2024.6.18

空、土、友が、その気にさせる [Ⅱー393]

空や土が、友が、子どもをその気にさせる ~休み時間の子どもたち~

1年生が、休み時間に空を見上げて「あの青い空のように」(作詞 丹羽 謙次・潤子、作曲 丹羽 謙次)を気持ちよさそうに歌っていたと聞いた。歌い終わると、空に近づく屋上にのぼり、空に向かって歌っていたと聞いた。そうしたことが続いている。

きっと、青空を見ていたら、自然とこの歌が出てきたのだろう。歌い終わると、空にもっと近づきたくなって、屋上に行って歌う。どれほど心地よかっただろう。

ゆったりとした時間で、子ども(人)はぶらぶらすることができて、偶然の出あい、いろいろと試すこと、そして心を動かすこと(人生を豊かにしている)があります。そうした時間、場所、かかわりが大切にされる〔子ども時代〕であってほしい。それは、価値を問われない時間の保障であり、生活と活動を自分(たち)で決める時間が保障されていることです。初等部の人たちには、のんびり、ゆったりと過ごす時間、場所の中で想像力が醸し出される源泉があると考えています。

4年生が放課後に理工室の外の土(*)を使って泥だんごづくりをしていた。

学級通信には、その時の様子が綴られていた。「Sちゃんと作っていると、そこにサッカーをやっていたSくん、Eくん、Uくんが『おれたちも久々に作ろうっと。』とやってきました。/みんな夢中になって作ります。どろだんごって不思議ですよね。作っていくと、どんどんハマっていき、もっと丸く、もっとつややかに、と欲が出てきます。そして、愛着がわき、育てていく感覚になります。そこへ、MちゃんとAちゃんがやってきました。Mちゃん・Aちゃんは、どろだんごづくりは初めてなのだそう! 「コツ教えるから一緒にやろう!」とのことで、初のどろだんごつくりに挑戦です。(中略)/何かに夢中になったり、みんなで楽しんだり、発見したり、とっても大事な時間です。」

この場所にある土は、どろだんごづくりに適しているという。「もっと丸く、もっとつややかに」するために、手の動き(技術)や布、ストッキングなどの道具を使用する。もっともっと自分の願い(理想)に向けて夢中になる。

初めての子どもたちにとって、つくりたい気持ちが湧いて、自分の気に入るどろだんごをつくってみる。うまくいかない時に工夫をして、できた! を味わう。どろだんごつくりの技術も自然に身に着ける。

*土のもつ「多面性」(共同研究者の久保健太さんから、「哲学では『奥行き』という言葉で言い表します」と教えていただきました。)土は、植物、作物を育てる。器を作る。水分を保持する。多くの恵みを人間に与えてくれる。また、生物のすみかになったりもする。私たちは、土の「奥行き」に生かされている。

ゆったりとした時間で、子ども(人)はぶらぶらすることができて、偶然の出あい、いろいろと試すこと、そして心を動かすこと(人生を豊かにしている)があると思いました。そうした時間、場所、かかわりが大切にされる子ども時代であってほしい。

他園に学ぶこと

5月31日(金)の研修日に、私はS幼稚園を見学させていただいた。子どもがあそびや活動を楽しんでいる、私もたのしい気持ちになる。保育は、子ども(たち)の興味、関心を軸に展開していた。

S幼稚園の実践論文「「思わぬこと」から遊びが拓く」と「臨場感をかたちづくる 遊びが拓く電車の世界」(22年度〇〇幼児教育支援プログラム応募論文最優秀園受賞)をいただき、読ませていただき学ぶ。

S幼稚園長先生と話をさせていただき、S幼稚園とK小学校(公立)との共同研究にも学んだ。一例をあげると、地域の伝統食である「糧うどん」を題材に、「わくわくうどんをつくって食べよう」という活動。S幼稚園4歳児が枝豆栽培し、大豆を収穫。5歳児が大豆で味噌づくり、汁を調理する。見学の前週に5歳児が味噌づくりをした様子を写真で見る。K小学校1年生が麦をまき栽培、2年生で収穫。粉を挽いてうどんつくり。お互いのものを持ち寄り「共食」する。

他に、保護者との共同で園庭づくりや、保護者のサークル活動の様子、充実した施設などもに学んだ。

これからも他園のすばらしさに学び、私たちの園でも工夫して取り組んでみたい。

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