2026.3.4

「地球市民の時間」の取り組み [Ⅱ‐455]

 2026年度、初等部の全体研究として、「地球市民の時間」の取り組みをすすめてきました。3学期、高学年では、1月の半日研(授業や活動を通して、子どもたちの姿より、教職員が学び合う研究会)において、「難民」という社会課題を、読書、対話、五感を通した体験によって、子どもたちの日常と地続きのものとして捉え直そうとする「地球市民の時間」の実践を学びました。

 図書の時間に『故郷の味は海をこえて 「難民」として日本に生きる』(安田菜津紀著・写真、認定NPO法人難民支援協会協力、ポプラ社、2019年)を読み、章ごとに学び合い、当事者との出会いや「故郷の味」を味わう活動を重ね、子どもたちは問いを持ち続けてきました。その様子から、「想像力を働かせ、同じ人間としての尊厳や不条理に気づき、迷いながら考え続ける姿勢」が育まれていると捉えました。

    1月、半日研の様子から

 SDGsの目標16は、「平和と公平をすべての人に」です。それは、「暴力や不平等を減少させ、法の支配を強化し、透明性の高い制度を確立することを目指し」ます。「難民」問題もその一つです。紛争や戦争で故郷を追われた人々の支援が求められています。国際協力が重要で、平和と公正を実現するための努力を続けています。そうした現実と課題、取り組みの目標などを、私たちは知り、考え続けていくことが大切です。

 3月に入って、6年生の授業(図書・「地球市民の時間」・総合)を見学し学びました。この日は、『故郷の味は海をこえて』に出てくるタンスエさん、タンタンジャインさん(本の表紙写真)、認定NPO法人 難民支援協会の方が講師としていらしてくださいました。思い出のつまった故郷の料理を子どもたちに伝えてくださり、いっしょにつくり、味わいました。そして、これまでの「道のり」を話してくださいました。

 私も『故郷の味は海をこえて』を読みました。そして、タンスエさんやタンタンジャインさんが、ミャンマーから日本に来たこと、日本で生活していることなどを知り、「難民」の問題も考えてきました。この日、お料理を教えていただいて、つくり味わい、直接お話をさせていただいて、故郷の味、故郷での出来事、そして日本でのことを直接伺うことができて心がとてもふるえました。

 「お茶の葉サラダ」

 初めていただきました。お茶の葉っぱをお漬物にし、豆の揚げ物やエビなどとまぜた美味しいものでした。「お茶の葉サラダ」は、ミャンマーの代表的な料理の1つだそうです。私は、ご飯にいろいろなものをのせ、かけていただくことが好きですが、お茶の葉サラダの味、豆などの触感がよく、「お茶の葉サラダ」はたいへん美味しいものでした。

 「自由」

 自由ということについて、とても考えさせられました。タンスエさんが、ミャンマーを出ることになったのは、自由の国をつくりたいと願って声をあげ行動をしたものの、それを社会が許さず、命の危険があったこと。そして、ミャンマーに居ることができず、日本にやってきたこと。その後、タンタンジャインさんが日本にきたこと。その後、30年間、家族と会い、話すことができなかったことなどを語られたのでした。

 「「難民」認定」

 難民認定については、この本や別の本(たとえば、卒業生 平野雄吾さん著『ルポ入管ー絶望の外国人収容施設』ちくま新書。第三章「揺れる難民認定制度」など)から学んできました。タンスエさんらが「『難民』として安心して日本で暮らす」ことができるには、たいへんな「道のり」がありました。日本に来てから8年近くの歳月がたっていました。

 2024年、申請者数12,373人に対して、認定数は190人と少ない(認定率が低い)ことが課題となっています。世界や日本の現実と課題から、紛争や戦争で故郷を追われた人々の支援が求められています。国際協力が重要で、平和と公正を実現するための努力を続けていくことが大切です。SDGsの目標16「平和と公平をすべての人に」を実現していきたいです。

 タンスエさんのことばより。「自由であることがどれほど大切か、少しでも想像してほしいのです。生まれた場所を理由もなく離れたがる人はいません。誰も難民になることなんて望んでいません。そんな人びとがたとえどこに逃れたとしても人間らしくいられる場所を、そして制度を作ってほしいんです。」

 本を書かれた安田さんより。「取材を通して出会った方がたは、思い出がいっぱいつまった「故郷の味」を私にあたたかく分けてくれました。おいしい料理を囲んで、なにげない会話に笑い合うひとときは、誰にとってもかけがえのないものです。だからこそ私も違う国から逃れてきた「難民」の方がたと、自然と言葉や文化の違いをこえて、同じひとときをすごすことができました。どうかみなさんの身近でも、そんな輪を広げてみてください。」

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