夢を叶える [Ⅱ‐463]
卒業生 内藤 智文さん、「夢を叶える」
2021年『桐朋教育』(桐朋教育研究所発行)でインタビューをさせていただいた時の記事から。(詳しくは、コラム[Ⅱ‐447])
「社会人になって大きかったことは、練習の計画や方法などをすべて自分で立てなければならないということです。また、自分だけでなく、多くの人の期待を背負って取り組んだことも大きかったです。フルタイムで仕事を持ち、時間の制約の中で競技を続ける。何を大切にするか、どうすれば無駄を省けるか、真剣に考えました。それが自分を高めることにつながったのでしょう」
自身に向き合い、まわりの願いを受けとり、成長し続ける姿に、私はとても感動しました。インタビューの最後には、
「オリンピックだけでなく、もう一つ大きな夢があります。それは世界で一番大きなジャンプ台で飛ぶことです。ワールドカップでは250メートルのジャンプ台もあり、そこで飛ぶことが小学生の時からの夢です」という大きな夢を語ってくれました。
2025年度、内藤さんはワールドカップで優勝するなど活躍されました。「世界で一番大きなジャンプ台で飛ぶ」「ワールドカップでは250メートルのジャンプ台もあり、そこで飛ぶことが小学生の時からの夢」を叶えたのです。
★2026・3・16ワールドカップオスロ大会2(ノルウェー)優勝
★2026・1・25フライング世界選手権(ドイツ)チーム戦(小林陵侑、内藤智文、中村直幹、二階堂蓮)金メダル など。

4月、内藤さんに話を聞かせていただく機会がありました。
―「世界で一番大きなジャンプ台で飛ぶ夢」を達成。おめでとうございます
小学校時代からの夢を実現しました。世界最大のジャンプ台では、助走路でかかる力やスピードなどが違います。ワールドカップでは大体80~90㎞くらいのスビートが出ますが、この台では102、103㎞くらいのスピードです。正直ちょっと怖かったですね。でも、恐怖心を持っているくらいの方が独特の緊張感があり、いいジャンプができていました。
ラージヒルとかノーマルヒルだと踏み切った瞬間に、そのジャンプが成功か失敗か分かるのですが、この台だと飛んでいて低いところから浮かんでいくような、100mを越してから浮いていくような時間がありました。着地しようとしたら、まだ全然飛んでいくみたいな感じでした。
*2026・3・16ワールドカップクルム大会(オーストリア)で2回目、内藤さんが242m50㎝を跳んだ時の映像ttps://www.youtube.com/watch?v=xckEolCiwZc(この大会は4位の成績)をご覧ください。
―ワールドカップの優勝、おめでとうございます
本来2本飛んで得点が出て、合計で優勝が決まります。この試合、風が強くて、2本目に向けて準備をし、始まる直前で中止となり、優勝が決まりました。
ワールドカップ優勝というものは本当に重たいもので、獲得できないものっていうのを重々知っていました。この瞬間、もう訪れない、ほぼ訪れないだろうと、そういう気持ちでした。
―終わり方を考えて、目標を大切に持ち、積み重ねてきました
ワールドカップに出ようと思ったら、日本のトップにいなきゃいけない。でも中学生の時には中学生で40位。中学生くらいの段階で、敵わないなと思いました。
それでも、スキージャンプが好きで、続けたい、その気持ちを持ち続けて取り組んできました。それぞれの時期に、最大限尽くして、しっかり準備をしていました。
スキージャンプという競技の特性上、ワールドカップに届かないと続けるのが難しいです。だから、中学生の頃にはもう終わり方を考えていました。たとえば大学生の時ならば、ユニバーシアードの世界大会に出て終わりたい。大学を卒業する時には、国体選手を探していることを知り、国体が4年後にあるので、そこで終わりにしようと考えました。
一つひとつを目標にして、具体的にしなければいけないことを学び、取り組んできました。その先に、ワールドカップ出場、そして優勝がありました。
内藤さんは、自身をじっくり育て、人間としての無限の可能性を豊かに開花させ(桐朋学園の願い)ていると思い、たいへん励まされます。桐朋学園がめざす「自主的、創造的な人間の育成」が、少しでも内藤さんの力になっているとすれば嬉しく思います。