2019.2.13

藤井輝明さんと小柳敏志先生への感謝 [Ⅱ-184]

  先日、藤井輝明さんが来校してくださり、6年生の授業に向けての打ち合わせをしました。私は、藤井さんの著作を題材に、授業を試みたことが何度もあり、いつか藤井さんに来ていただきたいと願ってきました。

 藤井さんは、桐朋高校30期卒業生です。2歳の時に「血管腫」という病気になり、顔が大きく腫れあがってしまいました。外に出ると、行きかう人たちの突き刺すような視線や「バケモノ」などという心ない悪口も浴び続けたそうです。転校先の桐朋学園小学校(国立)では温かく迎えられ、桐朋中学高校で学び、自信をつけていったそうです。現在まで、桐朋の仲間と繋がっている喜びを話してくださいました。

 1月末に亡くなられた前理事長の小柳敏志先生が、桐朋教育と藤井さんのことを次のように話されたことがありました。

「明日を生きる若者に関わり、教育を行っている者として、まず何よりも、個の尊重すなわち様々な個性と特徴をもったそれぞれが一人ひとりの人間として尊重され、大切にされること。それが何より大事であるという考えを一人ひとりの児童、生徒、学生にしっかり持ってもらいたい。

 桐朋の卒業生で医学博士の藤井輝明さんという方がいる。何回も学校に来ていただいているが、その際、藤井さんは、子どもたちに次のような内容の話をされた。
 自分と違う人を違うと言って嫌ったり遠ざけたりしない。ハンディキャップを含めてお互いの個性を認め合う。これこそ、他者、個性の尊重であり、21世紀の社会がめざすべき平和な社会の姿であろう。
 目の前に苦しんだり、つらい思いをしている人がいる時に、そのことを自分に関係ないと思わずに、自分に何かできないかと問い、できることをする。自分もいつか何かのことで苦しんだりする。その時にこの経験がプラスになってかえってくる。一人で悩まないで仲間がいる、一人じゃないんだという気持ちが生まれる。どんなことでもたった一人の行動からはじまる。そのことが人の為になることであれば、大きな方向性が間違っていないのであれば、勇気を出して一歩を踏み出そう。やがて多くの人の共感を得て広がっていくことだろう。

 去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)
 ハンディキャップを含めお互いの個性を認め、尊重され、目の前に苦しんだり、つらい人がいる時は、自分に何ができるかを問い、できることをする。そして他の人の協力を働きかけていく―― こうした積極的な個の尊重こそが、桐朋学園の教育にあたっては、去年今年貫く棒の如きものとして存在するのではないか。いやそうであらねばならないと思う。」

 小柳先生からは、小学校改革、幼稚園3年保育の実現など、たくさんの励ましをいただきました。また、社会情勢と教育の課題、そして桐朋教育で大切にすることなどを話してくださり、学ばせていただきました。小柳先生がお亡くなりになり、たいへん寂しい。先生が大切にされたことを実践の課題として引き継ぎ、桐朋学園の教育を少しでも発展させたいと思う。

 写真は、20分休みの子どもたち、新しくなるしぜんひろばの様子、美術展の様子。

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