手に触れて、感動に変わること
前回の桐朋小だよりの続きです。⇨前回の記事はこちらから⇦
蚕を育てる中で、さまざまな場面と出会ってきました。
蚕が止まって動かない時、もしかしたら体調が悪いのではないかと心配しましたが
説明文を読んで、脱皮の準備をしている「眠」の状態であることがわかってみんなで一安心。
必要で大切な時間だ、とやさしく見守ることにしました。
蚕が桑の葉っぱをたべる時、小さいころは葉っぱの裏側を舐めるようにして大きくなることを知り、
裏側を向けて桑の葉をおくことにしました。
そして、だんだんと大きくなっていくにつれて、桑の葉を食べる音がパリパリペチペチと「雨のように」聞こえることも体感しました。
蚕がフンをするところ。
「桑だけしかたべていないから、コロコロでかわいいね」なんて言いながら
お部屋のお掃除もやりたい子がたくさん。
フンをしている場面をみて、ホイップクリームをしぼる時みたいにでてきたよ!とキラキラ目を輝かせて報告してくれました。
お部屋を移動する時に、手に蚕がくっついた。まゆを作る時意外にも、足場をつくろうとして
糸をだしているのです。「蚕スパイダーマン」と命名した子にはあっぱれ。
足がタコの吸盤みたいな、爪みたいな、さまざまなものに例える一人一人の気づきにも、毎日感動がありました。
脱皮の瞬間に立ち会えた時は、授業を中断して、
大きな画面に蚕の脱皮を映し出し、クラス全員で見守り、自然と「がんばれ!がんばれ!」と応援の声が生まれていきました。
色が濃くなった服を脱ぐようにして、体を左右に揺らしながら(震えているように見えながら)、最後にはお面を脱ぐように頭がカポっと脱げた瞬間、大きな拍手が沸き起こりました。
そんなふうに、蚕が育つたびに
毎日毎日感動を共有し、悩み、大切に育ててきました。
今では虫嫌いだった子も、「かわい〜」となでなで。
おっと人間の手は蚕にとっては熱すぎるのでした。
実際に蚕とともに生きること、学びをすすめること、本物に触れた学びはたくさんの感動と大切な気づきを与えてくれました。