初等部の将来構想 [Ⅱー415]
2025年度、初等部は創立70周年を迎えます。60周年からの10年間を振り返り、80周年に向かって10年間を計画していく「将来構想」を話し合います。2023年度より初等部将来構想として、〈目標、子ども像、保育、教育観など〉を含めた保育・教育計画、制度設計を叙述した中長期の総合計画を話し合ってきました。私たちの将来構想が、社会にとっても大事なこととして認められることを願い、社会的意味を叙述します。そこには、私たちの社会、世界に対する願いも込めています。
たとえば、2025年度に発行予定の「新学校案内」では、子どもたち、私たちがこれから生きる社会、世界を、平和で幸せなものになってしていくことを願い、大切にしたいことを次のように考えました。
「一人ひとりが、民主的な対話を通じて平和を希求し、社会に参加するための根っこを育みます。地球環境を守る願いをもち、人権を尊重し、お互いのちがいを認め合いながら、共に生きていきます。地球市民の一員として、社会のつくり手へと成長させるよう、その土台を築いていきます」(新学校案内の〔教育目標〕)
それを実現するための〔柱〕として、
「学ぶことは楽しい!」、「遊びは最高の学び」、「自治を大事に」、「実際に行う・本物と出会う」、「学びの過程や意味を大切に」、「ともに学ぶ・ともに働く・ともに遊ぶ」、「子どもの発達に合わせた教育過程の自主編成教育を」、「親と教師、親と親は、子どもの「今」と「未来」のために結び合う」、「子どもも大人も自分らしくいられる学校に」を考えてきました。
今後、子どもたち、保護者の皆さん、それから社会に〔目標〕と〔柱〕などを示し、できるだけ同意を得て、それを実践し、実現できるように保育・教育をつくり出していきます。そこには、どのような社会、世界を私たちは創出したいのか、その担い手を育てるための保育・教育とは、を示していきます。
少し違う角度からも述べてみます。こども家庭庁から「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」『はじめの100か月の育ちビジョン』が出されました。このビジョンは、「こどもが小学校に入るまでの重要な時期に、一人一人が健やかに育つことができるよう」「大切にしてほしい考え方をまとめ」たものです。
「はじめの100か月」とは、こどもを妊娠してから、小1、7歳くらいまでの100か月。「長い人生において、人格の基盤を築く、はじめの重要な時期というメッセージが込められています」。その時期を、「人生を幸せな状態(ウェルビ―イング)で過ごすため、特に大切な時期」として、「幸せな状態」とは、「身体、心、それを取り巻く環境や社会の状況、すべての面で良い状態にあること」と捉え、5つのビジョンを示しています。
幼児期までのこどもの育ちの5つのビジョン
1 こどもの権利と尊厳を守る
2 「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める
3 「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える
4 保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする
5 こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す
〇乳幼児は生まれながらに権利をもっている。すべての乳幼児が大切に育てられている。
〇乳幼児の生命や生活を保障する。
〇乳幼児の思いや願いを尊重する。乳幼児は、言葉だけでなく、様々な形で思いや願いを表現。一人一人のペースに応じて、それらが尊重されている。
〇乳幼児の育ちには、「安心」と「挑戦」の繰り返しが大切。「豊かな遊びと体験」「アタッチメント(愛着)」(こどもが不安なときなどに身近な大人が寄り添うことや、安心感をもたらす経験を繰り返すことが、「安心」という土台を築く)
〇育ちの環境を切れ目なくつくり上げ、次世代を支える好循環をつくる。 *ここまで引用
このビジョンの最後に、「国や自治体などの関係者が、同じ方向に向かって具体的な施策に取り組む。社会全体にビジョンを広め、人々の行動を変えるきっかけに」とあります。このビジョンも「将来構想」と捉えることができます。そして、私たちはこのビジョンからも学んで、実践していきたいと考えます。
写真はすべて年長の深大寺お蕎麦遠足(2月4日)より。たくさんの方にお世話になり、ありがとうございました。