雲梯 [Ⅱー379]
子どもたちからたくさんのことを教えられます。そして、ともに過ごす喜びを感じています。
たとえば雲梯で、「一つとばしを見て!」と言われて見ると、同じ「一つとばし」でも、連続でやる人と、一度両手を揃えてから一つとばしをやる人がいて、その人の「一つとばし」があるんだと思いました。他に、連続ですすむ技を見ると、とんとんと進む人や一つひとつゆっくりすすむ人がいます。力の入れ具合や速さなど、一人ひとり違います。他には、うしろ向きで前にすすむ人、横の棒を使って横にすすむ人がいます。すすむ技だけでなく、上にあがる技、上から下に降りる技、はじっこから降りる技、間から降りる技などたくさんあります。いろいろな技を編み出し、お互いに認め、たのしんでいるのを見ていて嬉しくなります。
一人ひとりの手も違います。真っ赤な手の平の人、皮がむけている人、豆ができている人、固くなっている人、はじめての経験や何度もそうした経験を積んできている人など、その人その人が違います。触ると、手の平のふくらみ、固さの違いがわかり、痛いと同時にかたくなる経験をしたこと、できるようになった喜び、誇りを感じさせられます。
うまくいって喜んでいる姿に「嬉しいね」と喜び合い、お家の人にも伝えたい気持ちを受け取ります。時にうまくいかず、足から降りることができなくて、背中やおしりから落ち、痛みや驚きを経験する人もいます。泣いている友だちに近づいて、傷んだところをさする人や隣に寄り添う、手をつないで一緒にいるなど、いろいろな寄り添いをします。泣き声を聞いて、大丈夫? どうしたの? と、心配して声をかけます。その行動とことばがけに、その子の感じる心や寄り添いに学んでいます。
子どもたちとの日々で、いろいろと教えられます。「今の時代、一番人間らしく生きている存在は子どもだな」、「自分の思い通りにならないことに出会っても、その子たちなりに工夫しながら乗り越えていきます。そうした力を子どもたちはもっています」(鈴木まひろさん)、「成功が約束されておらず、失敗の可能性も含んだものに、人間はワクワクして、探究しようとする」「『失敗してもいいんだ』『つまづいてもいいんだ』ということを、しっかり人間の育ちに位置づけることは、非常に大事なことだと思います」(久保健太さん)など教わり、考えさせられてきたことを思い出しています。
授かった命を活き活きと輝かせてほしいと願い、認め、支えていきたいと思います。
写真は、雲梯の子ども、一本足の下駄の子どもです。私はできません。