2026.4.30

『未来の初等部を自分たちでつくる』 [Ⅱ‐460]

 生江義男元校園長・理事長の「(私たちは)日々新しい教育をつくり出す試みを重ねていく」、「『創造』『改革』『試行』であるべき」という精神を引き継いで、2026年度も教職員で力を合わせ、保育、教育活動をすすめています。

 

写真はすべて、先週のしぜんひろばでの様子

1、改修工事―『未来の初等部を自分たちでつくる』

 2025年度、女子部門は修繕計画を立て、各部ごとに「改修」を計画することになりました。初等部では、2026年早期に改修を実施し、子どもたちの生活、活動、学びを充実させていこうと考え、話し合い、学習を重ね、専門家とやりとりをしてきました。

 竹内昌義、前真之他著『断熱学校 学校から脱炭素社会』を職員で読み合い、日本の学校建築の課題、気候変動が進む中で、子どもたち、私たちの健康、命を守り、生活や学習を安定させるために「断熱」が必要で、省エネルギーを選択する大切さなどを学びました。調布「えねこや」の実践(https://enekoya.com/参照)では、「地球市民の時間」に出張授業を依頼し、子どもたちと地球にやさしい暮らしとは何かを考えました。グランドにやってきた「えねこや」で、再生エネルギーや断熱、省エネルギーを実感しました(上記HPの「2026出張授業 桐朋小学校」参照)。また、有志で長野にある大日向小中学校へ行き、イエナプランの実践と木の温もり、暖かみのある校舎(改修)を学んで、職員間で共有をしました。

 私たちは学び、改修の目的を話し合いました。そして、<『未来の初等部を自分たちでつくる』~気候変動から子どもたちを守る。木の温もりを五感で感じながら安らぐ。自然エネルギーを活かし学び続ける。>~を大切にすすめていくことにしました。

 この考えのもと、〇子どもたちの学習や生活環境を守る(=子どもたちの人権を守る)。物理的に校舎の断熱・機密性を高めていく。〇専門家の協力を仰ぎながら、同時に子どもたちが学ぶきっかけにもする。〇この地球危機に対してただ受動的に捉えるのではなく、脱炭素社会に向けてアクションを起こす。〇木のぬくもりを感じる園舎、校舎をつくる。ことを計画しました。

 今回の改修場所は、幼稚園年少~年長の3部屋、3階高学年4教室、図書室を中心とします。今後、他の場所も改修していくことを計画します。

 今年度、「学校断熱ワークショップ」の実践者で、『断熱学校』著者の竹内さん(2025グッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]参照)に指導を願い、職員全員で「断熱」改修を試る予定です。そして、子どもたちと漆喰の壁をぬるなど取り組みを行う予定です。幼稚園、図書室は、床下断熱、木の床にします。また廊下壁の木質化も行う予定で、使用する木は、多摩産材です。楽しみな取り組みで、改修後どんな変化があるかワクワクします。

   

2、園児、児童は「人として尊ばれる」「よい環境の中で育てられる」(児童憲章より) 

 ここ数年の気温上昇で、最上階の廊下、教室は40度以上になるなど、子どもたち、私たちの健康に大きな影響があります。最上階の教室では、日射で高温になった屋上の熱を受けます。広く大きな窓からの陽で温度が上昇します。教室のエアコン温度を下げ、サーキュレーターをまわす、遮熱シートを貼るなどの取り組みをしてきましたが、さらに取り組まなくてはなりません。

 このような状況は、他の園、学校でも見られるのではないでしょうか。日本の学校は、老朽校舎も多く、無(省)断熱で、外壁からも、建付けが悪く断熱性能の低いアルミサッシのシングルガラスの窓からも、外の熱が侵入します。夏の困難さだけでなく、冬の寒さも大変厳しく、授業に集中できないことも見られます。暑さや寒さに左右されず、落ち着いた場で活動することが必要です。

 私たちは大きな願いとして、全国の子どもたちが夏涼しく冬暖かい教室で過ごせるように、社会全体が協力して園や学校の「断熱」改修などに取り組むことをすすめたいと考えます。数年前からは、気候変動による園児の健康を心配し、各園の環境改善、対策について調布市幼稚園協会で話し合い、市への要望書に組み入れて実現を目指してきました。

 今回の改修において、たとえば「断熱」の前と後の部屋の温度を記録し、子どもの姿や声を捉えていき、どこがどのようにかわったのか、さらに改善すべき点は何かなどをHPや園、学校説明会などで発信します。私たちの取り組みが、全国の子どもたちの「人として尊ばれる」「よい環境の中で育てられる」ことにつながることを願っています。

3、気候変動は、人間活動によるもの。かえていき、未来をつくることを

 近年、猛暑や豪雨が増えました。三重大の立花教授は「夏は猛暑や豪雨、竜巻も発生する台風、冬はドカ雪といった気象災害が増えていることが気候災害の特徴」と言います。世界では、大規模な山火事、洪水、海面上昇、旱魃、熱波なども増え、農業や畜産などの被害が増加し、暮らし、生存への危機がひろがっています。この原因は、「私たち人類が大量生産・消費というエネルギー多消費型の生活を続けてきたために、大気の二酸化炭素濃度の上昇による温暖化が起き、異常気象が続いている」(IPCC「気候変動に関する政府間パネル」)ことと捉え、私自身も責任があります。

 私たち職員で学んだ『地球の限界 温暖化と地球の危機を解決する方法』(オーウェン・ガフニ―/ヨハン・ロックストローム著)によれば、これまで地球の平衡状態を保ち、生物学、物理学的に地球には驚くべき回復力があってそれを大切にしてきましたが、地球の安定性を保つプロセスは限界を迎え、「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」「転換点」を超えると地球システムを後戻りできなくなります。

 東京大の斎藤幸平准教授は、著書『人新世の「黙示録」』で、「すでに破局は起きている」と述べ、「社会システムの質的転換こそが、気候崩壊の時代に唯一残された「ラディカルな希望」」として、「民主的計画の種」を語っています。私は「気候システムが制御不能なレベルまで不安定化し、人類や生態系の存続が危ぶまれる状態」を避けたいと考え、未来への責任を果たすべく行動をしたいと思います。

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