2026.7.25

断熱改修[Ⅱ-467]

初等部の改修工事は、関係者、職人さんらのお力で進んでいます

 写真は、高学年校舎1階の様子です。廊下壁は、多摩産材のはり付け作業をすすめていただいています。木の香りがして、肌触りがよく、木目や木の表情などもいろいろでたのしみです。図書室、5、6年教室は、中にあったものをすべて運び出し、木の温もり、断熱改修を行う準備が整いました。幼稚園では、3部屋の天井を取り外し、新しい天井板がつけられます。作業をすすめてくださっている皆さん、ありがとうございます。

左写真 高学年校舎1階の壁。右写真 幼稚園 たんぽぽの部屋

 温度計を見ると、早い時間から38度台になっています。高学年校舎と低学年校舎の渡り廊下は、日差しが強く、40度以上あるのではないかと思います。酷暑のなかで作業をすすめていただいている皆さんには、休憩もしっかりとっていただくようお願いしています。

 24日(金)新聞報道では、「浜松で41.4度」「東海地方では3日連続で酷暑日を記録」「40度以上を6市7地点で記録」(朝日新聞)、「最高気温40度以上の「酷暑日」が相次ぐなど各地で猛烈な暑さが続き、熱中症で搬送されて亡くなる人が相次いでいる」(東京新聞)などと書かれています。また「欧州熱波 死者数1.9万人増」「フランス南西部のピソスでは6月23日に最高気温が44.3度を記録」「山火事の被害も拡大」「猛暑の影響で、約1万3500校が休校や授業時間の短縮を余儀なくされた」(朝日新聞)などの記事もありました。

 酷暑日が増え、「気象庁は今後も8月にかけて厳しい暑さが続くと予想」「命の危機と捉え対策を」(東京新聞)と言われています。命と健康を守る取り組みをしていきましょう。

図書室の様子

私たちは、「断熱」を選びました ―『断熱学校』著者の竹内昌義さんを講師に学ぶ

 2019年度より園舎・校舎のことを、子どもたちの健康、生活や学習と気候変動危機を結びつけて、教職員で話し合ってきました。たくさんの本や専門家に学んできました。

 7月23日は、今回の改修工事でお世話になっているエネルギーまちづくり社の竹内昌義さん(東北芸術工科大学教授)を講師に学習会を行いました。以前、竹内さんらがお書きになった『断熱学校 学校から脱炭素社会』(鹿島出版会)を職員で学び、断熱の必要性を話し合いました。 

 著書には、「いまの学校は熱くて寒い。気候変動が進み、いままでは大丈夫だったこどもたちの教育環境が大きく変化している。この問題は重要であるとともに緊急性を要している」3ページ

いま学校は「暑い」。ある学校では、冷房がついている教室内の温度が35.1℃に達したこともあった。温暖化の影響で気温が上昇し、夏の暑さは危険度を増しており、学校にはエアコンは設置されているはずである。でも、涼しくなってない」13ページ

われわれを取り巻く環境が大きく変化をしているにもかかわらず、50年前に建てられた学校は、冷暖房設備こそ設置されてきてはいるが、建物の性能としては何も変わっていない。これでは暑さ寒さは増す一方」28ー29ページ

天井のコンクリートは蓄熱容量が大きい。つまり、当たった太陽の熱を吸収して保持しやすく、昼間暖められたコンクリートは夜にも熱を放出している。天井は室内に影響をとても大きく及ぼしている」、「寒さに対しても、冬も夏と同様に天井が冷やされるとコンクリートがその冷たさを保持しているので、ことから冷気が下りてくる」、「コンクリートでつくられているのは天井だけでなく、壁、床も同様」68ページ

必要なのは建物と外部の間の熱を断つ「断熱」」「夏の暑さや冬の寒さを建物に取り込まない、その温熱・冷熱を断つこと」29ページ

 本に書かれた内容、竹内さんのお話と、私たちの園・学校の状況と課題で重なることが多くあり、「断熱」の必要性、大切さを学んでいます。 

幼稚園ゆりの部屋

「断熱」をして「省エネルギー」へ。地球の温度をあげないように

 温暖化、沸騰化による影響は、海水温の上昇、台風の巨大化、線状降水帯の発生、豪雨災害の増加、山火事の増加などに現れています。地球の温度を上げない取り組みが必要です。政府は、「2050年カーボンニュートラル」(温室効果ガスの実質的な排出量をゼロとするもの)を目指すと表明しています。

 2015年、COP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)で採択された「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をする」という世界共通の長期目標、その後、COP26で「1.5℃」を目標としました。しかし、2024年には1.5℃を超え、今後さらに上昇する可能性があります。

 温度の上昇は、政府の表明した「温室効果ガス」によるもので、主なものが二酸化炭素です。ですから、二酸化炭素を抑制することが必要です。私たち園・学校がめざすものとして、「断熱」し、省エネルギーをすすめて、二酸化炭素排出を抑制したいと考えました。

 竹内さんのご著書には、断熱の効果として、「夏季には日射を適切に防いだり、適度な通風が保たれることで冷暖房を必要とする時期が短くなることや、冷暖房を切っても室温が長く保たれること、必要な換気を行うために窓を開けた後でも、冷暖房がすぐによく効くこと。結果として、冷暖房の容量が少なくて済み、電気代や灯油第を小さくできることなどが数字となって現れる。中略 二酸化炭素の排出量が減り、気候変動対策になることが最大の効果」46ページ と書かれています。

 また、「ヨーロッパでの思考プロセス」の紹介があり、学びました。「「➀温暖化が進んだら大変だから、自分たちができることをする(社会のコンセンサス)」「➁建物が使用するエネルギーは消費エネルギー全体の3分の1である(情報の共有)」「➂建築物の二酸化炭素排出が減る政策を立て、実行する(政策化)」「④いろいろな方法に試行錯誤する。小さい規模で、横断的に、実行する(実行力)」「➄うまくいったところの真似をして、さらにうまくいくようにする(連鎖)」-結果的に脱炭素が進む」191ー192ページ

図書室前の壁 木質化と多摩産材 

「脱炭素」の意味、捉え

 現在、「脱炭素社会」「カーボン・ゼロ」などのことばが使われています。竹内さんの本では「すべてのエネルギーが化石燃料ではなく、再生可能エネルギーで賄われる社会(おもに電力供給において)」189ページと、「脱炭素社会」について説明しています。

 「脱炭素」というと、炭素をなくすという意味、イメージにならないかと考えます。地球では、二酸化炭素は、有機物の燃焼や動物の呼吸、火山の爆発など自然界で排出されており、植物や海中プランクトンなどが持つ葉緑体により、再び有機物に戻され、自然界で役だちます。「循環」することを大事にしてきました。

 ところが、産業革命以降、人間が二酸化炭素を過剰に出し過ぎて循環できず、地球の温度が上がっています。人間の生産活動のひろがり、化石燃料の大量活用、土地の開発のための森林伐採などの過剰を見直すことが必要だと考えます。ですから、「脱炭素」というよりは、二酸化炭素を抑制し、循環ができる社会、世界を目指していこうと、少し長い文にして考えます。

 生き物は、炭素化合物で出来ていることからもそう考えています。

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