おめでとうございます [Ⅱー419]
第66回 卒業式を行いました。72名が卒業をしました。皆様、ご卒業、おめでとうございます。
式では、卒業生とともに学んだことを2つ話をさせていただきました。
1、中嶋涼子さんとの出会い
中嶋さんは、桐朋小3年生の時に、原因不明で下半身不随となり、車椅子での生活を送っています。突然のことで、中嶋さんは、みんなと違う、できていたことができなくなったなど、希望を見出せずにいた時に、ある映画との出合いに心を動かされ、変化します。その後も、いろいろなことに出あいました。中嶋さんは、苦しみや葛藤に向き合い、人生を活き活きと楽しんでいます。
中嶋さんの話を聞いた、皆さんからの感想を紹介させていただきます。
・ぼくは人と違うところが多くて、それが嫌でした。でも「人と違うことを楽しむ」ということを聞いて、元気が出てきました。
・ダメだったことを考えるのではなく、良かったことを考えた方がいいと言われたことが心に残りました。ぼくは、何で自分だけ、自分はダメだと考えたけれど、涼子さんの話を聞いて、ぼくなら大丈夫と思っていきたいです。
・私は歩けるし、走れる。体も自由に動かせる。なのに「やれない」と思ったことは、あきらめてしまうことがあります。でも、車椅子になっても色々なことに挑戦する中嶋さんを見て、やりたいと思ったことをやらなくてどうすると思いました。
中嶋さんの話を聞いて、勇気を持ち、挑戦をしよう、環境のバリアフリーはすぐにできなくても、心のバリアフリーをしていきたいと願った人がたくさんいました。
君たちが持っている豊かな可能性と、もてる力を十分に開花させて、みずからの充実のため、自分以外のために大いに役立て、未来を切りひらいてください。
2、自分史の取り組み
誕生前から2歳頃までを保護者や家族から聞き書きする取り組みでした。皆さんが書かれたことからです。
・誕生の時、僕の頭が出るたびに、1分間に140回あった心拍が、なんと44回位まで下がって、病院の先生が慌てていたので、お母さんも不安になって、「このまま赤ちゃんに会えなかったらどうしよう」と、頭が真っ白になりました。先生が僕の頭を機械でつかんで引っ張り出して、やっと僕が生まれました。一気に引っ張り出さないと心臓が止まってしまう状況だったなんて、初めて知ったので、ちょっと怖くなりました。生まれる時、命の危険にさらされてたけれど、先生たちががんばって処置をしてくれて生まれたので、あの時つくしてくれた人に感謝したい。
・(誕生後)「お子さんが怪我をして病院の救急に向かっていますので、病院に来ていただけますか」。お母さんの胸に鋭い不安が走り、心臓の鼓動が急激に早まり、息が詰まりそうになったそうです。頭の中が真っ白になり、手の震えが止まらないまま病院に向かったことを鮮明に覚えているそうです。
・(自分史に取り組んで。まとめとして)母や父から話を聞いて、子育ては百%大変だけど、赤ちゃんは可愛いからやっていけるんだろうなと思いました。動画、写真、話を聞いて、私を凄く愛情込めて育ててくれてることを凄く感じました。母は18時間も陣痛を耐えて結局手術で生んでくれて、すごく苦労したんだと思いました。そして、何事も当たり前ではなく、私が家族が大好きで、親も家族が大好きで、一緒に温かく笑顔で元気に過ごしていることの喜びを感じました。
誕生後、命の危険があった、乗り越えてきたという人も複数いました。私には父や母がいて、その父や母にも、父や母がいてと、そのうちの誰かが欠けていなかったら、私はいません。命は奇跡でつながっていると表現した人がいました。
ぜひ、授かった命を大切にしてください。命を大切にするということは、自分を大切にすることであり、自分と繋がってる他を知り、大切にすることです。そして、幸せをひろげて、恒久の平和を、不断の努力で保持し、将来に向かって充実、発展させることです。そうした社会、世界にしていきましょう。
一人ひとりが、桐朋小で培った自主性を発揮し、これからも大いに学び、語ること、生きる希望と平和な未来を求め、自らの可能性を信じてのびゆくこと、他とつながり合って生きていくことを願います。
卒業おめでとうございます。
卒業生の保護者の皆様には、お子さんの桐朋小学校卒業を心からお祝い申し上げるとともに、あわせて、今日までの桐朋教育に対する温かいご理解とご協力に厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。