2022.11.28

「全国学力・学習状況調査」への不参加と本校の取り組み[Ⅱ-322]

毎年この時期に、来年度実施の「全国学力・学習状況調査への参加、不参加」についての調査があります。本校では、2007年度より実施の「全国学力・学習状況調査」へ参加していません。私立学校の参加は40~60%ほどです。

不参加の主な理由は、本校は子どもの発達にあわせた教育課程の自主編成教育を行っており、履修の時期が公立小学校と違っているため、出題される問題が未履修の場合があるためです。それから、問題の内容が本校の子どもたちの実態や課題とあわない場合があるからです。他の理由としては、素早いフィードバックが難しいためです。児童の学びの充実や学習状況の改善などに役立てていきたいと考えると、数か月後の返却は避けたいです。しかし、「全国学力・学習状況調査」への参加は、毎年小6、中3生それぞれ100万人前後いて、採点者が1,000名いたとしても答案処理とデータ入力などで数か月かかってしまう現実があります。他私学の不参加の理由を見ると、「独自の教育理念や方針と異なる」「教育理念に合わないので、参加することに支障がある」などがあげられています。

本校では、5、6年生の1学期と2学期に「復習テスト」を実施し、子どもたちの学力、学習実態をつかみ、学力、学習の変化をつかんでいます。その結果を授業にいかします。子どもたちにも、自分の良さと課題を見つめ、定着をはかり、今後にいかしてほしいと願って取り組んでいます。

授業や「復習テスト」などでは、「全国学力」調査で出題された問題で、ぜひ本校の児童にも向き合ってほしいと思うものについては取り出して行う場合もあります。

 小3。みんなで遊ぶからたのしい。 

今後、「全国学習・学習状況調査」が測りたい学力を明確に定義し、学力の実態把握、分析をし、それを教育政策の成果と課題を検証するようなものに変わっていく場合は、本校も参加を検討することを考えていきます。

福岡教育大学川口俊明准教授が、「一般に国や世界を対象に実施される大規模な学力調査では、異なる時点の調査結果を比較して、点数が上昇した(あるいは下降した)といった判断ができることが重要です。そうでないと、自分たちの政策が効果的だったのかどうかがわからないから」(川口俊明『全国学力テストはなぜ失敗したのか 学力調査を科学する』岩波書店)と述べていましたが、課題について改善をはかり、よいものになってほしいと願っています。

最後に、すぐ改善してほしいことをあげます。都道府県別の平均正答率の公表による「都道府県の順位競争」、市町村別、学校別の平均正答率の公表によりテスト対策に偏った授業が行われていること。また、学力テストを教員評価と結び付け、給与を上下させること。子ども、教員らを苦しめないでほしい。

左 幼ゆり組。多摩動物園に行った後で、動物の絵を描きました。右 園庭で焼き芋をしました。 

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