学年の学校生活では、いろんな場面で「あーーー!歯がぬけたあ。」という場面に出会う。小学二年生、8歳(7歳)の現在(いま)を生きている子ども(たち)にとって、抜ける・生え変わることは、特別なことなのだろう。J君の言葉をかりていうなら「きのうのぼく」と「きょうのぼく」がちがうということ。

 そんな現在(いま)を生きている子どもたちと、共にいることが出来ることは、なんて尊いことなのだろうかと思いを馳せる。

金色の折り紙入りの小袋に抜けた歯を入れ、「はぬけきねん日おめでとう」と記す。受け取った子どもたちは、うれしそうにはずかしそうに、にかっと笑う。

すき間のできた口を大きく見せながら、にかっと笑う。

私もつられて、にかっと笑う。

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