2026.9.1

夏季改修工事のご報告と今後の取り組み [Ⅱ‐470]

 今夏の改修工事を予定通り行うことができました。改修にかかわり、さまざまなご協力をありがとうございました。

1、改修工事の目的

●テーマ、コンセプト 『未来の桐朋幼稚園・小学校を自分たちでつくる』 ~気候変動から子どもたちを守る。/木の温もりを五感で感じながら安らぐ。/自然エネルギーを活かし学び続ける。~

●背景と大切にしたこと 地球温暖化が加速し、酷暑など気候変動から、子どもたちの生活、学習環境を守る(=子どもたちの人権を守る)ために、園舎、校舎を断熱し、機密性を高める。断熱し、気密性を高めることで、省エネルギーをすすめ、温室効果ガス(主に二酸化炭素)を削減し、地球を守る取り組み*をする。

 木質化をすすめ、木による子どもたちへのプラスの影響(心と情緒の安定など)を大切にする。熱伝導率の低い木を使用することは、断熱、省エネルギーにおいても有効である。

*地球温暖化対策推進法(日本)では、「2030 年までに温室効果ガス排出を 43%削減(CO2は48%削減)」し、2050 年までにカーボンニュートラル達成を目指す。

●今後の取り組み 

□子どもたちと改修にかかわる取り組みをすすめる。

□地球温暖化や省エネルギーの重要性など、子どもたちの実感を伴った学びをすすめる。自然エネルギーを活かし、学び続ける。

□木(質)による子どもたちへのプラスの影響を捉える。

□断熱、機密性を高めたことの効果をはかり、検証する。

□断熱、木質改修工事について、外部へ発信する。

□2027年度、第2期断熱、木質改修工事を実施する。

 

 高学年玄関付近、 図書室木製扉、廊下木質化 

2、2026年度工事内容

 工事は、高学年3階5・6年教室、図書室、高学年校舎1階廊下、幼稚園3部屋で実施。主な内容は、

●高学年3階教室 …木製内窓断熱、窓面壁断熱、窓面下多摩産材木板横張、天井断熱

●図書室 …床断熱、木製内窓断熱、床多摩産材木板張、天井断熱、卵漆喰塗装、木質ドア

●高学年1階廊下 …多摩産材木板横張

●幼稚園3部屋 …床断熱、床多摩産材木板張、木製内窓断熱、窓面壁断熱、木質ドア

 高学年3階5・6年教室

3、断熱、木質改修をしたことの効果の検証

(1)断熱、気密性

 8月中旬、木製窓設置(二重窓)以外の断熱、木質工事を終えた幼稚園保育室は、エアコンがよく効いていました。それは工事によって、断熱、気密性が高まったことによるものと捉えました。子どもたちの様子やエネルギー消費量の変化などから効果をみていきます。

 同様の工事をされた他校では、「断熱した教室は外気温の影響を受けにくくエアコンを稼働してからの効きも早い」、「内窓の効果が確実にあり、消費エネルギーを減らすことができる」、「屋根、天井の断熱は、冬季の暖房負荷を大幅に削減するのに非常に有効であり、夏季の冷房負荷の削減効果は限定的だが、室内の温度上昇を緩やかにし、快適性を高める効果は大きい」などの検証*がされています。  *参考図書『断熱学校 学校から脱炭素社会』竹内昌義他著

 (2)木質化

 私たちは、他園、他校を見学し、木質化の良さを実感し、心理面、身体面、衛生面、学習・生育面などの効果を学んできました。「建物の内装木質化のすすめ-科学的データが示す内装木質化の効果-」(公益財団法人 日本住宅・木材技術センター発行)によれば、心理面では、リラックス・癒し、心地よさ・落ち着き感を高める、愛着心を高める効果など、身体面では、免疫力アップ、感覚を刺激する、疲労感を緩和する、安全性を高めるなど、学習・生育面の効果では、集中を助ける、活動力を高めるなどがあげられています。

 9月より、園児、児童の様子や声から、どのような良さと課題が見られるのかを捉えていきます。多摩産の杉は、とてもやわらかく、さわると気持ちがよい、木の香りもします。素足での心地良さを感じる子が増えると思います。冬季の冷たさ、寒さに対して、断熱した床での生活、学びはどのような変化があるのでしょう。たのしみです。

(3)断熱と木質化をすすめること

 熱の出入りがもっとも多いのが窓です。これまでアルミサッシの窓を使用してきましたが、熱伝導率は、アルミサッシ 236(単位はすべて W/m・K)、木材 0.15、樹脂 0.17、ガラス 0.8、鉄83です。アルミサッシは軽量で加工しやすく安価という利点がありますが、熱を伝えやすく、熱の出入りが激しく、冷暖房ロスの大きな要因となります。今回の改修では、木製内窓断熱、窓面壁断熱(断熱材の熱伝導率は0.024 W/m・K)にしました。

 また、天井のコンクリートは蓄熱容量が大きいのです。太陽熱を吸収、保持しやすく、昼間暖められたコンクリートは、夜にも熱を放出します。寒さにかんしては、冷たさを保持します。そして冷気が下りてきます。壁や床も同様です。ですから、断熱が大切になります。

 図書室

4、2027年度、第2期改修工事に向けて

 私たちは、2027年度、低学年1・2年教室を中心に、第2期改修工事を行う予定です。

 第1期工事では、私たちが願うすべての改修工事ができませんでした。それは、建築資材、建築関係費用の高騰、戦争によるホルムズ海峡閉鎖で石油由来の建材の不安定さと高騰などが要因としてあります。

 462人の職人さん(のべ人数)に工事をすすめていただきました。ありがとうございました。

 2026年7月より、第2期工事に向けて、寄付を募る活動をはじめました。2026年7月~2027年度末の期間、初等部にいただいたご寄付は、すべて第2期工事に使用させていただきますので、「『未来の桐朋幼稚園・小学校を自分たちでつくる』~気候変動から子どもたちを守る。/木の温もりを五感で感じながら安らぐ。/自然エネルギーを活かし学び続ける。~」へのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

「夏季改修工事」と並行して -学び、考え、いま行動を

○子どもたちと学びたい文献。『地球温暖化は解決できるのか パリ協定から未来へ!』小西雅子著、『いま、この惑星で起きていること 気象予報士の眼に映る世界』森さやか著(どちらも岩波ジュニア新書)。地球温暖化について、人間活動によって大気中に温室効果ガス(中心は二酸化炭素)が増えすぎていること、2024年度に1.5℃を超えてしまった現実。このまま4度上昇すると取返しのつかない影響の予想。小西さんの本20ページ~38ページより。

 「1℃の上昇でも大雨、洪水、熱波などの異常気象のリスクが高くなり」/「2℃の上昇では、北極海の氷やサンゴ礁など気温変化に弱い生態系システムは重大な危機」/「3℃以上では、生物多様性や世界経済全体へ広い範囲にわたって損失」/「4℃以上になると、穀物の生産量の落ち込みや魚の漁獲量の変化などがあわさって、世界的に食糧の安全保障に多大な影響」

 第4章では、私たちに何ができるのか? 1節 温暖化対策を進めるために必要なこと 2節 私たちには何ができるのか、考えてみよう、があり、6年生と読み合って考え、話し合いたい。

○8月17日朝日新聞には、「「2050年の天気予報」12年ぶり改定(最新の科学的知見に基づきアップデートした)」「酷暑で「外出自粛令」・瞬間風速100m「スーパー台風」」という記事がありました。「現在のペースで温室効果ガスである二酸化炭素を出し続けた場合」に起こりうること、「2050年夏、40度以上の酷暑日がのべ157地点に上り、午前11時から午後3時は「外出自粛令」が出される。」「(世界で高温や干ばつにより、飼料や食用油の原料が不足し輸入価格が高騰。)食料不足でカツ丼も気軽に食べられない」などでした。こうした未来に向かうことを食い止めなくては。早急な対策が必要だと思います。

○『異常気象の未来予測』立花義裕氏。表紙には、「豪雨、豪雪、山火事…自然災害の頻発」「寒暖差の激しい冬の到来」「梅雨入り前から猛暑」「食料の価格高騰」「春と秋がなくなり二季になる」「最高気温が40度を超える世界でどう生きるか」と書かれています。学んだのは、「異常気象のなぜ?」を科学的に解き明かしていくところ。

○本屋さんに行くと平積みになっている斎藤幸平氏『人新世の「黙示録」』(集英社)を読むと、事象、結果とデータなどを示し、「温暖化が進行し、従来の気候システムが制御不能なレベルまで不安定化し、人類や生態系の存続が危ぶまれる深刻な状態」=「気候崩壊」として捉えられていました。

「気候崩壊」が深刻化すると、「文明の物質的基盤が崩壊」、「自然災害や飢饉が一層、頻発するようになり、経済停滞や欠乏、奪い合いが半永久的に続いていく」、「民主主義や人権、平等といった近代の根本的価値観が否定され、自分だけが助かればよいという選民思想が広がっていく」などの危機が指摘されています。……そして、「希望」を提案されていました。

○環境省は、 2026年2月、第3次気候変動影響評価報告書(5年毎に改定される気候変動影響の最新の科学的知見)を公表。日本をとりまく気候の変化として、「日本では、すでに過去100年間当たり1.4℃のペースで気温上昇をしており、世界平均より高いペースで上昇をしています。真夏日や猛暑日などが統計上増加(逆に冬日は減少)しているだけでなく、気温以外の変化として、年最大日降水量(1年で最も雨の降った日の降水量)や極端に強い雨の頻度なども増加しています」などと書かれています。

○9月2日、国連環境計画(UNEP)の報告書。「地球温暖化で産業革命前からの気温上昇が数年以内に世界平均で1.5度を超え、災害や健康被害などのリスクが危機的な水準まで高まると警告」する。そして「極端な気象現象が増え、小さな島が水没する恐れが高まる。人の健康や食料生産、インフラ、経済にも深刻な影響がある」などとある。「悪影響を減らすには1.5度超の期間を最短にすることが重要」。(9月3日、東京新聞2面「世界気温数年で危機水準」より)

一覧に戻る