2020.5.13

一日一日を大切に[Ⅱ-229]

 (5月、初等部の皆様へお配りした通信からです。)休園、休校期間中、子どもたち、保護者の皆様にはいろいろとご理解、ご協力をいただき、ありがとうございました。休園、休校期間を延長することで、子どもたち、保護者の皆様にご負担をおかけしますが、何卒ご理解をください。


1、 5 月 31 日(日)まで、休園、休校期間を延長します
 初等部は、5 月末日までを休園、休校期間とします。事態が好転すれば、登園、登校日を設定する可能性もあります。そう願っています。

 多くの子どもたちが、通園、通学に公共交通機関を利用しており、感染リスクが高いと考えられます。子どもたちの命、周りの人たちの命を
守ること、逼迫している医療危機を食い止めるなど社会を守ることを引き続き行いたいと考えます。

 休園、休校期間中、子どもたちと保護者の皆様に、「休校期間中の過ごし方やこんなことに取り組むとたのしい」、「ゆったりすることや何もしないことの子どもの権利をも含めて、子どもたちにこの時間を大切に過ごしてほしい」と呼びかけました。幼稚園では「家でのいつもの生活に一味加えて」「家の中を一工夫」などの過ごし方を電話で伺い、小学校では子どもたちと担任のメール、通信を通しての子ども同士のやりとりの中で、それぞれの豊かな生活や学びに、私たちも学ばせてもらいました。一方で、休園、休校期間が長くなり、今後への心配、生活リズムの乱れ、意欲的に学びを継続するのが難しい状態なども見られました。
 5 月も休園、休校期間を延長しますが、これまでと同じように、個別につながり、子どもたち、保護者の皆様の気持ちを大切に受けとめること、子どもたちが夢中になるような創造的な時間(探究的な学び)を過ごせるようにすることを大切にしていきます。
 幼稚園では、お子さん、保護者の皆様へ、子どもたちが楽しめるものを同封の「桐の葉」やCD などでお伝えします。小学校では、これまでの取り組んできた「創造的な時間を楽しむ学び(探究的な学び)」 に加え、新年度の学習内容から興味関心をもち、夢中になれるような探究的な学習へ取り組めるような課題をお伝えします。これまで同様、子どもたち全員が取り組む課題と、それぞれが選択できるチャレンジ課題があります。
 さらに今後は、長期化する事態に備えて、子どもたちが本質的に学び続けられること、心が健康で豊かに過ごせることを考えたときに、子どもたち、保護者の皆様と園、学校、そして何より子どもたち同士がつながり、学びを個々のものからみんなのものにしていくプロセスが欠かせないと思っています。

 そこで、これまでのクラスメールでの共有に加え、Zoom によるオンライン・ホーム・ルーム(OHR)の活動を始めます。子どもと教師だけでなく、子どもたち同士の認め合い、励まし、深め合い、支え合いの関係を作り、安心とオフラインでの学びへの意欲を育む場と考えます。詳細は、今後、学年より(お便りなど)お伝えします。
 初等部では、活動や授業動画を一方的に流して子どもが受け身となってしまう様なオンラインの活動、授業や、繰り返しドリルのような学習だけに取り組む課題も好ましいものとは考えてはいません。これまで大切にしてきた活動、学び(一人ひとりの興味関心から夢中になる学びと、それらを共有し合うこと)を大切にしながらも、できることを行います。
 小学校では、子どもと教師、子ども同士のつながりによる、学びと生活づくりのために、オンラインとオフラインの学びが相互に作用することが必要だと考えて取り組みます。デジタルデバイスの使用と目の健康に関しては、長時間の使用による「近視進行」「ドライアイ」「両眼視機能の問題」などの心配があり、30 分見たら 5~10 分は屋外の遠くのものを見るなどして気をつけて取り組むことを呼びかけます。

休園、休校期間中の困難さも聴いてきました。いっしょに考えていきたいです
 いつものように外に出ることや友だちに会うことの難しさ、生活リズムの乱れ、体力面の不安などがあることを聴いています。自主性が大事だと考えても、示された課題や他の何にしても自分からすすんでやらない姿を前に、無理矢理やらせることはやめた方が良いのか、一緒に楽しくなる声かけをしながらでもやった方が良いのか、自分でやりたくなるまで見守る(見守るのは本当に難しい)のか迷う、なども聴きます。身につけなくてはならない知識にこだわらなくても良いのか。すすんで学ぼうとしない子どもの姿に苛立つ場合もあるなども聴きました。そうした様子や保護者の皆様の気持ちなども、ぜひ個人面談で聴かせてください。小学校で実施したアンケートでの皆様からの返信もていねいに読みます。個々の子どもに寄り添っていっしょに考えていきたいと、私たちは思います。

園、学校として大切に考えていること
 いつもと違う日常で、私たちも何が正しいのか迷い、悩みます。そうしたときこそ、私たちが大切にしたいことは何かを問い続けています。
皆様の声を聞きながら、私たちも学びながら、長期化する休園、休校に対応して、段階的に生活や学びの中身や方法を深めていきたいと考えています。今、園、学校として大切に考えているのは、次のようなことです。

●命と健康を守る
 感染が拡大し、命が脅かされ、失われている現在、またいろいろな意味で健康が損なわれている現在こそ、このことを大切にします。
 学習や先々のことに対する様々な不安があると思います。けれど、今一番大切なのは、子どもたちの心と体の健康を守ることだと思います。子どもたちが安心して心がおだやかに過ごせるようにしていきましょう。私たちは長期的な視野で、フォローをしていきます。

●学び(遊び)とは、自分の頭で考えて何をするか決めて行動すること
 学びには、安心感や信頼感の土台があり、自分でやろうとして身につきます。私たちは、子どもたちが自分のペースで興味関心をひろげ、深めること。世界に夢中になることを大切にしています。これは、園、学校がある時も大切にしていることですが、今は特にその力が問われています。難しいことですが、ご家庭の協力のもと 4 月には多くの子どもたちがこの力を発揮し、豊かな学びがたくさん生まれました。私たちも学びの種を発信していきます。今がチャンスととらえ、これからも一緒に取り組んでいきましょう。

●友だちや先生といっしょに生活し、学んでいく
 一方で、学びとは、仲間とともに深めていくものです。いっしょに学ぶことで好奇心をよびさまします。面白い豊かな文化と出あえます。いっしょに学ぶさまざまな文化は、人と人とを結びつけるために学びます。学ぶほど人の心を深く、より深く想像力が働くようになります。園、学校の存在意義でもあるこのことをどう創っていくか、今私たちが問われていることだと思います。小学校では、アナログ、デジタル、様々な方法でともに学ぶ場を保障していくことが、今の課題だととらえています。

●子どもどうしが認め合い、支え合い、励まし合う関係を育てる
 教師からの発信やサポートはもちろんですが、子ども同士の関係をつくることで、安心感や信頼感の土台ができ、生活や学びの意欲につながると考えます。この点にも、力を注ぎます。

 2 月末から休園、休校が続き、子どもと出あい、関わり、触れあうことのできない日々を過ごしています。そうした日々の中、これまで私たちは子どもの声や姿に励まされたり、考え悩んだりしながら、子どもたちとのかけがえのない日々を過ごしているのだと、その大切さを感じています。

(2以降は略します)

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