学園の連携について [Ⅱー408]
桐朋学園は、教育への情熱と学究の気風を持ち、自由と自治の精神を高揚させ、教育の特色をつくり出そうと、日々の実践を創造しています。
桐朋学園は、幼児期、児童期、青年期、それぞれの時期に相応しい育ちが必要と考え、その発達の時期に相応しい課題を追求した教育を展開しています。それぞれの時期に相応しい育ちを保障するため、推薦制度を大切にしています。この制度によって、初~高にかけて、じっくりと自分づくりや他者との関わりを育み、自分の人生の主人公へ、社会のつくり手として育つことができます。
この制度を大切にしていくために、初等・中高・短大部でお互いを知り合い、連携を深めていくことをすすめています。桐朋学園は、「一人ひとりの人格を尊重し、自主性を養い、個性を伸長するヒューマニズムに立つ『人間教育』」を行い、一人の子どもの成長を励まし、夢を育む場であり続けたいと考えます。そのために、毎年行っている小中連絡会、初中高合同研修会、四校懇談会の充実、『桐朋教育』などでお互いの取り組みを交流することなどをすすめています。
今回、取り組みの中から、1学期に行った初中高合同研修会を紹介します。各教科や課題別に分かれ、実践をもとに意見交流をしました。先生方の感想には、前向きな内容が多く、お互いに「つながり」を求めていることを感じました。その時の感想を紹介します。
【国語】◇中3(I先生)の俳句の授業報告は、とてもおもしろかった。俳句に対する鑑賞文を生徒が書きまた自作していくそのサイクルのプロセスが、とてもおもしろい。自由に想像を膨らませるところと集約していくこと。その両方ともが大切であること。集約していくことで抜け落ちてしまうことと集約することで学べること。そのどちらもがあることに、まずは自覚的でありたいと思えた。(初等部)◇Y先生(初等部)の物語の読み取り実践を伺い、行間を読み取ること、穴に落ちた犬の気持ちになるための指導に興味をもった。(中高部)
【理科】◇中高の先生方の教科に対する思い、方向性に共感できた。(初等部)◇小学校の理科のカリキュラムを詳しく知ることができた。ガスバーナーの使い方など、基本的な実験器具の扱いを取り上げながら、本質を理解させるような展開で工夫されていると感じました。ガスバーナーは小学校段階から是非使っていただきたいです。危険な物を遠ざけるだけの姿勢ではなく、しっかりと安全を確保させる指導をしていきたいと思います。(中高部)
【総合】◇幼小中高の総合について、情報共有できた。特に、中高のTプロジェクトのことを聞け、小学校で行っていることとのつながりを知ることができた。(初等部)
【外国語】◇昨年度、6年生担当として中高の説明会で伺えたこと、印象、率直な疑問等を伺えました。また、初等部の卒業生たちのことが名前を出して聞けたり、話せたりしたこと。(初等部)◇地球市民教育は、本当に桐朋の教育的財産であると思います。中高外国語科も教授方法論に加え教育論的支柱が形成されればと刺激になりました。(中高部)
【保健体育】◇中高のハードルの授業での取り組み。指導のポイントを共有できたこと。中2の学習カードが見られた点、一人ひとりにコメントをつけて返却しているところが知れてよかった!(初等部)◇実際の取り組みの様子を、映像を見ながら確認し、実践内容の理解を深められて良かったです。また走力の個性に応じて、一人ひとりに“自分の目標・課題”の設定を促し、学習意欲を引き出せている取り組みが、大変勉強になりました。(中高部)
【芸術】◇普段は知ることのできない小学校の授業や中学校の授業について知ることができて良かったです。色々な目的をもって授業を考えられていると知り、日々の保育でもねらいなど大切にしたいと思いました。年齢が大きくなっても興味・関心、やってみたいと思う気持ちを大切にしていることが、印象的でした。(初等部)◇初等部の教育、中高の他教科の指導内容を知り、学ぶ機会になったこと。どう評価するかも、気になりました。(中高部)
今後に向けて、□お互いの実践を大切にしながら、初等部と、中学の教科の授業実践のすり合わせを。□授業を直接見る、見てもらう。□小学校のK先生からはリレーの実践が報告され、中高のY先生、S先生からはハードルを中心に(生徒の記録も見ながら)伺いましたが、それぞれの種目について、各部の実践も語られたので、次回は種目を統一して報告、意見交流をしましょう。□教科内でテーマを設定することで、より一層有意義な時間になるのではないか。国語でいえば「文学教材を読む」をテーマに、それぞれの実践を語り合う。そして発達段階に応じて大事にしたいこと。着眼点や身につけたい力などを共有する。他教科も同様に、一つテーマを設定して話し合ってもいいのではないだろうか。自主編成テキストや社会科フィールドワークに関心を寄せている人もいた。いずれにせよ、研修の内容を早めに共有していくことが大切である。密に連絡をとりあい、進捗状況などを確認することが必要だと感じた。などが出されました。
このような取り組みが、子どもたち、教員、学園を大切にしていくことにつながると考えます。これからもお互いを知り合い、良さをとらえ、子どもたちがじっくり育つ環境づくりをすすめていきたいと思います。
写真について。1枚目ー昨日の3年生の黒板。創立記念日「おめでとう!」。2枚目ー先週金曜日に、5・6年生が学園大学のホールにお邪魔して、オーケストラをききました。ホール入口の写真。3、4枚目ー先週、しぜんひろば委員の5・6年生と柿とりをしておいしくいただきました。